塾の宿題:正しい取り組み方

2016年4月20日発行のバックナンバーです。

エリート育成「中学受験」サポートメール
2016/4/20号
塾の宿題:正しい取り組み方
監修:西村則康(プロ家庭教師)
by inter-edu.com

【今週の必修語】千載一遇(せんざいいちぐう)

「岡崎慎司選手が所属しているレスター・シティの快進撃が続いているね」
「プレミアリーグで優勝する、千載一遇のチャンスだよね!」

千載一遇とは、千年に一度しか出会えないような、めったにないよい機会のこと。

サッカー日本代表の岡崎慎司選手が所属するチーム、レスター・シティ。昨季はイギリスのプレミアリーグで、14位というパッとしない成績でした。

当然、今季開幕前の下馬評は低かったのですが、誰もが驚くほどの大躍進。残り4試合を残して、2位のトッテナムに勝ち点差5をつけ、奇跡の初優勝に向けて突き進んでいます。
アーセナルやマンチェスターシティなど、資金が豊富なビッグクラブが幅を利かせるプレミアリーグで、優勝経験のない中小クラブのレスターが優勝するかどうか、全世界が注目しています。

岡崎選手もほぼ毎試合出場し、活躍していますから、ぜひ優勝してほしいですね。

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お子さまは、塾の宿題にどのように取り組んでいますか?塾の宿題にどう取り組むかで、成績の伸びが大きく変わります。そして、成績を伸ばすためには、宿題への取り組み方を学年に応じて変えていく必要があります。

まず、受験勉強がスタートしたばかりの4年生。授業数も少なく、スケジュールにまだ余裕がありますから、宿題は基本的にすべて行うようにしたいものです。

注意すべきポイントは、宿題に取り組む姿勢です。ただ宿題を終わらせることだけが目的になってしまうと、なかなか学力がつきません。『この問題がテストで出たら、必ず自分で正解を出せる』という状態を目指して、1問1問ていねいに取り組んでください。

4年生の勉強時間の目安は、塾がある日は約1時間、塾がない平日は2~2時間半で、土日のうち、1日はほとんど勉強をしなくてよい日にしてください。4年生ですでに余裕がないようだと、5・6年生になったときにつらくなってしまいます。親御さんは勉強時間の長さや勉強量だけではなく、勉強に取り組む姿勢に重点を置いて、お子さまを見守ってあげてください。

宿題の量が増え、難易度もグッと上がる5・6年生。4年生のときのように、宿題をすべてこなすことが難しくなってきます。問題のレベルが上がり、しかも量も増えてきますから、ほとんどのお子さまにとって、宿題をすべて終わらせることは物理的に難しいのです。

子どもの習熟度、理解度、志望校のレベルに合わせて、宿題を取捨選択が必要になってきます。授業で完全に理解できたものは繰り返さず、まったくわからなかったものは放っておいて構いません。「何となくわかった」「もう少しでわかりそう」というあいまいなものに集中して勉強することが大切です。優先すべき問題の取捨選択が難しければ、塾の先生に相談するのがおすすめです。

宿題に追われる毎日を送る受験生ですが、息抜きの時間や、ご家族で過ごす時間もとても大切です。「受験生だから、一切友だちと遊びに行ってはダメ」「受験が終わるまで、家族旅行には行かない」と、早いうちから勉強一筋になる必要はありません。

出かける前の週に課題を少しずつ消化しておいたり、出かけた翌週の勉強時間を少し延ばすなどして対応し、ぜひ外に出かけてください。外で遊ぶことや旅行はお子さまにとってよい気分転換になりますし、中学受験をする上で大切な生活知識や身体感覚を養うこともできます。

通塾の目的は、宿題を全部やることでも、塾のテストでよい点数をとることでもありません。『志望校に合格すること』です。あまり生真面目に「宿題を全部やらなきゃ」と思わなくても大丈夫です。

今回お伝えしたやり方で宿題ができるよう、お子さまをサポートしてあげてください。
(塾ソムリエ&プロ家庭教師の西村則康)

学年別・今週のスポットアドバイス

【1~3年生】いろいろなグループに属し、人間関係を学ぶ

習い事をしていたら、一緒に習っている他のお子さまと触れあう機会を積極的に作りましょう。低学年のお子さまにとって、友達と遊ぶことは勉強と同じくらい大切な経験です。
学校の友達、サッカーの友達、ピアノの友達など、いろいろなグループに属することで、その場にあった行動を学習する機会が増えていきます。

さまざまなグループの中で自分の役割を感じ取り、上手に振る舞えるようになることは、学習の面でも、将来に向けても、お子さまにとって非常に役立ちます。

【4年生】家庭菜園・ベランダ菜園は植物の学習に効果的

苦手なお子さまも多い、理科の植物の単元。この単元においては、実際に植物を触ったり、育てたり、食べたことがあるかどうかで、学習の理解度が大きく異なります。家庭菜園やベランダ菜園を始めるのにちょうどいい時期ですから、ぜひ親子で植物が成長するようすを見守ってみてください。

「毎日の水やりはお子さまの役割」などとルールを決めるといいでしょう。植物が成長していくようすを見た子どもは、植物そのものに興味を持ちます。
また、リアルな体験と学習内容が結びつくことで、より理解が深まります。

植物を育てることで、「テストに出るから覚えなくてはならない」という義務感ではなく、自分の興味としていつのまにか知識を身につけることができるのです。

【5年生】理解を深める『家庭内ミニ授業』

お子さまの理解を深めるために、1週間に2・3問を目安に、『家庭内ミニ授業』を行いましょう。『家庭内ミニ授業』では、お子さまが先生、お母さまはできない生徒の役です。

お母さまがテキストを見て、「難しそう」と感じた問題を、「お母さんに教えて」と、お子さまに説明するように促してください。人に説明する際には、納得感に基づいた理解ができていないと、うまく説明できません。

逆に言えば、うまく説明するためには、きちんと理解して知識を自分のものにする必要があります。そのために、『お母さまに説明する』という方法を取り入れていただきたいのです。

このとき注意していただきたいのが、「お母さんに説明してみなさい」などのきつい言い方は避けることです。たどたどしくてもちゃんと説明できたら、「説明できたね」「すごいね」と褒めてあげてください。

お子さまはお母さまに解き方を説明している最中に、自分の頭の中でもう1度、解き方を再構築しています。ですから説明することができた問題は、復習しなくても試験で正解できるレベルに理解が達しているはずです。

【6年生】『速さ』の単元は図を省いてはダメ!

『速さ』は、毎年複雑な問題を出題する学校がたくさんある重要な単元です。塾のカリキュラムが『速さ』のときは、「この単元は特に大切だ」という意識を持って勉強をするように、お子さまを導いてあげてください。

『速さ』には『旅人算』、『通過算』、『流水算』、『時計算』があります。これらは線分図で解ける問題と、ダイアグラムで解ける問題に分かれます。

また、通過算では列車やトンネルを図で書き表すことも大切です。図を省略して問題を解く癖がついてしまうと、問題がより複雑になった時に答えを出せなくなってしまいます。図を書いて考える習慣がつくような声かけをお願いします。

【6年生難関】GW中に入試問題に触れてみよう

もうすぐゴールデンウィークがやってきますね。この期間に、実際の入試問題を解いてみましょう。
目的は、どれだけ点数がとれるかをチェックするのではなく、平常授業で習っている問題と入試問題の違いを感じ取ることです。

実際の難関校の入試問題は、問題文が長い、記述の文字数が多い、問題の意図が掴みづらい、計算が面倒、試行錯誤を要求するなど、一筋縄ではいかないものが多いです。そんなクセを自ら感じ取り、今後の学習に生かしてほしいのです。

たとえば、問題文が長かったら、「何が問われているのか」を考えながら問題文を読むクセをつけておく。計算が面倒だと感じたら、毎日計算問題を欠かさずに行う。試行錯誤を要求する問題だと感じれば、難しい問題でもすぐにあきらめないで、自分なりの解答を出す訓練をする、といった具合です。

こういったことは、他人がアドバイスするよりも、本人が実感した方が効果的なので、実際にお子さまに入試問題を解いてみるよう、促してください。たくさんやる必要はなく、1年分の入試問題に取り組めば十分です。

これで成功! 先輩ママの声かけ実例

娘は4年生から塾に通い始めていたのですが、そこは宿題が多くて有名な塾。5年生になったら学校の宿題も増えたため、塾と学校と両方の宿題をこなすのが苦痛になってしまったようです。

なかなか机に向かわないため、私だけでなく夫にも叱られて、泣きながら宿題をやる始末。そんな状態は、ちょっとかわいそうで胸が痛みました。 これだと、どんどん勉強が嫌いになってしまうと心配になり、どうしたらいいかとママ友に相談してみました。

するとママ友曰く、「子どもから、その日に習った勉強を“教えてもらう”といいわよ。国語や算数の教科書を開くのは懐かしくて結構楽しいし、ママが『へぇ~!』って感心すると、子どももうれしくなって、どんどん教えてくれるようになるの。それに子どもが理解していないことがあれば、それも明確になるしね」。なるほど、と思い、早速実践してみました。

「ママ、算数苦手なの。今日、習ったことを教えてくれない?」と、声掛けしてみたんです。もちろん、娘が教えてくれる内容は、知っていても知らないふり。「へぇ~、そうなんだ! 教えるのが上手ね。ママよく分かったわ」と、目を丸くして頷いて聞いていました。

すると、娘は“ママに教える”ことが楽しくなったようで、算数だけでなく、国語や理科なども「今日、習ったことを教えてあげるね」と、塾から帰ると自分から勉強に誘ってくれるようになったのです。泣きながら宿題をやっている娘を見るのが辛かったのですが、今では楽しく勉強してくれて私もひと安心。
おまけに成績も上がって万々歳です! (さっちゃん)


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