子どもを怒る回数が増えてきたママにおすすめ!

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お子さまを怒って落ち込むこと、増えていませんか? YESの方は、思春期前後の親子関係が専門の精神科医、水島広子先生の新著をぜひ手にとってみてください。堂々巡りしていた心の中にさわやかな風が吹き込んで、こうすればいいかも!と前向きな考えが浮かんでくることでしょう。

◆怒って自己嫌悪の陥る日々からの脱出を

怒らないですむ子育て,水島広子

子どもを怒ったあと、“また、怒ってしまった”と落ち込んでいるお母さまはたくさんいらっしゃいます。怒らない親でいたいと思っているからこそですよね。では、落ち込んだとき、どんなことを考えていますか? 中学受験生のママなら、“受験はやめたほうがいいのかしら?”、働いているママなら、“もっと子どもといる時間を増やさないといけないかも?”、やんちゃなお子さまなら、“この子が、もう少しだけでいいから○○してくれたら”などと、さまざまな思いが頭の中を駆けめぐっていることでしょう。

『怒らないですむ子育て』というタイトルの本が発売されました。左写真のように、とてもやさしい雰囲気のムックです。著者は、思春期前後の親子の心の問題を専門にしている精神科医の水島広子先生。ご自身も2人のお子さまを持つお母さまですから、わが子を怒った後で自己嫌悪に陥ってしまう母親の心に100%共感して書いておられます。

どちらかというと未就学児から低学年の子を持つ親を想定して書いてある本なのですが、最後まで読んでみて、中学受験で通塾を始めてから親子関係がぎくしゃくしてきた…というお母さまにもぴったり!と感じました。子どもにも親にも、それまでの数倍のストレスを与える中学受験ですから、怒る回数も増えてしまいがち。そんなとき、親子関係の原点を見極め、怒らないですむ方法を教えてくれる本なのです。

◆怒りはガマンせずに、正しく使いこなそう

本書は、以下のような構成です。

1章 つい怒ってしまう、ママの心のメカニズム
 ~怒りは「悪いこと」ではありません~
2章 子どもは、ママを癒やしてくれる存在です
~ ~子どもは本来、「親を怒らせよう」とは思っていない~
3章 怒らずにすむ子育てのヒント1
 ~子育ての「あるある」解決策~
4章 怒らずにすむ子育てのヒント2
 ~「子ども側の事情」に注目して解決~
5章 ママの心がざわつく「不安」のモト
 ~「心配の子育て」から「信頼の子育て」へ~
6章 それでも怒ってしまったときのために
 ~愛情を伝える親子コミュニケーション~


こうして章タイトルを見ているだけでも、イライラしがちな心が少し落ち着いてきませんか? 1章は、「『つい怒ってしまう自分がイヤ』というママは多いもの。それはなぜでしょう?」という問いかけから始まります。怒ることだけでなく、そのために自分がイヤ…となってしまう、そんなママの心について考えていこうというのです。

怒りは、「自分は困っている」ということを自分に教えてくれる感情だと書いてありました。いわれてみれば、なるほどその通りです。そして、だから、怒りをガマンするのはよくありません、怒りの正しい使い方を学びましょうと語りかけてきます。まるで心のひだに寄りそうような語り口です。

3章、4章には、「勉強しないでゲームばかりしている」など、つい子どもを怒ってしまう具体的なシチュエーションがのっていて、それぞれに解決策のアドバイスがあります。

◆「心配の子育て」から「信頼の子育て」へ

時間の余裕がある昼下がりなどに、好きな飲み物などを用意して、ゆったりとした気持ちでじっくり読んでいただきたい本書ですが、中でもとりわけ印象的だったのは、5章の「心配の子育て」と「信頼の子育て」でした。「心配の子育て」とは、うちの子に足りないところを見つけて、隣の子はできるのに…などと、心配の種がひっきりなしに生まれてくる状態。水島先生は「足りないところ探し」はエンドレスだから、「心配の子育て」を手放して、「信頼の子育て」に転換しましょうと語ります。

「信頼の子育て」とは? 「こうあるべき」というフィルターをはずして、まずは今そこにいる、わが子の現在の姿をきちんと見ることから始めましょうということです。そうしないとわが子が今思っていること、努力していることが見えなくなってしまう……、確かに、これは痛いな、と感じるお母さまも多いのではないでしょうか? 子どもの側の事情をきちんと把握するためには、どんなときでも焦る気持ちを静める必要があります。

子どもは成長、つまり変化していく生き物で、成長に従って新たな段階に突入し、あらたな能力を獲得していくもの。そのスピードは急激です。そんな変化の渦中で親にも焦りが生じ、先ばかり気になって今を見る余裕を失いがちなのかもしれません。そしてそんな心の状態が、“また、怒ってしまった”を頻発させているのかも…。正直、身近でお会いする中学受験生を持つ親御さんには、その傾向がある方が多いように感じます。

本書に書いてあるように、子どもは親を怒らせたいとは少しも思っていないし、親を怒らせるような態度をとったとしても、親のことが大好きなのは間違いありません。にもかかわらず、“また、怒ってしまった”が続くなら、こうした本の助けを借りて、まずは親子関係の原点に立ち戻ってみるのが最善の策なのではないでしょうか。

詩人で臨床心理士でもある、写真家の石川厚志さんの写真が各所に散りばめられた『怒らないですむ子育て』を、怒ってしまう回数が増えてきたと感じているお母さまに、またお子さまとの距離感に不安を感じるお母さまにおすすめしたいと思います。きっと、本書の副題“そのイライラは手放せます”が実現することでしょう。

怒らないですむ子育て

怒らないですむ子育て
―そのイライラは手放せます―
水島広子著、小学館刊、1200円+税

ママたちの子育ての悩みトップと言われる、「つい子どもを怒ってしまう」ことを事例別に解決策を提示しながら、怒りのメカニズムを明らかにし、「怒らないですむ子育て」の方法をアドバイスします。「怒られ続けて育った子どもの心がどうなってしまうのか」をも解き明かし、「怒り続ける」育児に警鐘を鳴らします。子どもの心のありようが解明されることで、子どもは親を癒やす存在であること、お母さんは存在しているだけで子どもに愛されることを実感できます。著者は、2人の子どもの母親でもある精神科医で対人関係療法の専門家。母親の原点に帰ることができる1冊です。…購入はこちらから

水島広子

著者の水島広子(みずしま ひろこ)さん
精神科医。日本における対人関係療法の第一人者。慶應義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などを実現。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、国際対人関係療法学会理事。『「怒り」がスーッと消える本』『自己肯定感、持っていますか?』(大和出版)、『10代の子をもつ親が知っておきたいこと』(紀伊國屋書店)、『自分でできる対人関係療法』(創元社)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)、『「他人の目」が気になる人へ』(光文社)など著者多数。


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