第6回 心の感動は一生残る!探究学舎に行ってみた!
第6回 心の感動は一生残る!探究学舎に行ってみた!
inter-edu’s eye
「教育最前線に行ってみた!」では、普段何気なく目にするけど、なかなか行けない教育現場へ、皆さまの代わりに行って取材をしてまいります。第6回は、私立中高でも授業で取り入れている所が増えている、「探究学習」を塾で教えている「探究学舎」に行ってきました。どのような授業をしているのか、探究学習に対する思いなどをうかがってきました。
【探究学舎代表 宝槻泰伸プロフィール】
高校退学~大検取得~京都大学~卒業後すぐに起業。高等学校、大学、民間企業で講師として様々な年齢層に対して研修や授業を提供する。現在は探究学習を柱とした学習塾「探究学舎」の代表を務める。
自らの経験を活かし、『強烈なオヤジが高校にも塾にも通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話』『勉強嫌いほどハマる勉強法』の著書も執筆。
【探究学舎代表取締役 森本佑紀プロフィール】
大学卒業まで関西で過ごし、卒業後は広告・流通関連企業に就職しビジネスを学ぶ。2014年にtanQIncを宝槻代表とともに起業。
学校の勉強がつまらない…設立までの背景
紆余曲折を経て、たどり着く
エデュ:まず探究学習の特徴について教えてください。
宝槻さん:探究学習は、勉強のように受動的ではなく、主体的であり、ストーリー性を持って行います。私たちは答えを教えるのではなく、種撒きを行い、それに対し子どもたちが興味を持ったことを自発的に探究していきます。
また学校の勉強はひとつの答えがあって、そこにたどり着くにはこうやってやる、こう考えるというのを反復してやります。一方探究学習は答えがなく、問いから入ります。疑問に感じたこと、興味を持ったこと驚いたことなどに対して各個人で調べていきます。
エデュ:探究学舎を始めようと思ったきっかけを教えてください。
宝槻さん:私自身に紆余曲折があり、学校の勉強が非常につまらなく感じ、大学受験が形骸化しているなと思ったのがきっかけです。そこから高校を中退し、大検を受けて京大に入り、20歳のときに、その問題をビジネスの立場で解決していける人になりたいと思いました。
でもいきなり探究学舎を作るのではなく、私立の高校で出張授業したり、ITの教育システムを開発して学校・大学に売ることにチャレンジしたり、企業の研修に携わったりしていました。それが約7~8年続きました。
その中で、当時高大接続が重要な課題だと感じていました。なぜなら、教育のゴールが良い大学に行くとなっていたからです。でも実際は何をやりたいかのビジョンを掲げて、それに基づいて進路を想像していくステップが必要だなと感じていました。それが如実に出るべき所で出ていないのが、高大接続です。この現状を何とか打開したいなと思いました。
答えではなく、「問い」を追いかけるのが探究学習
子どもの感動・驚きが重要
エデュ:なぜ塾にしようと思ったのでしょうか?
宝槻さん:学校に講師として教えに行くのは、スポット的な関わりですが、塾であれば子どもたちの教育に、長期的に関われると思ったからです。当時、問題視していたのが高大接続なので、高校生の塾生が多かったのですが、中学生・小学生という順番で生徒が増えていきました。
エデュ:実際に授業はどのように行われるのでしょうか?
宝槻さん:小学生の場合は週に1回、理科・歴史・人物史からテーマを決め、こちらからの「問い」に対して生徒同士で対話・ディスカッションしていきます。先ほど話した通り、答えはなく、疑問に感じたこともそれぞれ違います。生徒の反応は分かりやすく、大抵面白いという反応ですが、時には今日はいまいちだったということもあります。
探究学舎では通信教育も行っていますが、大切にしていることがあります。それは「感動」です。なぜなら人は知識で覚えることよりも、感動したり、心を動かされたことの方が記憶に残るからです。
エデュ:通信教育はどのような内容ですか?
森本さん:通信の場合でも基本的には「問い」を追いかけます。こちらから与えた「問い」に対し、疑問感じた部分をとことん追いかけます。このときにポイントになるのが「親の存在」です。
子どもが興味を持った部分を一緒に調べ、「ここはこうなっているけどどういうことなんだろう?」とフィードバックし、興味を引き出してあげます。これを繰り返すことにより、自ら学ぶ姿勢が身についていきます。余談ですが、探究学習を一緒にやっていると、親御さんの方が楽しくて熱中するみたいです。
【体験レポート】
森本さんに、通信教育の様子を見せて頂きました。通信教育ではご家庭で調べた内容を、動画として発表することができます。これを見ることにより「なるほど、他の家庭ではこうやっているのか」と情報を共有し、次に活かすことができます。動画を実際に見せてもらいましたが、どれも低学年がつくったとは思えないもので、内容もさることながら、子どもたちが目を輝かせて発表していたのがとても印象的でした。
代表の大きな目標は「勉強を死語にする」こと?
何歳になってもチャレンジャーであってほしい!
エデュ:探究学習のメリットを教えてください。
宝槻さん:これから、そして今の時代に必要になってくるであろう、情報編集力・表現力・創造力、自分が何をしたいのかを伝える力、相手と理解し合える力が包括的に自然と身につく点ですね。
また、目に見える部分ですと、探究学舎でも学校の授業でも手が自然と挙がるようになるみたいです。あとは、探究学舎に来ると驚きと感動があり誰かと情報をシェアしたいという気持ちが生まれ、授業内容を目を輝かせて家庭で話すので、家族間のコミュニケーションにもつながります。
エデュ:子どもたちの理想の成長像はありますか?
宝槻さん:大人になっても自ら学ぶ姿勢を持ち、チャレンジャーになってもらいたいですね。分かりやすいのは起業ですが、必ずしも大きな会社の社長とかではなく、「町のおいしい豆腐屋になるために、理想の味を探究しつづける」など、人それぞれあっていいと思います。
さらにもっと大きな目標としては探究学習を通し、勉強という概念をなくし、何十年先になるかもしれませんが、「勉強という言葉を死語にしたい」と思っています。
編集者から見たポイント
紆余曲折を経てお2人がたどり着いた探究学習には、将来性を感じました。現在の受験とはかけ離れているかもしれませんが、人生は一生学びの場です。その学びの力を育むことができる、探究学習に今後も注目していきたいと思いました。
今回おうかがいしたのは
「探究学舎http://tanqgakusha.jp/」です。興味を持った方は、ぜひ一度サイトをご覧ください。
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- 2020年10月26日 わが子が「面白い!」を見つけ、将来に生かしていくには? ~ロボット工学の世界的権威者に聞く~【前編】
- 2020年9月30日 新しいステージへ! 桜蔭のICTへの取り組み【Vol.3】
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