将来の仕事に直結するスキルが身につく “プロジェクト学習”

将来の仕事に直結するスキルが身につく “プロジェクト学習

inter-edu’s eye

充実した言語教育で知られる神田女学園中学校高等学校(以下、神田女学園)ですが、さらに近年は語学力を伸ばすだけでなく、生徒自らがテーマを見つけて、考え、調べ、発表までを行うという、主体的で深い学びを目指す『プロジェクト学習』にも力を入れています。今回はプロジェクト学習の目的やその成果について、先生と生徒のみなさんにインタビューしました。

学校公式サイト≫

主体的な学習によって生徒の力が飛躍的に伸びる

毎週金曜日の5~6時間目に行われているプロジェクト学習。いったいどのような取り組みなのでしょうか。池田幸代先生にお話をうかがいました。

プロジェクト学習を担当し、温かく生徒を導く池田幸代先生。
プロジェクト学習を担当し、温かく生徒を導く池田幸代先生。

インターエデュ(以下、エデュ):プロジェクト学習の内容と目的を教えてください。

池田先生:プロジェクト学習は、与えられた課題に取り組む通常の授業とは異なり、生徒たちが“主体的な学習”を行うための取り組みです。興味・関心のあるテーマを調べ、調べた事柄の中からすぐに答えの出ない課題を見つけ出し、インタビューやアンケート調査などを繰り返しながら、課題に対する最適解を模索します。そして、自分の考えを模造紙やスライドにまとめ、学年末にはプレゼンテーションや論文としても発表します。
最終的にこの取り組みにおける学びが、生徒の志望する進路や将来の夢へと結びつくことを目指しています。

文化祭では研究成果をまとめた模造紙が壁一面に展示された。
文化祭では研究成果をまとめた模造紙が壁一面に展示された。

エデュ:具体的にプロジェクト学習はどのように進められるのでしょうか?

池田先生:生徒一人ひとりが決めたテーマを保健体育、理科、社会、家庭、芸術、情報という6つの分野に分類し、中学1年生から中学3年生までが混合のチームを作って学習を進めていきます。分野ごとに教員が1名つきますが、教員はあくまでアドバイザー。中学3年生がリーダーとなってチームを主導します。中学2、3年生はどのように後輩を導くか試行錯誤することで、たくましく成長していきます。
夏休みには官庁や大使館、企業などにアポイントを取り、取材を行うこともあります。生徒同士だけでなく、大人と対話することで、コミュニケーションスキルも見違えるように向上しますね。

エデュ:プロジェクト学習がスタートして4年が経ちました。今後の展望を教えてください。

池田先生:課題を解決するための方法を考えて、実行することを目標にしたいです。ポジティブな社会貢献ができるよう、教員も全力で生徒たちをサポートしていきます。

神田の教育について詳しく知る≫

プロジェクト学習を通して大きく成長した中学3年生たち

まるで大学のゼミのようなプロジェクト学習。ハイレベルな学びに取り組んできた中学3年生の生徒3名にインタビューを行い、その苦労や今後の展望などをうかがいました。

プロジェクト学習について楽しそうに語る(左から)Yさん、Kさん、Sさん。
プロジェクト学習について楽しそうに語る(左から)Yさん、Kさん、Sさん。

エデュ:現在、プロジェクト学習ではどのようなテーマに取り組んでいますか?

Yさん:幼い頃からスキーが好きで、オリンピックの競技会場の設営に興味があったため、「オリンピックを支える人」をテーマにしています。

Kさん:「iPS細胞を用いた創薬」です。今年の夏休みにiPS細胞を用いた治療薬の研究を行っている企業や大学を訪問し、取材を行う予定です。

Sさん:中学1年生から「平和について」をテーマに学習を続けています。難しいテーマですが、外務省やユニセフハウスで取材を行い、考えを深めてきました。

エデュ:プロジェクト学習で苦労したことを教えてください。

Yさん:昨年、学校でオリンピックに関するアンケートをとったのですが、全校生徒400名分の回答を読み込み、まとめるのが大変でした。

Kさん:iPS細胞に関する学習は専門用語がたくさん出てくるので、研究成果を発表するときにわかりやすく伝えるのがとても難しかったです。

エデュ:プロジェクト学習を通して自分自身に変化はありましたか?

Sさん:平和な世界の実現について考えたとき、発展途上国の子どもたちは自身の将来について悲観的だろうから、もっと将来の選択肢が広がるような支援が必要だと考えていました。でも、発展途上国を訪れたことのある先生に「子どもたちはキラキラしていて、将来についても明るく考えていたよ」と教えていただき、自分の価値観で勝手に物事を捉えていたことに気づきました。それからは物事を主観的ではなく、多角的に捉えられるようになったと感じます。

エデュ:今後のプロジェクト学習の展望を教えてください。

Yさん:オリンピックを支える人々の働きを、発表を通してたくさんの方々に知っていただき、2020年に開催される東京オリンピックのボランティアへの参加を促したいです。もちろん私も参加したいと思っています。

Kさん:iPS細胞に関する新しい事実を発見したいです。プロジェクト学習を終えても好きなことを追及し、将来的には研究者になりたいと考えています。

Sさん:現代社会で平和を実現するにはどうすればいいのか、自分なりの最適解を見つけたいです。そして、この学習での学びを通して、社会貢献ができる人間へと成長していきたいです。

将来を見据えたキャリア教育も充実≫

編集者から見たポイント

プロジェクト学習のテーマについて質問すると、生徒のみなさんは話が止まらなくなり、その熱意に驚かされました。どんなに難しいテーマを設定しても否定することなくアドバイスし、行きたい場所があれば官庁でも企業でもアポイントをとる先生方の献身的なサポートがあるからこそ、学習に対して高いモチベーションが保てるのだと感じました。

今後のイベントスケジュール

イベント名 日時
高等学校 授業体験会・個別相談会 8月23日(木) 9:00~
中学校 授業・クラブ体験会 8月25日(土) 14:00~
中学校 グローバルトライアルレッスン 9月8日(土) 10:00~
高等学校 グローバルコーストライアルレッスン 9月8日(土) 14:00~
イベントの詳細と予約はこちら≫

その他の連載コンテンツ

第6回多様な受験生を受け入れる 努力の成果を示せる神田女学園の入試

今回は来年度から新たに加わる「得意科目型入試」と特待生選抜入試で選択できるようになった「4科必須型入試」に代表される神田女学園の豊富な入試形態に注目し、各入試の詳細や入試直前期に知っておきたい試験対策などについてお伝えします。記事を読む≫

第5回白百合学園と語る、女子校の魅力

白百合学園中学高等学校との対談が実現。女子校のよさや各校の言語教育、学校の将来像などについて、じっくり語り合いました。記事を読む≫

第4回“リベラルアーツ教育”で価値観を築き、自立した女性になる

次世代に求められる力を養う『リベラルアーツ教育』について、宗像諭副校長と生徒のみなさんに詳しくうかがいました。記事を読む≫

第2回トリリンガル教育×圧倒的基礎学力で真のグローバル女性を育む

英語にとどまらない“トリリンガル教育”や、基礎学力が定着&向上する学習環境について、詳しく紹介します。記事を読む≫

第1回学校説明会に潜入! 神田女学園のリベラルアーツ教育

学校説明会に潜入! 128年の伝統を誇る女子校の充実した言語教育や生徒の気質、優れた設備などを徹底レポートします。記事を読む≫