第4回 体験学習×塾×学童保育!新コンセプトの学習施設に行ってみた!

今の教育業界を斬る!中学受験指導塾のプロに聞いてみた!
2015年11月24日

第4回 体験学習×塾×学童保育!新コンセプトの学習施設に行ってみた!

inter-edu’s eye
「教育最前線に行ってみた!」では、普段何気なく目にするけど、なかなか行けない教育現場へ、皆さまの代わりに行って取材をしてまいります。第4回では、体験学習×塾×学童保育という新しいコンセプトのもと、玉川聖学院中等部・高等部と連携して開校したばかりの「ABI-STA(アビスタ)@玉川聖学院」へ。代表の大矢純さんにお話をうかがってきました。

一歩入るとそこは全て学びの場

何気なく置いてあるものにもこだわりが…

学習施設
全て学びの場

エデュ:新しいコンセプトの学習施設と聞いていますが、どういった思いで設立されたのでしょうか?

大矢さん:まずABI-STA(アビスタ)というネーミングには深い意味があります。様々な分野で活躍する大人が持つアビリティー(能力)がこのステーション(駅)に集まり、子どもという列車に乗り換えて未来に旅立つという意味です。既存の塾や学童保育とは異なる、ABI-STAでの体験学習や集団での遊びこそ、大きく価値観が変わるこれからの世の中で役立つと考えています。

エデュ:ABI-STAの特徴を教えてください。

大矢さん:ABI-STAは体験学習塾ですが、進学塾や学童保育として利用することもできます。学童保育としては、学校のある時期は13:30~19:00(オプションで21:00まで延長可)、夏休みなどの長期休暇中は8:30から、ここで過ごすことができます。もちろん、学校から家に帰って休んでから登校し、16:00~17:30の授業だけを受けることもできます。

エデュ:学童保育として通っている子どもたちは、どのように過ごしていますか?

大矢さん:子どもたちは宿題を終えてから、施設にある本を読んだり将棋をしたりおもちゃで遊んだりして一緒にすごしています。この時間を使ってコミュニケーション能力を身につけてほしいと思っていますので、この時間を「自由学習」と呼んでいます。その後、おやつを食べてから授業を受けます。

最近は、だれかの家にたくさんの友達が集まることもなくなりました。仮に集まったとしても、それぞれが違う携帯ゲーム機で遊んだりしています。残念なことに、コミュニケーション能力を養う機会を失っているのです。そこでABI-STAでは、集団で遊ぶためにいくつかの工夫をしています。

エデュ:それは何ですか?

大矢さん:一例ですが、メインで過ごすコミュニケーションスペースに置いてある机は、木曽ヒノキを使った高さ30cmの丸テーブルです。こうすることにより、子どもたち10人程度が集まり、何かをし始めるのです

子ども同士のトラブルからこそ学ぶことが大切

エデュ:子どもたち同士でのトラブルは起こりませんか?

大矢さん: もちろん起こりえます。ただこれは自然なことです。学校でもそうですが、子どもに限らず大人でも、社会にはトラブルがつきものなのです。将来のためには、ここからこそ学ぶべきだと思います。ですので、ABI-STAでは「失敗から守るのではなく、失敗から学ぶ」ことを親御さんに納得いただいたうえで入学してもらいます。ただもちろんトラブルを放置するわけでなく、子どもを育てあげた経験豊富な指導員が見守っていて、子どもだけでは解決できない場合は最終的に調整に入ります。

エデュ:なるほど、トラブルからも学ばせるのですね。 ところで、進学塾としてはどのようなカリキュラムですか?

大矢さん:算数・国語は中学受験を意識し、英語は大学受験やその先を見据えて授業を行っていますが、単に知識を詰め込む授業ではなく、ゴールデンエイジの低学年でしか身につけられない「センス」を身につけさせることに力を入れています

例えば、算数なら空間認識能力、国語なら心情理解など、高学年になってからでは「センスがなくて解けない」と言われるようなことに重点を置きます。低学年のうちは「読み・書き・計算」よりも「センスを身につける」方が大切なのです。

英語では、文科省のいう「4技能」をバランスよく身につけられるよう、日本人の講師は「読む・書く」に、ネイティブ講師の授業では「聞く・話す」に重点を置きます。さらに最新のフォニックスを導入し、音として英語を感覚的に覚えるような仕掛けづくりをしています。

エデュ:発達段階に応じて、伸ばすべきところをしっかり伸ばしているということですね。

<体験レポート1> 世田谷区の閑静な住宅街にある、玉川聖学院中等部・高等部のキャンパスに隣接した「玉川聖学院会館」にあるABI-STA。一歩入って第一に感じたことは「建物の外も中もとてもハイセンスで清潔」ということ。何気なく置いてある椅子や机は一流品、碁盤や将棋盤も本物で、本物に触れさせたいというこだわりを感じます。

さらに、置いてある本は、読むだけで勉強になり刺激を受けるものばかりです。誰もが一度は目にしたことのある、歴史漫画やドラえもんの学習シリーズなども。 建物は学校の建築基準で建てられているので、耐震性や耐火性は抜群です。また、各教室には防犯カメラが完備されていたり、登下校時をメールでお知らせするシステムが導入されていたり、安全対策も万全な上、もともと学校の教室なので天井も高く広々としています。

本物に接すると子どもは予想以上に急成長する

すべては将来の子どもたちの糧に

プロインタビュアーによる授業
子どもたちが書いたメモを発表!

エデュ:体験学習ではどのようなことをしていますか?

大矢さん:各分野で活躍している方をお呼びして、授業をしてもらっています。例えば、プロのアナウンサーに絵本を読んでもらったり、国立天文台の天文学者に最先端の宇宙について語ってもらったり、日本代表の元監督にスポーツを指導してもらったりしています。

ここで大切なのは、子どもたちに幅広く色々な経験をさせることです。さらに、それは一流の経験であることが重要です。子どもは、私たちが思っている以上に、本物を嗅ぎ分け刺激を受けます。そのような体験こそが、30年後に最前線で活躍できる人材を育てるのだと思っています。

エデュ:体験学習でこだわっている部分を教えてください。

大矢さん:子どもだからといって、子ども扱いしないことですね。難しくても手加減せず本物を体験させるようにしています。周りの大人が手加減すれば子どもの成長はそこまでですし、手加減をしなければ大人顔負けに成長するものです。

体験学習に限りませんが、最もこだわっていることは、失敗やトラブルから学ばせることです。 ただ、これはなかなか解りにくいので、私自身がABI-STAの取り組みを個別にご説明し、それに共感・納得いただいた方だけに入学していただいています。そうすることで教育方針に筋が通るのです

<体験レポート2> 取材した授業は、プロインタビュアーの佐藤智子先生と生徒2人による授業でした。授業の前半は、先生の話した内容を、ノートにポイントを抑えてメモし、発表するというもの。先生の話すスピードは速いので、全て書くことは難しく、どこが要点なのかを考えないといけません。また書くだけでなく、みんなの前でそれを発表するので、国語力のアップとともに、インプット・アウトプットが自然とできるようになります。

後半では、インタビュアーになったという設定で、お互いがエピソードを話し、それについて質問するということをしました。相手の話を聞き、関心を持たないと質問できないので、コミュニケーション能力のアップにつながります。 見学させていただいた生徒2人は、とても上手にできていましたが、実はこの2人、つい数週間前まではあまりできなかったそうです。先生も、2人の成長ぶりにはとても驚いていました。

真のエリートの定義とは…

代表の考える今後の取り組み

ABI-STA
代表 大矢氏

エデュ:今後の目標を教えてください。

大矢さん:さらに幅広い分野の一流の方々とのコネクションを増やし、子どもたちの体験学習につなげていきたいと思っています。また、玉川聖学院会館にあるので、学校の良さもさまざまな場面で実感していただきたいと思っています。玉川聖学院にはパイプオルガンや情報センターなど、すばらしい施設が充実しているし、すばらしい先生がたくさんいらっしゃいます。子どもたちにも、とてもいい刺激になると思っています。

エデュ:最後に、めざす子どもたちの将来像を教えてください。

大矢さん:30年後に最前線で活躍できるエリートですね。ただここでいうエリートとは勉強ができるだけではありません。持論ですが、真のエリートとは、自分だけでなく、その周りの多くの人々も幸せにできる人だと思っています

そのためにABI-STAで色々な事を体験したり、コミュニケーション能力やコンビネーション力を高めたりして欲しいのです。もちろん、受験に成功して志望校に行くことも大切です。しかし、それだけでなく、30年後にさまざまな分野の最前線で活躍できる「人財」であることが、めざす将来像ですね。

編集者から見たポイント

学童保育×体験学習×塾それぞれの良い所を活かしつつ、オリジナリティーのある教育を行っているABI-STAには、まさに教育の最前線であるなと感じました。まだ一般的には認知されていないかもしれませんが、これからドンドン拡大していくのではないでしょうか。今回おうかがいしたのは「ABI-STA http://www.abi-sta.com/」です。興味を持った方は、ぜひ一度サイトをご覧ください。

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