長女は通って合格した大手塾で、次女の成績は低迷。転塾すべきでしょうか?

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.25

Q.長女は通って合格した大手塾で、次女の成績は低迷。転塾すべきでしょうか?

次女(5年)について相談します。長女は偏差値65以上の中学に合格しました。妹も同じように育てているはずなのですが、4年生の偏差値は38~45です。入塾してから1年間ほとんど偏差値が上がっていません。

大手塾なので、システムはしっかりしていて魅力を感じていましたが、まったく成績があがらないので、塾での勉強が身についていないと感じています。まじめな性格で、いわれた宿題はやっていますが、数回前の復習をすると内容をほとんど忘れてしまいます。通分、約分でさえ、すぐに忘れ、いつも聞いてきます。総合回の模試では点数がほとんど取れません。

すべての科目で理解が遅いです。大手塾のシステムは、総合的に中学受験勉強ができる魅力は十分にわかっているのですが、うちの次女が受験するような学校の試験には、必要のない単元も履修するように感じています。

中学に合格することだけが目標ならもっと近道があるような気がしています。今後は、算数と国語は個別塾でしっかりと対応し、理科と社会は5年のうちは自宅学習で、6年になり算数国語が安定してきたら受講しようかと考えて自宅から遠くない偏差値40の学校を目標にしようかと思っています。
姉の成績を考えると、妹もまだまだ伸びしろがあるように感じて、5年の段階であきらめるのには早いのでしょうか。(あきら)

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A.同じように育てても個性は違います。早めに、でも、急がば回れで、別のいい方法を見つけてあげてください

新5年生の下のお嬢さんの成績が上がっておらず、大手塾を一度やめようかとお考えなのですね。上のお嬢さんのときは同じ塾でもうまくいっていたのに……ということですね。

このようなケースの場合、姉妹を比べてしまって、出来の悪いほうをけなしてしまう親御さんも多いのではないかと思うのですが、あきらさんは、姉妹それぞれ違うのだということを受け止めて、下のお嬢さんに合う中学受験を模索しているのですね。また、「偏差値60以上じゃないと意味がない!」などと思い込んでしまっている親御さんも多いと思うのですが、あきらさんはその子に合った学校に入れればいいというお考えをお持ちのようですね。とてもいいことだと思います。中学受験をする意味は本来そこにあります。

同じように育てていても子供の個性は違いますからね。上のお子さんに合っていた塾や勉強法が、同じように下の子にも合うとは限りません。大手塾の勉強内容は、どうしても学力トップ層に合わせたものになりがちです。たとえば泳ぎの苦手な子が、泳ぎの上手な子供たちばかりのスイミング教室に通って、上手な子供たちと同じような指導を受けたら、ついていけなくてつらいだけではなく、なかなか上達しないでしょう。

あきらさんのおっしゃる通り、下のお嬢さんにはもっと別の方法があるかもしれません。いい方法がみつかれば、もちろん伸びしろがあると思います。今のような状況で、いったん目線を下げるということは理にかなっていると思います。

ただしその方法が、「算数と国語は個別塾でしっかりと対応し、理科と社会は5年のうちは自宅学習で」というのがベストかどうかはわかりません。お嬢さんのペースに合わせて、お嬢さんが勉強しやすい環境を整えてあげるという意味ではたしかに個別はいいかもしれませんね。ただ、自宅で勉強というのは、親子ともに負担になるのではないかとちょっと心配です……。

少人数指導で、面倒見のいい地元密着型中小塾で、いいところがあればおあつらえ向きだと思うのですが、そういう塾は本当にいい塾なのか、そうでないのか、見極めがとっても難しいんですよね。

はじめからいい転塾先が見つかればラッキーですが、そうとも限りません。新しい塾がもし「違う!」と思うなら、早めに判断して、早くお嬢さんが落ち着いて勉強できる環境を見つけてあげてください。ちょっと回り道をすることになるかもしれませんが、急がば回れです。

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