集団指導塾に行き始めたら、今通っている個人指導塾はやめたほうがいいのでしょうか?

塾・学校の実態に精通する教育ジャーナリスト・おおたとしまささんが、「中学受験を家族にとってのいい経験にする」というコンセプトで、中学受験のさまざまな相談にアドバイスしてくれます!
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育児・教育ジャーナリストおおたとしまさの中学受験 心すっきり相談室 vol.58

Q.集団指導塾に行き始めたら、今通っている個人指導塾はやめたほうがいいのでしょうか?

小3の娘が、お友達の影響で受験を希望しています。

我が家は当初、受験を考えてはいませんでしたが、春から娘の変わらない気持ちに押され、応援する事になりました。
とはいえ、理解に時間がかかる子なので、中堅校に行けたらいいな、という具合です。

通塾は、3年の2月からという事で、塾を探し始めました。悩んだ末に、地元の中堅塾なら娘を任せられると思いました。
(大手と比較すると、テキストの薄さや授業の進み具合が不安なのですが)

しかし、娘は最寄りの大手(進学館)がお気に入りです。
大手の安心感はありますが、ついて行けるか心配ではあります。

なかなか決まらないのですが、
これとは別にご相談があります。

娘は、夏から個別の塾に通っており、良い先生とめぐり合え、また先生との相性も良く、母子ともに先生に感謝しています。
また、個別対応のよさは集団塾では得る事ができません。

が、進学館の先生は、塾で聞いてもらえればいいので、個別は不要です、と言われました。
確かに、自分から質問する積極性も身につけて欲しい所です。

6年生から個別塾や家庭教師をつける話しは聞きますが、
4年生からってどうなのでしょう・・・

回答はこちら

A.個別指導塾での手取り足取りの指導に、お子さんが頼り切ってしまうようならば、やめてしまったほうがいいかもしれません。

地元の中堅塾にするか大手塾にするかという問題もあるようですが、それはひとまずおいておいて、集団指導の中学受験塾に通い始めたら、個別指導塾はもう不要なのかというご相談ですね。

まさに拙著『親が後悔しない、子供に失敗させない中学受験塾の選び方』(ダイヤモンド社)にこんな文章があります。

「中学受験勉強の早い段階からSS-1のような個別指導塾をりようしてもらえれば、その子の持ち味と通っている塾の特徴の両方を活かした中学受験の戦い方を提案できます。塾に振り回されることもなく、子どもは自信を持ち、勉強上手に育ってくれます」

SS-1とは主に大手中学受験塾に通っている子どもたちを対象に、その勉強をフォローするための個別指導塾です。

わからないところを教えるのではなくて、親子の「参謀」として、大手中学受験塾での勉強をより効率的にこなすためのアドバイスをくれる塾です。

このような形で、その個別指導塾が「参謀」の役割をしてくれるのなら、やめる必要はないのではないでしょうか。

逆に、個別指導塾での手取り足取りの指導に、お子さんが頼り切ってしまうようならば、やめてしまったほうがいいかもしれません。
中学受験生として、いつまでも自立できませんから。

ちなみに個別指導塾だけではだめなのかという相談を受けることもあるので、そのことにも触れておきましょう。

マイペースで勉強を進めるという意味では個別指導は理想的です。
もともと能力が高く、やる気もあるお子さんなら、個別指導だけでも中学受験に挑むことができるかもしれません。

しかしそうでないのなら、やはり個別指導塾だけではちょっと不安です。

「やる気にさせます」というような塾がときどきありますが、「やる気」っていくらプロでも簡単に引き出せるものではないですよね。

親がやる気を引き出すのも難しい。実は子どもがやる気を出すきっかけって、親が与えるものでも塾の先生が引き出すものでもなくて、お友達から伝染することがいちばん多いんじゃないかと私は思っています。

まわりに励まし合える仲間やライバルがいることが、中学受験に向けて高いモチベーションを保つためには大きな意味をもつのです。

個別指導塾で一人で勉強することは、一人でマラソンを走るようなものです。
最初はマイペースでいいと思っていても、一人で走り続けることは結構つらいことです。

お子さんがその孤独に耐えられるようなメンタリティをもっているのであれば、個別指導塾で中学受験に挑むというのもありだとは思います。

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