国語の読解力を伸ばす勉強法

2016年6月1日発行のバックナンバーです。

エリート育成「中学受験」サポートメール 2016/6/1号
国語の読解力を伸ばす勉強法
監修:西村則康(プロ家庭教師)
by inter-edu.com

【今週の必修語】唯一無二(ゆいいつむに)

「蜷川幸雄さんの訃報には驚きました…」
「指導が厳しくても多くの役者から慕われた、唯一無二の演出家でしたね」

唯一無二とは、ただ一つだけあって、二つとないこと。他に同類のものがなく、その一つ以外並ぶものがないことを意味します。

先月12日、日本を代表する演出家の蜷川幸雄さん(享年80)が、肺炎による多臓器不全のため亡くなりました。

古典作品から現代劇まで幅広い舞台の演出を手がけた蜷川さんは、『世界のニナガワ』として国際的にも活躍。16日に営まれた告別式には、演劇関係者やファンなどあわせて1300人あまりが訪れ、別れを惜しみました。

稽古中に灰皿を投げつけるなど、指導の厳しさで有名でしたが、人情を重んじる温かみある人柄から、多くの俳優に慕われていた蜷川さん。もう新しく演出した舞台を見ることはできませんが、過去の舞台はDVD化されているものも多くあります。

興味のある方は見てみてはいかがでしょうか?

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中学受験に必要な国語の勉強は、大きく分けて3つあります。『長文読解』と『文法』、そして『漢字』です。

中でも『長文読解』は配点が高く、国語の成績を大きく左右しますが、「正しい勉強方法がわからない」というお悩みをよく伺います。

そこで今回のエデュまがでは、読解力を伸ばす国語の勉強法をお伝えしたいと思います。

まず親御さんに知っておいていただきたいのは、中学受験の国語の読解と読書は、まったく別物だということです。

理由の一つ目は、出題される文章の多くが、子どもが好んで読むストーリーを楽しむタイプの文章とは異なることです。

説明文の場合は、子どもが日ごろ暮らしている世界とはかけ離れたテーマを扱っていたり、抽象度が高かったりします。物語文であっても、『仲の良い友だち関係の中で感じる孤独感』といった感情のひだにふみ込んだテーマが多く扱われています。

二つ目は、問われるのは感想ではなく、書かれていることを正確に読み取り、解答がどこにあるかを探す力が大切になることです。

読書は文章を自由に解釈して構いませんが、国語の場合は客観的に読むことが大切です。試験の際に、自分の感想や「こういうことだろう」という思い込みにこだわりすぎないよう、お子さまに注意を促してください。

国語への苦手意識を解決する方法は、答えが出題文の中に存在することに気づくことです。つまり、『読解問題はキーワードやキー文章の宝探しのようなものだ』ということがわかってくると、苦手意識が薄れていきます。

説明文の対策は、小学生新聞や岩波ジュニア新書などを読んで、社会科学と自然科学に関係する知識を取り入れておくのがオススメです。出題されたテーマについての基礎知識の有無で、決定的な差がついてしまう場合もあるからです。

物語文は、『何を聞かれているのか』を、きちんと把握することがポイントです。

これができているかどうかは、お子さまが文章のどこに傍線を引いているかをチェックすることで確認できます。

たとえば、『樹くんの気持ちの変化を答えなさい』という問題の場合、樹くんの気持ちの『変化』を答えなければならないのに、『樹くんの気持ち』を表す箇所にだけ線を引いていて、『変化』を表す部分には線を引いていなかったら、問題文の把握が不十分ということになります。

こういうときは怒らずに、「何を聞いているんだと思う?」と、声かけをお願いします。問題が把握できていない状態であちこちに線を引いてしまうお子さまは、とても多いのです。

このように声をかけることで、問われていることを正しく把握し、傍線を引けるように導いてあげてください。

またテスト直しのときには、正解している問題についても、時々「なぜ“イ”を選んだの?」などと、理由を聞いてみてください。

「ここにこういう言葉があったから」「ここにこういう表現があったから」と、選択した根拠を説明できれば安心ですが、「読んでいてそう思ったから」「なんとなく」などといった答えが返ってきたら、要注意です。

「そう思った理由は文章の中にあったんじゃないかな? どこかな?」と、探してみるように促してください。
(塾ソムリエ&プロ家庭教師の西村則康)

学年別・今週のスポットアドバイス

【1~3年生】学習しているお子さまを褒め、労う

この時期のお子さまの学習意欲は、お母さまの行動や声かけによって大きく左右されます。学習しているお子さまに、できるだけ笑顔で声をかけてあげてください。

勉強したあとに「よく頑張ったね。えらいね」と、労いの言葉をかけたり、「お母さんに音読を聞かせてくれるかな?」「お風呂で九九を一緒に言ってみようよ!」と誘って、生活の中で勉強につながる時間を一緒に持つようにしましょう。

そして、学校の宿題をしっかりやっているかどうかのチェックをお願いします。

お子さまが勉強に対して意欲的ではない場合は、「なんで勉強しないの!」と怒るのではなく、励ましたり、褒めたりして、前向きな気持ちで勉強に向かえるように導いてあげてください。

【4年生】お説教は短く、簡潔に

生活の中で、お子さまにさまざまなお説教をすることがあると思います。お説教そのものは、家庭のルールや社会の規範を伝えるものなので厳しさが必要です。

とはいえ、必要なのは厳しさであって、感情にまかせた言い方や叱り方ではありません。感情にまかせて叱ると、お子さまの心に浸透していきません。子どもの心にきちんとお説教を届けるには、『短く簡潔に話すこと』です。

長々と話してしまうと子どもは聞く気持ちを失い、『叱られていやだなあ』と思うだけになり、反省する気持ちを失ってしまうのです。くどくどと話すのではなく、短くきっちり話して終わりにしてくださいね。

【5年生】国語の模試の成績が低迷…対策は?

国語において、復習テストではいい点数をとれるのに、大きいテストだと伸び悩む、というお子さまはいらっしゃいますか?この原因は、応用力がないからではなく、大きいテストの素材文が難しいからです。

5年生の国語の長文読解は、通常の授業や小さいテストの素材文はやさしいのですが、大きな模試になると突然難しくなるため、お子さまの成績が伸び悩んでしまうのです。

前年の塾の模擬試験を先輩ママに借りられる場合は、借りて、じっくり解いてみましょう。四谷大塚に通っているお子さまの場合は、前年度問題集が購入できますから、ぜひ解いてみてください。

テスト問題が手に入らない場合は、1学年上の同じ単元の長文を解くことをおすすめします。なかなか正解は出せないかもしれませんが、模範解答を横に置きながら、「なぜこれが正解なのか」を考えてみるだけでも、成績が変わってくるはずです。

【6年生】計算は最後まで気を抜かない

わり算では、最後の引き算でミスをしてしまうケースが多くなっています。

こういったミスは、最後の計算をしている途中で、気持ちは『もう終わった』という状態になって、次の問題を見ながら計算していたりするために起こります。最後の引き算を間違えるのは、非常にもったいないですね。

答えをていねいに解答欄に書き終えるまで、気を抜かないように導いてあげてください。簡単な計算問題であっても、最後までていねいに計算するようにアドバイスしましょう。

【6年生難関】志望校別特訓では上のクラスを目指す

2学期から『志望校別日曜特訓』が始まります。

その学校の入試問題傾向に合わせた学習に集中できることになり、そのコースに参加できるできないが、合否に直結することになります。

でも、そのコースへの参加資格を得たからと言って、合格が保証されているわけではありません。

コースごとに、前年にその塾からその学校に合格した人数の3倍くらいが受講できるように、クラスの定員が設定されているようです。通っている塾が前年にA中学校の合格者を50人出していたら、A中学校の志望校別日曜特訓に参加できる生徒は150人いる、ということです。

志望校別日曜特訓は、コースごとにクラスがいくつかに分かれていることが多く、当然、上のクラスに在籍している方が合格率は高くなります。

授業内テストで、クラスを昇降させる塾が多いようですから、そのテスト時は入試本番と同等の集中力を持って、「1つでも上のクラス」という意気込みで臨んでください。

これで成功! 先輩ママの声かけ実例

3年生のとき、友だちに誘われて娘が全国模試を受けたら、中の上くらいで結構いい成績をとったんです。

「これなら、今から頑張れば難関中学も夢じゃないかも!」と思い、早速塾に通わせることにしました。

本人も最初はやる気をみせていたのですが、5年生になると入塾生徒が増え、塾の中での成績順位がみるみる落ちてしまい、6年生になった頃にはすっかりやる気をなくしてしまったのです。

本人が一番傷ついていたはずなのに、そこに目を向けてあげることができず、私は、「やればできるんだから!」と発破をかけるのみ。

毎日学校から帰ると塾の勉強、休日も勉強に追われた娘のストレスはマックス。

「もう、いや! なんでこんなに毎日勉強しなきゃなんないの! ○○中学に行きたいなら、お母さんが行けばいいじゃない!」と泣かれてしまいました。

おとなしくて、言うことをいつも素直に聞く娘だっただけに呆然。そして反省しました。

「ごめんね。確かにママの希望を押し付けちゃった。塾がイヤならやめてもいいし、あなたのペースで楽しめる範囲で勉強をしよう」と、嗚咽する娘の背をなでながらそう言いました。

すると、「自分の楽しめる範囲」という言葉にほっとしたのか、娘は自分のペースで着々と成績を上げていきました。

第一希望校には受かりませんでしたが、第二希望校に合格。

今、とても楽しそうに中学校に通っている娘を見て、ほっとしています。(しずか)


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