小学生からはじめられる! ‘就活’に負けない意識づくり:大学リサーチ第21回

小学生からはじめられる! ‘就活’に負けない意識づくり2015年2月9日

inter-edu’s eye

例年、この時期ポツリポツリと見かけるようになる、リクルートスーツを着た大学生たち。そういえば今年は見かけない、と感じた方もいるのではないでしょうか。実は、今年度から大学生の就職活動が大きく変わっているのです。いま小学生のお子さまにも、十数年後きっと影響があるであろう、この‘就活’事情。独自の視点でリサーチしました。

■短期決戦化のメリット・デメリット

2015年度! 動き出す卒業要件厳格化

経団連が発表している指針によれば、2016年卒業予定の大学生(現大学3年生)から、就職活動のスケジュールが変わります。企業説明会・エントリーの開始時期は、2015年卒業予定の大学生(現大学4年生)までが「大学3年次の12月」だったのに対し、変更後は「大学3年次の3月」。3か月後ろ倒しになるということです。

表1. 就活スケジュール新旧比較

企業説明会・エントリー 面接・試験 内定
2015卒まで 大学3年次12月〜 大学4年次4月〜 大学4年次10月
2016卒から 大学3年次3月〜 大学4年次8月〜 大学4年次10月

この変更は、大学生の「学業に専念する時間」を確保することを目的としたもの。3年生の終わりまで勉強に集中できる、留学しても不利にならない、インターンシップ参加機会が増える、など多くのメリットがあります。

一方、選考が短期決戦になることで、準備不足の学生は、今まで以上に内定獲得に苦戦することが考えられます。メリットを生かせる人、生かせずに苦しむ人の格差が広がる傾向が予想されます。

■大学や企業はどう動いている?

では、この就活事情の変革期、大学はどのような対応をしているのでしょうか。昨年12月に発表された文科省の「学生の就職・採用に関する調査」によれば、65.8%の大学がきめ細やかな就職相談を行うためにキャリアカウンセラーを配置し、そのうち92.7%が「効果あり」と回答。また、61.7%の大学がインターンシップの強化・充実等を「既に行っている」または「行う予定がある」とのこと。

一方、企業側の採用活動はどのように変化しているのでしょうか。同調査とともに発表された「民間企業における学生等の採用活動の状況に関する調査」によれば、従業員数5,000人を超える企業の60%以上が「海外留学経験者の採用を拡大する」と回答。また、インターンシップやリクルーター活動、企業独自のイベント開催など、非公式な採用活動の増加を予想する声が多くのメディアに上がっています。

これらの大学、企業の動向から考えられるのは、全体の就活時期が後ろ倒しになる分、個人の意識は早期から高めたほうがいい、ということ。キャリアカウンセラーに相談したり、インターンシップに参加したり、自ら積極的に動く姿勢が大切です。また、そこで得られた企業との接点を最大限に生かし、自分の強みをアピールすることが重要となるでしょう。

■きょうからはじめる意識づくりとは?

未来を描ける子育てを!

早期からの意識づくりという点では、小学校のうちからできることもあるはずです。将来就きたい職業について話したり、実際に働いている大人と接したり、日常的にお子さまが就業観を持つ機会をつくってみてはいかがでしょうか。また、その際に大切なのは、働くことに前向きな気持ちを抱かせること。

彼らにとって就活とは、「ルールが分からないまま一人で参加するゲーム」「ゴールの見えない山登り」「苦しみと運で自分の将来を決めるもの」など、孤独で先の見えないイメージのものなのです。

変わりゆく‘就活’事情。お子さまが前向きな気持ちを持ち続けるためには、一緒に将来を考えてくれて、応援してくれる身近な大人、つまりお母さまの存在は、とても重要なのではないでしょうか。