大学入試センター試験ってどうなるの?: 大学リサーチ第15回

大学入試センター試験ってどうなるの?〜 現小学生が受ける頃〜2014年11月10日

inter-edu’s eye

昨年10月、政府よりセンター試験の廃止、および「達成度テスト(仮称)」の導入が提言されたのは覚えていますでしょうか。新制度開始が「早ければ5年後」とのことで、エデュママのみなさまにとっても他人事ではないと感じられたことと思います。あれから1年経ち、提言内容はどのように動いているのでしょうか。お子さまの未来を左右するかもしれないこのニュースのその後を追いました。

■導入は現「小6生」の大学受験から!?

導入は現「小6生」の大学受験から!?

先月24日、中央教育審議会は、大学入試改革に関する答申(案)をまとめました。その内容によれば、現行の大学入試センター試験に代わる試験は「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」とされ、平成32年度から段階的に実施、翌年度の大学入学者から適用されるとのこと。昨年度に発表された「達成度テスト(仮称)」から名称も変わっていますが、その導入時期も「早ければ(平成23年から)5年後」から後ろ倒しになっています。

当該年度の大学入学者と言えば、現在の小学6年生が大学受験をするころです。この答申案どおりに実施されることになれば、多くのエデュママのご家庭のお子さまが、先陣を切ることとなるかもしれません。

■必要なのは「思考力・判断力・表現力」

注目すべきは、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の目的・活用方策です。同答申(案)によれば、「『確かな学力』のうち『知能・技能』を単独で評価するのではなく、『知能・技能を活用して、自ら課題を発見し、その解決に向けて探究し成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力(思考力・判断力・表現力)』を中心に評価」とされています。これは、「知能・技能」を問う問題が中心となり、「1点刻み」の客観性が重視される大学入試センター試験と大きく異なる点です。

上記を踏まえ、試験内容は「教科型」に加えて教科・科目の枠を超えた思考力・判断力・表現力を評価するための「合教科・科目型」「総合型」の問題を組み合わせて出題されるとのこと。また、作問イメージは「PISA型」※の問題が想定されています。

※PISAとは…生徒の学習到達度調査(Programme for International Student Assessment)の略。「知識や技能を実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるかどうか」をみる。

■中学受験前から考えるべきこと

中学受験前から考えるべきこと

このような動きに対し、教育現場には温度差がある模様です。進路情報研究センターの「達成度テストに関する高等学校への調査報告書(2014年4月11日)」によれば、全国高等学校の進路指導部教員の7割が「現行の大学入試センター試験は変えるべきか?」という問いに「このままでよい」と回答。また、「現行入試での1点刻みの弊害は感じるか?」という問いに8割以上が「あまり感じない」と答えています。その一方で、既に「思考力・判断力・表現力」を鍛える教科や「PISA型」※の学力を身につける取り組みを行う中学校・高校や塾もあるのです。

こうした現状を踏まえると、これから中学受験を控えるお母さま方は、中高選びや塾選びの際にも、大学入試改革の動きを意識するべきでしょう。また、ご家庭でも日頃からお子さまの「思考力・判断力・表現力」を高める教育を心がける必要があるのではないでしょうか。大学受験の準備は、もう始まっていると言えるのかもしれません。