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「ピタゴラ装置」は子どもの考える力を育てている!:第42回

inter-edu’s eye
NHK Eテレの人気幼児番組『ピタゴラスイッチ』に登場する「ピタゴラ装置」のDVDブックが発売中。実は「ピタゴラ装置」にはきわめて先進的な教育的配慮があります。自発的に興味を抱き、自ら考えるように…、つまり子どもの考える力を育てているのです。お子さまの学習サポートの参考にどうぞ!

◆「ピタゴラ装置」の人気には理由があった!

ピタゴラ装置はこうして生まれる DVDブック

「ピタゴラ装置」のDVDブックは過去に3冊発売されていますが、今回のものは『ピタゴラ装置はこうして生まれる』と題され、より本質的なこと、装置誕生に関わるさまざまな考え方が解説されています。「ピタゴラ装置」の映像って、手作りのしかけの中をビー玉が転がっていくだけなのに、子どもだけでなく大人もつい見入ってしまいますよね。なぜなのでしょうか? ちょっと気になりませんか?

本書のDVDには、2015年に放送されて反響を呼んだ『ピタゴラ装置大解説スペシャル!』(60分)とともに、36のよりぬきピタゴラ装置の映像、未放送の特典映像などが収録されています。ブックのほうでは、36のピタゴラ装置が、どのような意図で作られてきたか、どういうしくみが隠されているかなどが解説されています。その内容は一見とても高度な印象です。目次には、「認知科学」「物性科学」「工学的機構」など学問的な言葉が並んでいます。単純に見て面白い「ピタゴラ装置」と、難しそうな言葉の対比に少しびっくりしてしまいます。

そこで、「ピタゴラ装置」ファンというパパに、このDVDブックの見方、読み方について聞いてみました。

◆子どもの“作ってみたい!”を喚起

「私も早速買いました。ピタゴラのDVDブックは基本、大人向けなんですよ。もちろん子どもでも高学年くらいなら読めると思いますが、でもまあ、子どもはDVDを見て面白がってくれればいいんです。

実は、うちの子が小さい頃にも「ピタゴラ装置」のDVDブックが発売されていて、息子が夢中になったんです。同じ装置の映像を何度も見て、これ、作ってみたいと言い出しましてね。私もそれならと、ビー玉や紙コップ、レールにする木なんかを揃えて作ってみたことがあります。でも、番組のようにスムーズに最後まで到達する装置を完成させることはできませんでした。ちょうどいいところにビー玉を落としたり、ビー玉でちょうどよく物を動かす調整がとても難しいんです。こっちがうまくいったらあっちがダメの繰り返しでした。この本にも書いてありましたけど、制作スタッフは本当に大変な作業をしていらっしゃるんですよね。

でもね、息子にとっては本当にいい経験だったと思います。物の重さとか性質とか、重力、慣性の法則、摩擦力みたいなものが、感覚的にわかっちゃうんです。物理の法則を実感できるわけです。これは貴重だと思いますよ。あとで教科書を見て、慣性の法則とは…とか書いてあったとき、しっかり理解できますからね。おかげで息子は理系に行けたのかもしれない…と、まあ、これは冗談ですが。

「ピタゴラ装置」のいいところは、身近なものだけで作れることです。だからキレイ好きのお母さんには、お子さんが作ってみたいと言い出したとき、散らかるからなんてダメなんて、絶対言ってほしくないですね。装置の一部だけでもいいから、一緒に作ってみようと言ってほしい。だって、これ、間違いなく、今、流行のアクティブラーニングってやつですよ。机の上の勉強だけでは身につかない能力を育ててくれますよ」

◆番組コンセプト「考え方を育てる」とは?

2002年から続いている4~6歳児向けの人気番組『ピタゴラスイッチ』。そもそもこの番組自体、「考え方を育てる」ことをコンセプトに作られたのだそうです。

世の中にはさまざまな考え方があります。でも、それらは言葉で伝えると難しくてうまく伝わりません。言葉で“教える”のではなく、子ども達が楽しんで見ているうちにいつの間にか「考え方」を発見できるような表現はできないかと、制作者は一生懸命に考えました。その結果が、『ピタゴラスイッチ』の各コーナーに結実したのだと言います。子どもは自分で何かを発見する――そうすれば番組が面白かったで終わるのではなく、そこからさらに関心が生まれ、何かを知りたい、やってみたいと思うようになるだろう――これが、「考え方を育てる」ということなのだと思います。

この「考え方を育てる」というコンセプトは、言い換えると、テスト問題など与えられた課題を解決する能力ではなく、自ら新しい課題を発見できる能力を育てるという意味になります。つまり大学入試改革などで国が目指している教育改革の本質、アクティブラーニングの考え方そのものなのです。

今や長寿番組とも言える『ピタゴラスイッチ』ですが、そのコンセプトは時代を大いに先取りしていたのです。

◆未来を生きる子をサポートするために

さて、DVDの映像を参照しながらブックを読み進んでいくと、「ピタゴラ装置」には、物の性質(物性科学)だけでなく、実際に工場で使われているしくみ(工学的機構)や、映像を見る側の人間の特徴(認知科学)も取り入れられていることがわかります。そしてそれらが、実は身近な暮らしの中に当たり前のように存在する構造だったり、考え方だったり、法則だったりすることに気づきます。「ただ見て単純に面白いと思える番組を作るには、実は物や人間へのとても深い理解が必要なのでしょう。子どもは理屈じゃ説得できないから、作る側も真剣なんでしょうね。でもおかげで、大人の凝り固まった頭を解きほぐして原点回帰させてくれる効果もあるんですよ。日常生活に追われているママたちも、ぜひ目を通してほしいですね」と先ほどのパパ。

中学受験有名校の入試問題などを見ても、「勉強=知識をたくさん身につけること」ではなく、「勉強=考える力を身につけること」の時代が来ていることは明らかです。とはいえ考える力は、覚える力に比べるとわかりにくい。そこで「考え方を育てる」という意味を実感するためにも本書を読んでみてはいかがでしょうか? お子さまと一緒にDVDを楽しみながら、ブックのほうは、お母さま自身の物の見方や考え方をチェックしたり、お子さまに適切なアドバイスをするのに、とてもいいヒントを与えてくれると思います。

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ピタゴラ装置はこうして生まれる DVDブック
企画・制作:NHKエデュケーショナル、著:佐藤雅彦、ユーフラテス、小学館刊、2800円+税

見るものの目を捉えて離さない「ピタゴラ装置」。そのおもしろさの秘密は、「作り方を作る」という考え方にありました! 『ピタゴラスイッチ』(NHK、Eテレ)の人気コーナー「ピタゴラ装置」はどうやって生み出されるのか。その背景にある“理”をDVD(90分)とブック(48P)で大解説。DVDを見てブックの解説を読めば、ピタゴラ装置の魅力の秘密がより一層分かることまちがいなしです!
【DVD】(本編60分+特典30分):特番『ピタゴラ装置大解説スペシャル!』を収録。装置評論家「トンカッチ」の装置解説、ラーメンズ・片桐さんの「予想装置」、物語のある装置「ビーだまビーすけの大冒険」など。またTV未放送のピタゴラ装置「形状記憶合金装置」やラーメンズ・片桐さんによる、テレビ未放送の「まぼろしの予想装置2」、試作映像に加えて、ブックで解説しているピタゴラ装置を、たっぷり36本収録。DVD版とブルーレイ版の2種類があります。ブルーレイ版は3200円です。
【ブック】(48P):ピタゴラ装置がどのような考え方で作られているのか、4つのテーマから解説。その他「トンカッチ」による、装置制作の舞台裏を明かした描き下ろしレポートや、装置に登場する小物紹介、番組プロデューサーのインタビューなどおまけコンテンツもたっぷり。既刊の「ピタゴラ装置DVDブック」シリーズは、個別のピタゴラ装置についての解説でしたが、今回のDVDブックはピタゴラ装置全体を貫いている「考え方」や「テーマ」という大きなカテゴリーについて解説しています。カバー裏にこっそり隠れているおまけコンテンツもお見逃しなく!…購入はこちらから


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