塾選びで、大規模校か小規模校か、どちらにしたらよいか悩んでおります。

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.56

Q.塾選びで、大規模校か小規模校か、どちらにしたらよいか悩んでおります。

初めまして。塾選びで悩んでおります。

小3の2月から中学受験塾に通わせたいと考えております。

現在、N能研に心が動いているのですが、クラス数の多い大規模校(5駅)と、2クラスしかない小規模校(2駅)のどちらがいいか迷っています。

志望校は難関校狙いではなく、上位〜中堅レベルの学校と考えています。

大規模校でライバルたちと競い合わせるか、目が行き届く小規模校で頑張らせるか悩みます。

また、2校舎しかない小さな塾ですが、実績があり地元では人気の塾もあり、こちらのカリキュラムにも惹かれます。

土日にテストの類いがなく、テストで席順を決めることもない…とN能研とは逆のタイプの塾です。

娘の性格は大人しくてマイペースながらもやることはコツコツきちんとこなす子です。

アドバイスいただけたら幸いです。

回答はこちら

A.「ここなら安心して子供を預けられる」と思える塾を選ぶのがいいと思います。

N能研の大規模校にするか小規模校にするか。

さらには地元で評判の中小塾にするか。3つの選択肢があるということですね。

答えは必ずお母さまの中にあるはずです。

ですから私からは「これがいい」という提案はいたしません。

ただし、塾選びの観点はここで整理しておきますので、参考にしてみてください。

まず大手がいいか中小がいいか。

大手の場合、カリキュラムがしっかりしている、情報量が多いという利点が挙げられます。

ただ、中小でも完全に独自の教材ということは少ないはずで、大手塾が作成したカリキュラム教材をベースに学習を進めている場合が多いでしょう。

どんな教材を使っているのかはチェックしましょう。

また、インターネット時代ですから中小塾でもある程度の情報を集めることはできます。

ただしN能研のデータ分析力はたしかに魅力ではあります。

一方で、大手塾の場合、講師の当たり外れがあります。

体験授業で「いい先生」だと思っても必ずしもその先生のクラスになれるわけではありませんし、たまたまいい先生に当たっても異動によってその先生が別の校舎にいってしまうこともあります。

その点、中小塾ではそのようなリスクが少なくて、先生との相性が良いのであれば、その環境で中学受験本番を迎えられる確率が高いと言えるでしょう。

次に、大手塾の大規模教室と小規模教室のどちらがいいか。

もちろん一概には言えません。しかしお母さまのコメントの中で一点気になるところがありました。

「目が行き届く小規模校」というところです。小規模校だからといって目が行き届くとは限りません。

大規模校であっても1クラスあたりの生徒数は変わりません。

先生が見ている生徒の人数は基本的に変わりませんから、校舎の規模によって目の行き届きやすさが変わるということは基本的にはありません。

むしろ、クラス数の少ない校舎の場合、同じクラスの中の学力の幅が広い可能性があります。

総人数は大きくても、クラスがたくさんあるほうがそれだけ学力帯を細かく切れるので、授業は進めやすくなるメリットがあります。

以上のようなことを考慮してじっくり考えてみてください。

拙著『親が後悔しない、子供に失敗させない 中学受験塾の選び方』(ダイヤモンド社)も参考にしてみてください。

最後に。

どんな悪い選択をしても、そのあと努力をすればその選択が正解だったことにできますし、どんなにいい選択をしても、そのあと努力をしなければ結果的にそれは悪い選択だったことになります。

人生ってそんなものですよね。

表面的な損得勘定ではなく、「ここなら安心して子供を預けられる」と思える塾を選ぶのがいいと思いますというのが個人的なアドバイスです。

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