eduスタッフ訪問記

インターエデュ・ドットコムスタッフが学校、塾などに訪問した際の様子をお届けします。

【前編】「オンラインだけでなくリアルな体験が必要」オンライン学習のこれから【N高等学校】

今、時間や場所の制約を受けずに学べるオンライン学習が、ハーバード大学をはじめとする海外の大学で始まっており、多くの中高一貫校ではICTを活用した学習が取り入れられています。「ネットの高校」として最先端のオンライン学習やICT教育を進めるN高等学校の奥平博一校長に、その知見をうかがいました。

 

■オンライン学習だけに切り替わることはない

N高等学校 奥平博一校長。

N高等学校の奥平博一校長。

エデュ:御校のオンライン学習で、よりアクティブに学習ができている実例などはありますか?

奥平校長:例えば、40人いるクラスで、先生に質問するのは勇気がいるので、できない子もいるんですよね。しかし、オンライン学習の場合は、一対一で質問を送れるので、質問をするハードルが低くなります。困っていることを気軽に伝えられるので、全日制の学校よりも先生とのやり取りができている生徒はいると思います。

エデュ:今後、オンライン学習はどのように発展すると考えていますか?

奥平校長:オンライン学習は、学習の機会均等という点では優れていますが、それだけに切り替わっていくことはないでしょう。そこに、有効なリアルなものがいかに加わっていくかが、今後の学習だと考えています。

エデュ:その点で興味深いのは、リアルな場で学ぶ内容として、プログラミングやプロジェクト学習をメインに据えている御校の通学コースです。

奥平校長:オンラインで様々なものが見られる時代ですが、リアルで本物に触れる機会を作っていたいと思っています。みんなで議論して一つのものを考えていくプロジェクト学習的なものはリアルでしかできないことなので、そうしたところを重視していきたいですね。課題の発見から解決までのプロジェクトをチームで考える「プロジェクトN」では、優秀なプロジェクトに、事業サポートと起業支援金の提供をする制度もありますよ。

 

■様々な価値観を知ることで、人としての器が大きくなる

エデュ:御校は職業体験でも刀鍛冶体験など、珍しいことをやっていますよね。

奥平校長:本校には、生徒も職員も楽しめる学校にしようという思いがあり、創立した株式会社KADOKAWAと株式会社ドワンゴには、「おもしろそう」ということを真剣に考えていく文化があります。だから、既存の考え方にとらわれない楽しいものができていると思います。職業体験では、その職業の技術を身につけるというよりも、その場所だけにある価値観や生活の工夫など、実際の作業者をリアルに見て体験できることが大事だと考えています。そういう考え方もあるんだと知ることを一番重要視していますね。

 

刀鍛冶体験(職業体験)

職業体験のひとつ、刀鍛冶体験の様子。

 

エデュ:高校時代に本物に触れることは、子どもの人生においてどのような意味があると思いますか?

奥平校長:まったく生活様式が違うところには様々な異なる価値観が存在すると知ることで、人としての器が大きくなると考えています。そしてこうした世界を広げる場は、自分をリセットしてスタートできるので、意外にも、中学時代に友人関係で悩んで学校に行けなかった子が、職業体験や沖縄のスクーリングに積極的になったりしています。全国に友人関係が広がって、今は学校生活を楽しんでいると話していただいた保護者もいます。生徒たちの輪を広げるいろいろな仕掛けを用意できるのが、本校の特徴だと思います。

⇒「“生きる力”とは、武器を与えてあげること」インタビュー後編は5月18日公開予定

 

★N高等学校

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