最終更新:

47
Comment

【3699540】「八紘一宇」を考える。

投稿者: 冷静にかんがえると   (ID:nbcF3s5GMEo) 投稿日時:2015年 03月 26日 08:08

3月16日参院予算委員会において三原じゅんこ氏は、「八紘一宇の理念のもと、世界が一つの家族のようにむつみあい、助け合えるような経済および税の仕組みを運用していくことを確認する崇高な政治的合意文書のようなものを、首相こそがイニシアチブを取って世界中に提案していくべきだと思う」と述べた(毎日新聞 3月16日付)。企業のグローバル化の下、課税回避の問題において、「建国以来、日本が大切にしている価値観」として麻生財務大臣に質したものである。

この発言を巡り、「八紘一宇」の本来の意味をはき違えている、あるいは戦前のスローガンと結びつけている、といったような論評が為されているが、この2点につき私見を述べたい(尚、「八紘為宇」という言い方もあるが以下、「八紘一宇」で統一したい)。

「八紘一宇」の本来の意味は、
 
「上は乾霊(あまつかみ)の国を授けたまいし徳(みうつくしび)に答え、下は皇孫(すめみま)の正しき道を養いたまいし御心を弘めむ。しかうして後に、六合(くにのうち)を兼ねて都を開き、八紘(あめのした)をおおいて宇(いえ)にせんこと、また可(よ)からずや」(現代語訳 日本書紀 (河出文庫) 文庫 – 福永 武彦 編)

「日本」という国は神々、先祖の徳によって建てられたことを自覚し、その徳に基づく正しい道を実現するべく、子孫に受け継がせていかねばならない。その後に都の中心地を定め、(この理念の下に)日本という国をひとつの家として、国の隅々まで統治を及ぼすことが可能となる。つまり、建国の理念を神々、先祖の徳に見出し、その周知徹底を図ることがひとつ「支配の正統性」の根拠付けとなる、ということである。

記紀によれば神武東征6年後、大和の長髄彦(ながすねひこ)を討ち果たし、橿原の地に宮を築き即位したということであって、(畿内説を前提にすると)この「日本」という語は、領域として「ヤマト」に留まるという見方が妥当であると考える。
この見方は少なくとも津田左右吉以降、田中智学までは建国理念として、神道の道徳的価値観を表象するものであって、田中智学でさえ実は領域支配を「日本列島」内に想定していたのではないかと思うところ(国体神祇辞典、国会図書館監修、1940年)、件(くだん)の祭神論争勃発前年、満州国建国にあたり皇道支配のスローガンとして関東軍により、「八紘一宇」の精神を「天意」に擬制して傀儡の根拠と為したことは、周知のとおりである。

以上から言えることは、「八紘一宇」という語を使用するにあたり、グローバル企業の課税回避という話の中で「世界」というものを念頭に置いた三原じゅんこ氏の引用は明らかに誤りであり、日本人の精神論そのものを説くのであれば格別、支配領域の概念を看過した引用は、その言葉の持つ歴史的背景を無視したものとして、軽率であったと考えるところである。

返信する

管理者通知をする

マイブックマーク

「ニュースに戻る」

現在のページ: 1 / 6

  1. 【3699550】 投稿者: まずは・・  (ID:/7D9q2BfV.s) 投稿日時:2015年 03月 26日 08:18

    中卒で離婚とプチ美容整形中継を餌に生きていた3流芸能人の三原じゅん子が
    この言葉を知っていたことに、今年、一番の驚きを感じたw
    よく読めたねぇ~

    誰が振り仮名を振ったのかね?
    それが期になる。

  2. 【3699557】 投稿者: 戦前の日本は全て悪か?  (ID:RaTFKsa7yOw) 投稿日時:2015年 03月 26日 08:26

    記紀にさかのぼって我が国の成り立ちを振り返るのはいいことと思います。

    戦後の日本人が捨ててきた戦前までの日本(政治、文化、社会、教育、明治憲法、軍)を見直すいい機会です。愛国行進曲の歌詞など見事に日本のナショナリズム昂揚が顕われています。

    戦艦武蔵の発見、大河ドラマの「花燃ゆ」、戦後70年談話。今年は日本の転換点の節目になる気がします。

    時宜にかなったスレ立て有難うございます。

  3. 【3699593】 投稿者: ・・・  (ID:/nm6pm3/pZU) 投稿日時:2015年 03月 26日 09:13

    誰かが引用した言葉を使えないんじゃ

    鳩ポッポが使った『友愛』
    レンホウの使った『2番じゃだめなんですか』
    小沢一郎の『埋蔵金』

    あたりも国会じゃ使えないな

  4. 【3699681】 投稿者: 紙つぶて  (ID:ypkrnZkhbsk) 投稿日時:2015年 03月 26日 11:04

    冷静に考えるとさん、スレ立てありがとうございます。

    「八紘一宇」の理念が「世界」を包有するかと問われれば、「日本」のみを指すと考える方が「日蓮主義」の概念から考えると妥当だと思います。

    田中智学が唱えた「日蓮主義」の定義については、アメリカから帰国した時に菩提寺の住職にお訊ねしたことがあります。キリスト教会が地域のボランティア活動といった社会活動を促進する母体となり、また人々の生活や思想に深く食い入っている一方、葬式仏教化した寺の社会貢献性と将来的展望はいかにと疑問をもったからです。

    いずれにしても、純粋な「日蓮主義」の概念が国家主義的な国策の下で天皇と関連づけられたかたちで汎用された結果、「八紘一宇」の概念にまで歪みが生じたわけですが、三原氏が「世界」を包括する意味で引用したのであれば、脳裏には満州国が浮かんでしまいます。
    ただ、安易な言葉狩りは言論や思想を萎縮させてしまいますから、ほどほどにと思う次第です。

  5. 【3699684】 投稿者: 言葉狩り  (ID:1JwlkVU6v06) 投稿日時:2015年 03月 26日 11:17

    枝野「安倍総理は自衛隊を「我が軍」と言った。自衛隊は国民の物であって総理の所有物ではない。」
    枝野「えー、我が党は~」

  6. 【3699812】 投稿者: 冷静にかんがえると  (ID:nbcF3s5GMEo) 投稿日時:2015年 03月 26日 14:40

    みなさん、早速のレスありがとうございます。一部の方への返レスですがお許しください。

    戦前の日本は全て悪か? さん

    HNが重要な論点そのものでドキッとします。

    >戦後の日本人が捨ててきた戦前までの日本(政治、文化、社会、教育、明治憲法、軍)を見直すいい機会です。愛国行進曲の歌詞など見事に日本のナショナリズム昂揚が顕われています。

    そう、見直し、、わたしもそう思います。「全て悪か?」といえば、否と答えるしかないのですが、少なくとも今夏の70年談話を節目として、台頭する中国とどう向き合うか、ということを我々国民も真剣に考える時期が来ていると思います。ナショナリズム昂揚が戦前回帰と見做されないよう、換言すればプロパガンダに利用されないよう、周辺諸国を巻き込んでうまく立ち回っていくことが肝要かと思います。

    紙つぶて さん

    お久しぶりです!

    >「八紘一宇」の理念が「世界」を包有するかと問われれば、「日本」のみを指すと考える方が「日蓮主義」の概念から考えると妥当だと思います。

    わたしは公共政策、公共哲学だかで習った知識くらいしかないのですが、田中智学の国立戒壇説(?)が「日蓮主義」をして、「閻浮統一」プロセスを説いていたような気がするのですが、これを「世界統一」とみる向きもあるそうです。まあ、仏法の普及ということなのでしょうが、国内統一が世界統一に繋がるロジックにおいて、「賢王」たるメシア論(?)に天皇を結びつけたのが、他ならぬ石原莞爾ではなかったか、と理解しているところ。

    >ただ、安易な言葉狩りは言論や思想を萎縮させてしまいますから、ほどほどにと思う次第です。

    おっしゃるとおり。「八紘一宇」という言葉自体に何の罪もありません。重要なのは「徳を繋ぐ」という意味合いであって、使い手によって(その時、場所を考慮せず)安易に用いられることに疑問が生じています。

  7. 【3699855】 投稿者: 思うに  (ID:DK62713MB2c) 投稿日時:2015年 03月 26日 16:08

    戦前の日本の全てが悪だったとは思いませんが、愚かではあったと思います。
    特に陸軍が。
    自己中心的で、世界を見る事もできませんでした。

    思想には魂がこもっていなければならないのと同時に、それが賢いものでなければなりません。
    「八紘一宇」は単なる言葉なので、そこに魂だけでなく、賢さもこめる必要があります。

    今回の議論は、持ち出した側に魂も賢さもなく、それを批判する方にもそれがない。
    中身がなく、上滑りして、愚かな議論です。

学校を探す

条件を絞り込んで探す

種別

学校名で探す