第7回 難関大学 合格実績1桁から200名の学校内予備校に行ってみた!

inter-edu’s eye
「教育最前線に行ってみた!」では、普段何気なく目にするけど、なかなか行けない教育現場へ、皆さまの代わりに行って取材をしてまいります。第7回では、学校内予備校を運営している「RGBサリヴァン」に行ってきました。その独自のシステムとこだわり、そして教育の最前線で見て感じていることなどを、代表取締役社長 土岐靖氏(写真左)、副社長 吉田茂氏(写真右)にうかがってきました。

あえて面倒を見ない教育とは?

「人間教育」が本来の学校の役目

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エデュ:まず「学校内予備校」とはどんな仕組みなのか教えてください。

土岐さん:私たちは現役の講師を学校に派遣し、大学受験指導を行っています。進学実績を上げるだけでなく、「フェロー」という学習指導責任者が常駐し、学校の先生と相談し学習計画の立案・管理を行っています。生徒用の面談机、印刷機・コピー機、講師控室があり、職員室をイメージしてもらうと分かりやすいと思います。

吉田さん:「学校、生徒、保護者、フェロー、講師」が一体となり、生徒をサポートしていきます。ただ、これだけ見ると手厚いように見えますが、保護者には「うちは面倒見が良くないですよ!」と伝えています

エデュ:それはどういうことでしょうか?

土岐さん:RGBサリヴァンでは、受験を通し、「自立・自学」を身につけてもらいたいと考えています。例えば、授業をする際に、多くの塾や予備校ではプリントを忘れてくると新しいのを渡すと思いますが、私たちは渡しません。

吉田さん:授業に来るのは自分が受験で勝つためなので、プリントを手に入れるにはどうすればいいのかを考えさせます。「面倒見がいい」というのは聞こえがいいかもしれませんが、それでは子どもはいつまでたっても自立できません。
実はこの問題は、いま学校教育に対して心配していることでもあります。

エデュ:どのような点でしょうか?

土岐さん:元々学校は「人間教育の場」ですが、少子化の波に追われ、進学実績を上げないと生徒が集まりにくくなってしまっています。その対策として勉強に力を入れ、昼間の授業が塾・予備校化してしまっているケースが見られるのです。こうなってしまうと、勉強ができる生徒は輝けますが、そうでない子は輝ける場がなくなってしまいます。

輝ける場所がないと、自己肯定をすることができなくなってしまい「自立・自学」ができません。そのために、文化祭・体育祭・音楽祭など学校ならではのイベントに力を入れて、一人ひとりが輝ける場を作ってあげてほしいですね。

あの有名な講師と一緒に、大阪で授業を

学校内予備校は無駄がない

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エデュ:「学校内予備校」をはじめようと思ったきっかけを教えてください。

土岐さん:10数年前に、大阪のある高校から、当時問題視されていた少子化対策をするために、進学実績を上げていきたいという依頼を受けたのが、始まりですね。依頼を受け、今ではテレビでも有名な講師とその高校に行き、授業をするようになりました。その結果、関関同立の合格者が1桁だったところが、4~5年で200名近くになり、他からも声がかかるようになりました。そこでいっそのこと会社にしようと考えました。

エデュ:当時の生徒の反応はいかがでしたか?

土岐さん:当時はカリスマ講師が話題になっていたのと、東京からわざわざ予備校の講師が来るということで、生徒から見ても盛り上がる空間で非常にやりやすかったですね。

エデュ:学校内予備校の最大のメリットを教えてください。

吉田さん:生徒にとって最も効率が良く・無駄がないことですね。例えば学校とは別に、予備校に通っている場合、別々の教材を使うので非常に効率が悪くなってしまいます。その点学校内予備校では、同じ教材を使うので、1冊しっかりやりこむことができます。また学校の先生と情報共有会という時間を作り、科目の共有、進路、生徒の成績についてしっかり話し合います。また保護者に対しても、保護者報告会という形で、年に3~4回、生徒の現在の学力・状況をお伝えしています。

金銭面でも、塾・予備校に通う交通費がかからないのと、学校内にあるので親御さんから見て信頼・安心感も全然違うという声をいただきます。

エデュ:授業で気をつけていることはありますか?

土岐さん:学校のやり方を否定しないことです。元々学校は人間教育が根底にあり、受験はプロではない先生もいて、同じ土俵ではありません。そこで外部から入ってきた我々が、学校のやり方を否定してしまうのは少し違うかなと思っています。ですので、派遣している講師には、学校のやり方や教材は絶対に否定しないでほしいと伝えてあります。

E判定から東京外国語大学合格を実現

目標に届かなくても、届くようにサポート

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エデュ:今までで印象に残っているエピソードを教えてください。

土岐さん:東京外国語大学を目指している生徒がいたのですが、センター試験が近い模試でE判定が出てしまって…。通常の学校であれば、志望校を変えさせようとしますが、私たちは違いました。目標に届かない場合、諦めてしまうのではなく、目標を達成するためには何をすればいいのかを先生・生徒としっかり話し、実践します。その生徒は結果的に前期試験は落ちてしまいましたが、後期試験で受かることができました。ただここまでに行くには、お互いに信頼関係がないとできません。私たちはそのために日頃から、生徒とコミュニケーションをとっています。

途中で何があろうともやりきることは「自立」につながりますので、ここは大切にしています。

エデュ:今後の目標を教えてください。

土岐さん:2つあります。1つ目は、お手伝いする学校を増やすことです。人財不足で待ってもらっている学校はあるのですが、形だけ整えて安易に請け負いたくないというこだわりがあります。

2つ目は、私たちは10年以内に、世界の中から大学を選ぶ時代が本格化すると考えています。つまり、東大がトップという概念がなくなるわけです。その時に会社としては海外の大学に受かるにはどうすればいいのか、生徒が世界で活躍できるようにするにはどうすればいいのかを現在模索しているところです。

編集者から見たポイント

教育の最前線で生徒としっかり向かい合っているからこそ感じている「人間教育」に対しての問題点は、説得力がありました。学校が成績重視になってしまうのも、仕方ないのかもしれませんが、本来の役割を今一度考えなおす必要性を感じました。
今回おうかがいしたのは「RGBサリヴァンhttp://www.sullivan.co.jp/」です。興味を持った方は、ぜひ一度サイトをご覧ください。


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