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受験で合否を分けるポイントとなる算数。1問あたりの配点が大きく、出題された問題との相性によっては、算数が得意なお子さまも足元をすくわれてしまう危険があります。また、一度苦手になると、御三家を目指すことさえ難しくなるとも言われています。
重要科目である算数の攻略のツボ、そして苦手にさせない極意をご紹介します。

御三家算数攻略のツボ

三竹 丸次郎 先生
今回お話をきいた先生

算数専任講師
三竹 丸次郎 先生

東京大学卒業。元SAPIX講師で、最年少でαクラスを担当。中学受験のカリキュラム、指導ノウハウに精通している。

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算数は「教えない」で教える

御三家を目指す子どもには、自分自身で解き方を発見させる必要があると話してくださった三竹先生。
「まずはとことん考えさせる。それでできなければ、どこまでわかっているのかを引き出し、答えにつながるヒントを少しずつ与えていくことが大切です。」『考えているから教えないで!』という負けず嫌いのお子さまは、御三家向きといえますね。

考える時間の目安

家庭学習の際には、4・5年生は思考力を養うことが大切な時期のため、1問につき30分程度は考えさせてもよいそうです。しかし、6年生は志望校別の対策が始まるため、制限時間内に多くの得点が取れるよう、解けない問題は飛ばす判断力をつける必要があるとのこと。「実際の試験を意識し、1問にかけられる時間は15分を目安にしてください。」と、三竹先生は教えてくださいました。

必要なのは「算数的な発想力」

算数にみる学校の傾向

問題との相性で得点が大きく変わる算数。出題傾向に特徴がある学校をまとめました。

開成中学 一定しない出題傾向が特徴。基礎を固めた上での着眼点、粘り強さに加えて、その場での柔軟な対応力が問われる。
麻布中学校 問題の関連性が強く、出題順に答えを誘導していく形式。論理的に関連付けられる力、物事を調べられる緻密さが問われる。
桜蔭中学校 男子校に比べると、発想力は求められない。解き方が分かった後の手順の多い問題を、我慢強く、正確にできるかが問われる。

こんなに違う! 頭の中のイメージ

三竹先生によれば、御三家をねらう子どもは、問題に惑わされず、どこに注目して解けばよいのかすぐにわかるそうです。
差が付きやすいという「影」の問題を例に解説してもらいました。

「長方形の箱のある一辺の延長線上に外灯があり、その光が作る箱の影の面積を求める問題です(右図参照)。普通の子は実際の影を考えてしまいますが、御三家レベルでは、立体図形だからといって頭の中で影の映り方を考える子はほとんどいません。この問題では、「相似を使う問題」と気づき、平面の三角形(青いペンで書かれた三角形)を見つけ、答えを導きます。」

御三家算数攻略では、基礎を固めるだけでなく、出題意図を理解して基礎を応用できるまでの発想力が必要なのですね。

算数を苦手にしない極意

自信⇒努力⇒成績が伸びる!

苦手になると巻き返しができず、合格も遠のくと言われるのが算数。しかし、三竹先生は、たとえ苦手になっても、“足を引っ張らない”レベルに戻すことは難しくないといいます。
そのポイントは、“算数ができる”と自信をつけさせること。
たとえば、範囲が限られた塾のテスト。その単元の対策を十分に行い、よい点が取れれば、子どもは素直なので算数ができると自信を持ち、持ち前の競争心から、次もよい点を取ろうと努力するようになるそうです。

数字で遊ぶ・空間を捉える

幼少期から数字に親しみを持たせておくと苦手になりにいくと、三竹先生はいいます。特に、計算スピードが早いと算数に自信を持つため、九九も早めに覚えさせるのがよいそうです。
また、「車のナンバープレートや電話番号でメイク10(四則演算で複数の数字の計算結果を10にするゲーム)をするなど、数字が遊び道具になっていると算数を嫌いになりにくい」と三竹先生。
さらに、同じく苦手になりやすい空間図形の問題については、レゴや積み木、パズルなどで空間の認識力を高めておくとよいそうです。

ママのするべきは「教えない」こと

一般的に算数の家庭学習では、数学が得意だった親御さんが、自分が解けた方法で子どもに教えたがるケースが多く見られます。
しかし、「教えることが素人の親御さんが教えることはおすすめしません。」と三竹先生。「“解けること”と“教えること”は違いますし、数学と算数では求められる思考力も別物です。子どもがつまずくポイントは、教える経験をしていないと分かりません。教えるプロである塾の講師にまかせてください」

「解ける」と「教える」は別の力と心得る

そのため、お子さまの質問には、どうやって考えたのかを聞いたり、『わたしはこう解くけれど、塾の先生にも確認してみようね』と促したりするのがよいそうです。
親心でつい教えてしまいがちですが、間違った方法を教えたり、お子さまの思考力養成の芽を摘み取ったりする可能性もあるため、お母さまも「教えない」ことが御三家算数攻略では大切なことと言えます。

今回のまとめ

御三家算数攻略において、基本的な計算力や解法知識は必須。
基礎学力に基づいた、柔軟な発想力や粘り強さが御三家算数攻略のツボなのです。

講師は、子どもの思考力養成のため、「手取り足取り解法の道筋を教えることをしない」ことが大切。
親御さんは、間違ったことを教えたり、子どもの思考力伸長のチャンスを摘み取ったりしないために「深入りしすぎて余計なことを教えない」ことが大切。

親御さんも講師も「教えない」ことが、お子さまの御三家算数攻略において最終的に力になります。

監修:受験ドクター

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