入学後の「あれ?思っていた生活と違う…」はミスマッチが原因

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大学は本来学問を学ぶ場ですが、「就職予備校」、「学生の天国」、「大学中退者増」などと聞くと、不安になるお母さまも多いのではないでしょうか?こうなってしまう背景には、大学と学生とのミスマッチがあります。では、なぜこのようなことが起こってしまうのか、学生側はどうすればいいのかをリサーチしました。

学生が大学を去る理由は?

大学入試

下記の表は、文部科学省発表の平成24年度の中途退学者の状況をまとめた表です。これを見てみると、平成19年度と比べて大きな変化があるのは学費の支払いが困難になってしまう、「経済的理由」そして、「学業不振」です。実はこの2つには密接な関係があります。学習意欲が低下してしまい、留年。そうすると1年間分の学費が上乗せされ、支払い困難。その結果中途退学になってしまいます。学習意欲がなくなる背景には、大学とのミスマッチが大きく関係しています。ではなぜそのミスマッチが起きてしまうのかを、次に見ていきましょう。

学生の中途退学や休学等の状況について

理由 数値(カッコ内は平成19年度の数値)
学業不振 14.5%(12.7%)
学校生活不適応 4.4%(5.1%)
就職 13.4%(14.4%)
転学 15.4%(14.9%)
海外留学 0.7%(0.9%)
病気・けが・死亡 5.8%(6.1%)
経済的理由 20.4%(14.0%)
その他 25.3%(31.5%)

※平成24年度9月発表データ

なぜミスマッチは起きてしまうのか?

まず原因の一つとして挙げられることに、大学が開示している情報と、現実がかけ離れている点があります。大学のホームページでは学部・学科の教育内容について書かれていたが、実際の授業はイメージと大きくかけ離れていてしまっていたということがあります。

2つ目は環境の変化です。高校は50分授業ですが、大学は90分授業になる点、そしてこれは大学や授業によっても異なりますが、高校とは比べものにならないぐらいの講義規模になります。ここに大きなギャップや長時間の授業により倦怠感が生まれてしまい、学習意欲をそがれてしまうことがあります。

3つ目は学部・学科の調査不足です。例えば、経済学部に入りたくて受験したが、第一志望に落ちてしまい、同じ学部名で、よく知らない大学の経済学部に入ったら学ぶ内容が異なっていた。このようなケースは意外に多くあります。

大学のミスマッチ対策はどうなっているの?

次に、大学側が行っている学生とのミスマッチを減らすための対策を見ていきましょう。

大学の求める学生像を明確にした推薦入試・AO入試

近年、東大では推薦入試、京大では特色入試を取り入れ、注目を集めました。とくにAO入試(アドミッションズ・オフィス入試)は、目的意識や熱意・意欲を重視しているので、「何となく大学に行きたくて…」では、大学に入ることができません。大学と学生が「お見合い」をして入学するので、ミスマッチを減らすことができます。

作られた授業ではないWCV

WCVとは「weekday campus visit(ウィークデーキャンパスビジット)」の略。オープンキャンパスなどの高校生向けに行われる模擬授業ではなく、実際に通っている学生が受けている授業を体験することができます。「大学を知る」というとオープンキャンパスを想像すると思いますが、ほとんどが高校生向けに優しい言葉で作ってあったりします。WCVでは、受験生向けではなく、入学した学生目線で授業を受けれられるので、オープンキャンパスよりさらに、自分にその大学が合うのか、学びたいことはあるのかを知ることができます。

「やっぱり興味が変わった」を修正できる制度

入学前に大学のことをしっかり調べたけど、「やっぱりイメージと違った」、「勉強していく中で興味が変わった」ということは当然起こりうることです。そのための対策として、以前に「私立中高での学びをもっと活かせる学部とは?」でご紹介した、文系・理系どちらも学ぶことができる「文理融合学部」、所属学部以外の授業を受けることができる「他学部履修制度」などを設ける大学があります。

ミスマッチを起こさないためにお子さまとやっておきたいこと

大学入試改革

ミスマッチを起こさないために、小学校・中学校からでもできる大学入学前にやっておきたいことをご紹介します。

職業に就いている人のリアルな話を聞く

もしお子さまが漠然とでも、興味のある仕事があれば、実際にその職業についている人のリアルな話を聞いておきましょう。なぜその職業に就こうと思ったのか、大学選びで重視したこと、入学してみて感じたこと、実際に職業についてみて楽しかったこと、逆につらかったことなど…。時間の許す限り、色々聞いてみましょう。自分はこの職業に絶対就きたいと思っていたけど、実は向いていないかもという発見も1つの収穫です。

できる限り大学入学後のシミュレーションをしておく

金銭面の問題もそうですが、なるべく入学後の自分の生活をシミュレーションしておくこともミスマッチを防ぐコツです。学費面のやりくり、授業では何をとるつもりなのか、その大学を卒業するとどういう職業に就けるのか、大学までの経路、進路設計、アルバイトはどうするのか。できる限りシミュレーションしておくことで、実際に入学して「こんなはずではなかった」を防ぐことができます。

最後に、ここまでの話を覆すようですが、大学を中退・休学することは決して悪いことではないと思います。どんなにシミュレーションしても、実際に大学に通ううえで、想像していたこととは違うことや、入学前にやりたかったことと違うことをやりたくなることはいくらでもあります。

大学を中退する人が増えた背景には、ミスマッチが起こっていることも事実ですが、それだけ選択肢が増えたこともあります。例え苦労して入った大学(学部・学科)と合わなくても、転学や専門学校、留学、就職、浪人などいくらでも選択肢はあります。大事なのは一度辞めて、目標ができたときに、「なぜその道を選んだのか」、「その目標に芯が通っているかどうか」、だと思います。

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