第19回 「勉強しない・成績が上がらない」を親の接し方で解決!:エデュママブック
第19回 「勉強しない・成績が上がらない」を親の接し方で解決!
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子どもの勉強・成績に関する悩みといえば、「勉強しない」と「成績が上がらない」。この二大悩みに真っ正面から取り組んで解決策を提案する新刊が登場。中学受験生を持つママ、忙しいママにおすすめの教育書です。
子どもの成績を上げる鍵は、親の接し方
個別指導塾で8万人以上の子どもたちを教えてきた東京大学卒の塾長、加藤法彦さんが著した『1日5分!お母さんがコーチになれば、子どもの成績はグングン伸びる』が昨年末に発売されました。
なんとも長いタイトルですが、このタイトルの中に著者がいちばん訴えたいポイントが表現されています。「1日5分!」と「お母さんがコーチに」というところ。本書の「はじめに」にも、「1日5分だけでかまいません。子どもとのコミュニケーションの時間をとっていただきたいのです。」と、はっきり書いてあります。
この本は、著者が、個別指導塾で出会った「勉強しない」「成績が上がらない」子どもたちを、どのようにして成績アップに導いてきたか、その考え方、ノウハウ、実例を惜しげもなく開陳した、きわめて実践的で、わかりやすい子どもへの接し方マニュアルなのです。
加藤さんのお母さんたちへのメッセージは以下のとおりです。
お母さんが、1日5分のコミュニケーションを通じて、子どものやる気を引き出すスキルやほめテクニックを、本書にはふんだんに盛り込んであります。
また、最初から順番に読む時間がないというお母さんのために、4章「コミュニケーションスキル」と5章「ほめテクニック」では、つまみ読みしても大丈夫なように、すぐに実践できる形に各項目をまとめてあります。
どうぞ、目次をパラパラ眺め、ご自身の気になるところ、使えそうな項目から、お読みいただき、ご活用いただけますと幸いです。
私がこれまで8万人以上の子どもたちを指導してきて、強く感じていることは、どんな子どもも大いなる可能性に満ちあふれている、ということです。
そして、子どもの大いなる可能性を花開かせるサポート役に一番ふさわしいのは、お母さん、だということです。(「はじめに」より)
成績が伸びない理由はたった2つ
本書の1章は、「なぜ、子どもの成績は伸びないのか?」。ここに成績アップの方程式が掲載されています。
成績アップ=勉強の質×勉強の量
確かに成績は、勉強の質と量のかけ算で決まるように思います。でも現実にはなかなか難しい。ことに「勉強の量」、つまり勉強しない子どもにどうやって勉強をさせるかで、多くのお母さんが悩んでいます。また、勉強しているのに成績が一向に上がらないと思い悩む親御さんもずいぶんいるでしょう。
著者の加藤さんは、「勉強の質」に対しては、「テストの点数が20点あがる戦略的勉強法」というものを提案しています。詳細は本書を読んでいただくとして、実は間違ったやり方で勉強をしている子が意外と多く、それを正しい勉強法に修正していくだけで成績はぐんと伸びると、著者は自らの指導経験をベースに語っています。しかもそれは、親の立場でもできるやり方法です。ぜひ取り入れてみてください。詳しくは、3章に解説されています。
そして「勉強の量」。著者によると、成績が伸びない生徒の8割くらいは、勉強の量が足りないことが理由だそうです。では、どうやって勉強の量を増やしていくか?
まず、「勉強が好きな子なんていない」というところから話は始まります。そして嫌いな勉強を、それでもやる気になるモチベーションの源は、「競争に勝つこと」と「誰かにほめられること」だと断言します。ただし今の時代、競争が好きな子はあまりいません。とくに個別指導塾で学ぶ生徒のほとんどは、他人と比べられるのが嫌なタイプなので、競争することでやる気になる子はあまりいないとのこと。だとしたら、一部の競争好きな子をのぞけば、「誰かにほめられること」でやる気にさせるしかないという結論に至ります。そう、とにかくわが子をほめてあげましょうと、著者は言うのです。
さきほど引用した「はじめに」にもありますが、4章「コミュニケーションスキル」と5章「ほめテクニック」は、こうした考えのもと、わが子とどうコミュニケーションをとったらいいか、わが子をどのようにほめたらいいか、その具体的な方法とノウハウが詰まった章です。ですから、実践あるのみという方は、とりあえず4章と5章を読んで、そのまま取り入れることができます。著者が出会った多くの子どもたち、お母さんたちの実例がふんだんに盛り込まれているので、とてもわかりやすいと思います。
子どもの話をよく聞くことからはじめよう
著者自身、つまみ読みもOKとしている本書ですが、1章から2章にかけて書いてある「親の接し方」も、ぜひ読んでいただきたい部分です。
個別指導塾での指導経験から、著者はお母さんのタイプを3つに分けられると言います。「監督タイプ」「コーチタイプ」、そして「観客タイプ」です。「監督タイプ」のお母さんは、自身優秀で子どもの将来のこともよく考えているが、どうしても命令口調になってしまう。この接し方だと、子どもが10歳くらいまでは素直に言うことを聞いてくれても、10歳を過ぎて反抗期に入ると、とたんに関係がぎくしゃくすることが多くなるのだそうです。そして子どもの成績を伸ばすのは、「監督タイプ」でも「観客タイプ」でもなく、「コーチタイプ」のお母さんだった、と著者は語ります。
コーチタイプのお母さんの大きな特徴は、とにかく子どもの話を聞いてあげることです。これこそが、まさにコーチの大きな役割と言えます。
これは、コーチの基本的な考え方に、「答えは本人の中にある」というものがベースにあるからです。
将来の目標だとか、そのために今やらなければならないことなどは、ほとんどの場合、子ども自身が答えを持っています。でも、子どもは自分一人でそれを見つけ出すことができません。
そこで、話を聞いてあげることで、子どもの中からそれを引き出してあげる。そして応援してあげる。これがコーチタイプのお母さんです。(2章より)
加えて3章には、成績を伸ばす親の5つの特徴や、男の子と女の子の接し方の違いに関する言及もあります。ご自身の場合と比べてみると参考になると思います。
「勉強しない」ことに悩んでいるのならば、子どもの話をよく聞き、その中から本人の思いや希望を引き出して、勉強へのモチベーションを上げていきましょう。そうすれば、自分から勉強をするようになりますよ、と、著者は言っています。しかも、それをやって、いちばん効果があがるのが、お母さんだとも。
「もっと勉強してほしい」「もっと成績が上がれば…」と願っているお母さんたちへ。これまでのやり方でうまくいっていないのであれば、悩むより実行です。4章にある12の「コミュニケーションスキル」や、5章にある10の「ほめテクニック」の中から、しっくりくるものを選んで、即実行してみましょう。それが、著者が本書を書いた理由であり、悩めるお母さんたちへの熱いエールなのです。
1日5分! お母さんがコーチになれば、子どもの成績はグングン伸びる
加藤法彦著、すばる舎リンケージ刊、1400円+税
親の接し方で、子どもの成績は9割変わる!──8万人以上の子どもを指導してきた個別指導のプロが教える! 子どもが自ら勉強するようになり、成績が劇的に上がるコミュニケーションスキル&学習メソッド。
1章 なぜ、子どもの成績は伸びないのか?
2章 勉強嫌いの子でもどんどん勉強する!「親の接し方」
3章 テストの点数が必ず20点アップする「戦略的勉強法」
4章 子どものやる気を引き出す!「コミュニケーションスキル」12連発
5章 もっと子どもがやる気になる!「ほめテクニック」10連発
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著者の加藤法彦(かとう のりひこ)さん
ナビ個別指導学院塾長。家庭教師・学参代表取締役、愛知県在住。1973年静岡県浜松市生まれ。1992年東京大学理科Ⅱ類に現役合格。入学後すぐに家庭教師のアルバイトを始めるが、生徒の成績を上げることができず生徒は高校を留年。1年でクビになってしまう。この時の経験から、生徒の成績を上げるには勉強の中身よりも、生徒のやる気に着目した指導をしなければならないことを身をもって知る。東京大学では心理学を専攻。子どもの知能指数の研究に携わり、この研究がきっかけで教育の仕事を一生かけて取り組もうと決心する。大学卒業後、学習教材の制作、販売を経験後、2005年にナビ個別指導学院(CKCネットワーク(株))の立ち上げに参加。以来、指導してきた生徒数はのべ8万人以上。教室は全国37都道府県に500以上の教室を展開中。
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