第13回 「入塾テスト」は、中学受験を目指す親子の最初の関門

子どもの能力を引き出す、やる気にさせる上手なほめ方・叱り方

第13回 やる気を引き出す「子どものほめ方・叱り方」(2013年6月28日)

入塾テスト

都内の公立小学校に通っていた女の子のお母さんから聞いた経験談をお話ししましょう。その子は、ある有名小学校を受けて落ちた経験がありました。とはいえ、あまり準備もしないで受けたので「案の定落ちたね」と、親子とも落ち込むことなく公立の小学校に入学しました。ただその流れで、1年生のときには有名なS塾に通っていたのだそうです。

ところが彼女、水泳が大好き。水泳スクールにもっと行きたいからと、2年生のときにS塾はやめました。お母さんとしては中学は環境のいい私立に行かせたいと思っていたものの、何も低学年から勉強させることもないと考えたのです。

そして5年生になったとき、そろそろ塾に行かせなくてはと近所のY塾の入塾テストを受けました。ところが、「申し訳ありませんが、この成績ではお子さんをお受け入れすることはできません」と言われてびっくり! 学校の成績はよかったので、まさかうちの子が塾から拒否されるなんて想像もしていなかったと言います。

「教室の教えるレベルって、3、4年から通っている生徒によって決まってくるのね。うちの子の場合、国語は大丈夫でも算数のほうがその教室のレベルに届かないと判断されたらしいの」と、お母さん。小学校受験に落ちたときは落胆しなかった親子が、このときばかりは相当落ち込んだと言います。

「でも、さすがに子どもを怒る気にはなれなかった。学校の成績は問題なかったんだから。受験塾がそういうものだってこと、中学受験がそういうものだってこと、親がわかっていなかったのが悪いんだもの」とお母さん。すでに塾で受験勉強をしている子とそうでない子では、大きな違いがあるわけです。

結局、その女の子は入塾を拒否されるシステムではない他の塾に通って中学受験にのぞみ、納得できる学校に入ることができました。「確かに、3年生ぐらいから受験塾に通わせていれば、もっと偏差値の高い名門校に入れたかもしれないとも思うけれど…。でも、今の学校、うちの子は気に入っているし、今さら言ってもしかたないものね」とお母さん。

このエピソードから受け取るメッセージは、人それぞれ違うと思います。ただ、これだけは言えると思います。このお母さんが言うように、入塾テストで落ちるのは、決してその子のせいではありません!

<<プロフィール>>高木 潤子(たかぎ じゅんこ)
若いころから週刊誌・女性誌で、子育て・インテリア・料理など幅広い分野の記事を取材執筆。仕事量を減らして二児を育て、インターエデュはお受験ママとして活用。現在も取材・編集・執筆と幅広く活躍中。

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