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都立中高一貫校教育講演会

ena主催で行われた「都立中高一貫校教育講演会」を取材した。 このイベントは、来年4月に開校となる2つの都立中高一貫校の校長・副校長を招き、教育理念や適性検査の傾向などについて伺うもの。 当日は熱心な保護者が多数来場し、第3会場まで設けての実施となった。参加した保護者は、まだ情報の少ない都立中高一貫校に関する講演に耳を傾けていた。

立川地区 国際中等教育学校(仮)
校長 吉澤 郁生 先生

  • 学校の特色について
    立川地区国際中等教育学校(仮称。9月ごろ都議会で正式名称が決まる)は、現在の北多摩高校を基に作られる、完全な6年間の一貫教育である。高校入試は行わない。

    設立意図の中に「多摩地区に第二の国際高校を」というものも含まれている(都立国際高校は駒場にあり、国際色の強い教育を実施している)ため、160人の募集定員のうち30名は帰国生・外国籍生の募集枠となる。

    教員について、吉澤先生は「面接や研究発表を経て厳選した、最高の人材をそろえている」と自信を見せていた。 ちなみに学費についてだが、前期3年間は義務教育なので授業料は無料(ただし副教材は一般の公立中学よりも高くなる予定)、後期3年間は都立高校と同じく年12万円程度となる見通しとのこと。
  • 教育理念について
    「人格の陶冶」を目標に掲げ、「立志・共生・感動」を合言葉に、国際的に活躍するリーダーたりうる人材を育てることを目的とし、そのために必要となる、

    ・高度な教養
    ・充実した英語
    ・多彩な国際理解

    という3つの要素を重視している。

    高校入試による分断のない6年間一貫教育である点を最大限に生かし、6年間を2年ずつの3つのパートに分けているのが特徴。
    1・2年は人格形成の素地を築き、3・4年で様々な分野にチャレンジし、5・6年はそれまでの経験を活かして目標を目指す、というもの。
    それを実現するために、授業には特に力を入れるという。
  • 授業について
    「文系・理系に関係なく、幅広いジャンルで深い教養を身につけさせたい」と、吉澤先生は熱弁する。そのためには「発展的な教材をどんどん取り入れる」としたうえで、はっきりとこう仰った。
    「かなりの量の課題・宿題を出します。家庭学習をきちっとやるという意識を今から持っていてください」
    どの教科も高度な内容にまで踏み込むため、家庭学習が重要になることを強調していた。
    また、学年全体で毎日の宿題の量をコントロールし、常にコンスタントに宿題が出る体制をすでに整えているという。「英語と数学と古文の宿題が1日に重なって大変」といったことにはならなくてすみそうだ。
    なお、授業が文系・理系に分かれるのは高3になってから。そのメリットとして

    ・生徒が自分の適性を見つける時間を十分に取れる
    ・多くの科目を課せられる国公立大の入試に強くなれる

    の2点を挙げていた。

    開成高校は今年190名の東大合格者を出したが、その要因のひとつとして「現役生たちが自分の適性をしっかりと見極め、それに合った進路を選んだからだ」と同校の進路指導担当教員がコメントしている。
    それと全く同じ方向を目指す授業体制は、進学実績の面でかなり期待できるのではないだろうか。
  • 適性検査について
    まずはじめに、私立中学の入試と違い、「学力試験」ではない。公立中高一貫校の適性検査には、通常の入学試験にはない2つの特徴がある。

    ・さまざまな領域にまたがった、教科横断的な問題が出される。
    ・唯一の正解があるのではなく、さまざまな答え方が存在する。

    上記のような特徴のある適性検査だが、その中でも立川地区国際中等教育学校は「間口が広く、奥深い問題」を出題することに強いこだわりを持っているようだ。

    吉澤先生は適性検査の対策として以下の4点を挙げていた。
    1.日頃から文章を書くこと
    2.45分という短い時間の中で、自分の考えを表現すること
    3.知識の詰め込みだけでなく、実地をふまえた学習をすること
    4.家庭内でよく対話をすること

    特に、家庭内の対話については、「よく対話する家庭ほどお子さんの学力が高い傾向にある」と仰っていた。

武蔵野地区中高一貫6年制学校(仮)
副校長 保坂 充人 先生

  • 学校の特色について
    武蔵野地区中高一貫6年制学校(仮称。正式名称は都議会で決定)は、都立武蔵高校を母体とし、来年4月に誕生する。
    高校入試は引き続き行うが、中学から入った生徒は無試験で高校に100%進学できるとのこと。
  • 教育理念について
    「探究力」「協働力」「貢献力」の3つを育むことを目的とし、その柱として「授業」「行事」「部活」「奉仕」の4つを挙げていた。
    特に、12歳から18歳という幅広い年齢層において、共同で1つの目標に取り組むことを強調していた。
  • 授業について
    授業の特色として、「一般的な公立中学と比べて授業時間が多い」という点がまず挙げられ、「国公立大の入試で課せられる5教科に、中1の段階から重点を置いた授業を行う」と明言された。 特に英語と数学に力を入れているようで、中学3年間で両科目とも一般の公立中と比べて105時間ずつ多い授業時間が確保されている。
    大学入試のキーとなるこの2教科には、並々ならぬ熱意をもって指導に当たるであろうことが容易に想像がついた。

    また、週に2時間の総合学習では、「地球学」と「キャリアデザイン講座」を行い、教科横断的な内容のもとでグローバルな視野を育て、将来の展望を確立させていくことを目指すとのこと。明確なヴィジョンを持った総合学習により、生徒の教養がさらに広がりそうだ。

    なお、土曜日には積極的に講習を行い、さらなる授業を行う予定。国公立大に照準を合わせた授業体制には大いに期待ができそうだ。
  • 適性検査について
    以下の3つの点を測る3種類の適性検査を課す。

    ・文章を読み取る力――体験に基づく論理的な文章力
    ・資料を分析する力──論理的な思考力・表現力
    ・リーダーとしての計画力──課題を発見し、探究しつづける力

    この適性検査の対策として、保坂先生はまず「小学校での漢字・計算といった基礎力は非常に重要です」と強調したうえで、以下の4つの点を挙げた。

    1.文章・資料・グラフを読み取る力を養う
    2.論理的に考えるクセをつけておく
    3.地球や社会についての説明文に触れておく
    4.記述式の問題が多いので、書くことに慣れておく

終わりに

両校とも、来年4月の開校に向けて情熱を傾けていることがありありと伺えた。どちらの学校も「国公立大を目指す」とはっきり標榜し、さらに適性検査の心構えまでも聞くことのできた、非常に貴重な講演だったといえる。

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