受験するなら小3の3学期から通塾すべきと聞きましたが、本当でしょうか?

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.10

Q.受験するなら小3の3学期から通塾すべきと聞きましたが、本当でしょうか?

昨年3年間のアメリカ生活から帰ってきた小3の男の子です。

今公文に通っています。友達と一緒のせいか通塾は楽しんでくれています。学校の成績はまずまずで、できれば中高は私立か国公立に行かせたいと思っています。

この前知り合いと話をしていたら、中学受験をするなら今から準備すべきと言われてびっくりしました。その人によると受験するなら小3の3学期から進学塾に行かせるべきで、そのためには今からどこの塾にするか、しっかり調べるのが親のつとめだというのです。まさかまだ3年以上も先のことなのに、本当なのでしょうか。

あまり親しい知り合いでもなかったのでいやみを言われているのでは?という気もしたのですが、その人のお子さんは小5の1学期から四谷大塚にいったのだけど、ついていけなくて結局受験をあきらめたとか言っていました。

私も夫も地方出身で中学受験の経験はありませんし、3年間海外にいたので日本の事情には疎くなっている不安もあります。

でもそれにしても受験するのでも5年くらいからでいいんじゃないかと思っていました。どうしても小3から受験勉強をさせるなんてって思ってしまいます。この考え、甘いのでしょうか。(akko)

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A.確かに3年3学期からの通塾が一般的。塾での授業は、基礎学力をしっかり身につけることから始まります。

本気で中学受験を志すのであれば、小学校3年の3学期の2月から通塾するというのが世の中のスタンダードであることは間違いありません。首都圏の中学受験は毎年2月に行われます。塾としては、2月で6年生が卒業するので、そこが実質的な年度初めになるわけです。ですから小3の2月で入塾すると、「新小4」という扱いになります。

受験勉強は5年生くらいからでいいのではないかという思いもおありでしょう。実際、多くの塾では、小4のころは、受験勉強というよりも基礎学力の定着、学習習慣の定着に主眼を置いた授業になります。それほど切羽詰まったものではありませんからご安心ください。

小5の2学期くらいから、特に算数の難易度が上がり、本格的な受験勉強の様相を呈してきます。そこから入塾すればいいのではないかと思うかもしれませんが、ちょっと甘いかもしれません。ご家庭でよほど上手に学習指導ができていたり、家庭教師を付けていたりするのでない限り、現実的には難しいでしょう。

中学受験勉強は決して一夜漬けで知識を覚えるような勉強ではありません。長い時間をかけて、小学校で習うべき事項をしっかりと頭の中に定着させたうえで、その知識を活用する力を磨くための勉強です。

スポーツに例えるとわかりやすいと思います。大量の知識を詰め込むことは、筋力トレーニングをして筋肉を付けることに似ています。しかし筋肉だけを付けてもホームランは打てるようになりませんよね。その筋肉をなめらかに使いこなすために、何千回という素振りやバッティング練習を行うわけです。

逆に、基礎体力ができていないのに、いきなり素振りやバッティング練習をしても、ホームランは打てませんよね。そういうことです。小4から小5は中学受験のための基礎体力を養う時期、小6は知識のなめらかな活用力を鍛える時期だと考えてみてください。

そう考えるとやはり、小3の3学期からの通塾が必要というのが、今の中学受験のスタンダードなのです。中学受験に関しての基礎情報が必要であれば、ぜひ拙著 『中学受験という選択』もしくは『間違いだらけの中学受験』をお読みください。中学受験をする本当の意味、中高一貫校の本当の価値がおわかりいただけるのではないかと思います。中学受験をする本当の意味、中高一貫校の本当の価値がおわかりいただけるのではないかと思います。

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