第8回 ネットいじめ対策のエキスパート会社に行ってみた!

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「教育最前線に行ってみた!」では、普段何気なく目にするけど、なかなか行けていない教育現場へ、皆さまの代わりに行って取材をしてまいります。第8回では、教育現場でのネットいじめ対策、ソーシャルメディアの活用についてトータルサポートをしている、「アディッシュ株式会社」に行ってきました。その中のサービスの一つで、学校と連携した取り組みが注目を集めているのが「スクールガーディアン」です。スクールガーディアン事業部長佐々木さん、営業部の鈴木さん、運用部の平田さんにお話をうかがってきました。

ネットいじめから命の大切さを伝える!

ネットパトロール・講演活動とは?

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エデュ:まずスクールガーディアンの設立背景を教えてください。

佐々木さん:きっかけは、ネットいじめが原因で、ある男子高校生が自ら命を絶つという悲しい出来事が起こったことでした。その時に、もっと私たち大人にできることがあるのではないか、まずは大人が子どもたちの利用実態を把握する必要性があると思い、2007年にこのサービスを立ち上げました。

エデュ:「ネットいじめ」の最近の傾向は、どのようなものですか?

佐々木さん:中高生などの場合は、LINEで悪口を言ったり、グループから外したりする「LINE外し」ですね。直接的な暴力と違い、表面的には見えにくいのと、本人たちがいじめているという感覚がないのが特徴です。

エデュ:具体的に教えて頂けますか?

平田さん:第三者には、LINE上のやり取りは当然見えません。ですので、ネットいじめは余計見つけにくくなってしまうのです。

インターネットに対する意識は年代別で違う!

生徒たちでのルール作りはしっかり守る!

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エデュ:なるほど、実際にスクールガーディアンではどのような活動をしていますか?

佐々木さん:大きく分けると2つあります。1つはネットパトロール、もう1つは学校での講演を通しての啓発活動です。現在、全国12自治体と私立中高でおよそ180校に導入いただいており、これまでにネットパトロールを行った学校数はのべ1万校を超えます。

エデュ:すごい数ですね。実際に現場を見て感じることはありますか?

鈴木さん:学校により異なりますが、特に先生方の年代によってインターネットに対する意識が違うことが多いです。例えば30代の先生は、学生時代からインターネットやソーシャルメディアが身近にあったので、生徒に対する指導とあわせて正しい利用方法を伝えようとします。一方、年配の先生方は、頭から「ソーシャルメディアは悪」という意識が強いですね。

いうまでもなく、現代社会ではインターネットは必要不可欠なので、保護者や我々のような存在が、子どもたちがネットでのいじめやトラブルなどを起こしてしまったときに、なぜそれが駄目なのか、正しい使い方とあわせてきちんと伝えていく必要があると思っています。

エデュ:活動を通し、うまくネット環境と付き合っているなと思う学校はありますか?

鈴木さん:高知のある私立校では、2009年頃まで携帯・スマートフォンの持ち込みさえ不可としていましたが、今ではソーシャルメディアを積極的に取り入れる方向にしました。学校からの連絡はLINEにし、クラス・部活のグループを作り、双方向で意見交換などをしています。

エデュ:そのような取り組みをしている学校は多くありますか?

鈴木さん:程度の差はありますが、全国的に見ると増えつつあります。ただそのためには、きちんとルールを作らなければいけません。

神奈川のある学校では、高校2年生が中学1年生に情報モラル講座を行い、同じ目線で失敗談を交えながら授業を行っています。あとは生徒たちでルール作りをしていたりします。禁止されるとどうしてもやりたくなってしまうのが、人間の心理ですので…。先生が作ったものを押し付けるわけではなく、自分たちで作ったルールだと、しっかり守れるようです。

子は親の行動を真似る!何気ない行動は落とし穴!

小学校低学年から知るソーシャルメディアの怖さ

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エデュ:子どもたちにスマートフォンを与える時期はいつ頃がいいと思いますか?

佐々木さん:私は、早い時期、具体的には小学校低学年から与えてもいいと思っています。ただし与える側がきちんとした使い方を教えたり、フィルタリング機能をしっかり設定する必要はあります。 その上で、いろいろな失敗を経験してほしいです。社会に出てから大きな取り返しのつかないミスをするより、小さなミスを幼いうちにしてインターネットや、ソーシャルメディアの怖さを知った方がいいと思います。

エデュ:そうなると大人がしっかりした使い方を知る必要がありますね。

平田さん:そうですね。実際に起こったことですが、ママ友同士の「LINE外し」を子どもが見ていて、自分たちも学校で同じことをやってしまうケースがありました。子どもは一番身近な親御さんのすることを、見ていないようで、意外と見ています。このあたりを踏まえて、与える側がきちんとした使い方をしているのかどうかを見直してみる必要があると思います。

エデュ:間違った使い方を子どもがしていた時、親はどうすればいいですか?

佐々木さん:正しい使い方を教えてあげてほしいですね。そのために私どもでは保護者の方に向けた講演も行っています。禁止して取り上げてしまいますと、余計にやりたくなってしまったり、気になって勉強に集中できなくなったりしてしまいます。なによりネットに関する知識、ソーシャルメディア上でのコミュニケーションはこれからの時代必須ですので、上手に付き合ってほしいですね。

平田さん:あとは家庭での会話でちょっといつもと違うなと感じたら要注意ですね。そのためには日頃からコミュニケーションをとるようにしましょう。

エデュ:最後にこれからの目標を教えてください。

佐々木さん:一昔前と違い、いじめがLINEや学校裏サイトなどの見えない場所で起きるようになっています。子どもたちの声をいかに見える化し、拾い上げていくかが課題であり、目指すところです。合わせて、大人たちのネットリテラシーの向上です。講演などの啓発活動を地道に行いながら、リテラシーの向上を目指して努めていきます。

編集者から見たポイント

ソーシャルメディアの発達により、便利になった分、それによる弊害が行っているのも事実です。わが子にスマートフォン・携帯電話を持たせたときにうまくつき合えるよう、まずは親御さん自身がしっかりした知識を身につけることが必要です。一度インターネット上で発言した言葉は消すことができません。ご自身のインターネットの使い方や、LINE、メールでのやり取りなどを今一度、見直してみるのもいいかもしれません。
今回おうかがいしたのは「アディッシュ株式会社http://www.adish.co.jp/」です。興味を持った方は、ぜひ一度サイトをご覧ください。


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