中受ママにこそ知ってほしい! 国際バカロレアの話:大学リサーチ第12回

中受ママにこそ知ってほしい! 国際バカロレアの話2014年9月22日

inter-edu’s eye

最近よく耳にする「国際バカロレア」。海外のみならず日本の大学入試にも活用され始めましたが、「よく分からない」というお母さまは多いのではないでしょうか。中受ママにこそ、今知っておいてほしい「国際バカロレア」について、リサーチしました。

■そもそも「国際バカロレア」って何?

国公立が並ぶも、東大は25位!?

「国際バカロレア」とは一言で言うと、国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムです。英語では「International Baccalaureate」と表記し、「IB」と略します。このプログラムにより取得できるIB資格は、世界共通の大学入学資格であり、世界100か国以上、2万校以上の大学で入学資格や受験資格として認められています。つまり、国内にいながらグローバルな力を身につけ、世界の大学進学への可能性を広げることができるのです。

このプログラムの目的は、全人教育を通じて主体性を持ち、バランス感覚に優れた国際社会で貢献できる人材を育成すること。ここで言う全人教育とは、次の10の学習者像を目指した教育を意味します。

<10の学習者像>
  • ・探求する人
  • ・知識のある人
  • ・考える人
  • ・コミュニケーションができる人
  • ・信念のある人
  • ・心を開く人
  • ・思いやりのある人
  • ・挑戦する人
  • ・バランスのとれた人
  • ・振り返りができる人

また、プログラムは年齢に応じてPYP・MYO・DP(下記参照)の3つに分かれています。IB資格を取得するには、DPの2年間のカリキュラムを経て、試験で所定の成績を収めることが必要です。

<3つのプログラム>
  • ・PYP (Primary Years Programme:初等教育プログラム) 3歳~12歳
  • ・MYO (Middle Years Programme:中等教育プログラム) 11歳~16歳
  • ・DP (Diploma Programme:ディプロマ資格プログラム) 16歳~19歳

■有名大学の入試に続々と導入

下記表1・2のとおり、国内でも「国際バカロレア」を入試に活用している大学は続々と増えており、東京大学、京都大学などが新たに導入する方針を決定。既に導入している上智大学、大阪大学などでは、さらに拡大し、全学部での導入が予定されています。また、文部科学省では各大学に対し、活用を促進するための働きかけも実施しており、今後ますます増えていくことが予想されます。

表1. 現在実施中の入試例

入試区分 対象学部
早稲田大学 AO入試 国際教養学部、政治経済学部、英語による学位取得プログラム(政治経済学部、社会科学部、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部)
上智大学 国際教養学部、理工学部(物資生命理工学科グリーンサイエンスコース、機能創造学科グリーンエンジニアコース)
玉川大学 国際バカロレアAO入試 全学部
岡山大学 国際バカロレア入試 理学部、医学部保健学科、工学部、農学部、マッチングプログラムコース
関西学院大学 グローバル入試IB入試 神学部、文学部、社会学部、法学部、経済学部、商学部、人間福祉学部、国際学部、教育学部、総合政策学部
横浜市立大学 国際バカロレア入試 国際総合学部(国際教養学系、国際都市学系、経営科学系、理学系)
大阪大学 学部英語コース特別入試 理学部、工学部、基礎工学部(化学・生物学複合メジャーコース)、人間科学部(人間科学コース)
国際教養大学 AO入試 国際教養学部

表2. 今後導入予定の入試例

入試区分 対象学部・開始時期
東京大学 推薦入試 推薦要件に合致することを証明する根拠となる書類例として、IB成績証明書も明示(法学部、教養学部)(2016年度から)
京都大学 特色入試 提出書類の仲に記載する高校在学中の顕著な活動歴の例として、IBの成績も明示(2016年度から)
慶應義塾大学 帰国生・IB入試 法学部(今年9月入試から)、総合政策学部・環境情報学部でも調整を開始
筑波大学 国際バカロレア特別入試 全学群・学類(今年10月のアドミッションセンター入試および国際科学オリンピック特別入試と同時期)
上智大学 全学部(2016年度から)
大阪大学 グローバルアドミッションズオフィス(GAO)入試 全学部(2017年度から)

■IB資格取得の一歩は中高選びから

勉強ばかりになっていませんか?

IB資格を取得するには、国際バカロレア認定校にてプログラムを受ける必要があります。2014年時点で、日本における認定校は27校。その内、学校教育法第1条に規定されている学校は、玉川学園中学部・高等部、東京学芸大学附属国際中等教育学校など7校で、その他多くはインターナショナルスクールです。来年度は都立国際高校が、都立ではじめて導入を予定しています。

政府は、「2018年までに国際バカロレア(DP)認定校を200校にまで増加させる」という目標を掲げています。今後4年間、公・私立問わず、国内の学校に急速な動きがあることは間違いありません。これから中学受験を控えているご家庭にとって、進路選択にはずせないチェック項目の一つになるのではないでしょうか。