オンライン授業導入から1年後の成果

オンライン授業導入から1年後の成果

inter-edu’s eye

2017年度から一人一台のタブレットを持ち、プレゼンテーションなど双方向の授業や補助教材の活用を推し進めてきた日本大学豊山女子中学校・高等学校(以下、豊山女子)。コロナ禍による休校や分散登校により、ICTの活用や培ってきたノウハウを試されることになった2020年度のオンライン授業を振り返り、現状とこれまでの成果をご紹介します。

豊山女子の公式サイトはこちら  ≫

より効率的に活用できるオンライン授業

従来の授業形式にはない情報共有や効率的な学習を実現できるオンライン授業の現状と成果について、ICT委員会委員長の篠原大生先生からお話しいただきました。

篠原大生先生
ICT委員会委員長と数学教諭を兼ね、高校2年生のクラス担任でもある篠原大生先生

インターエデュ(以下、エデュ):昨年度と比べて、今のオンライン授業はどのように変わってきましたか。

篠原先生:2020年4月から6月までは完全にオンライン限定の授業を行っていましたが、それ以降はクラスを半分にしての分散登校を経て、全員が揃って短縮授業を行うといった元の形態へと戻ってきました。現在では、コロナ関係や交通機関の影響により登校ができない、または支障が出る場合、該当生徒に対し教室での授業をZoomで中継するオンライン授業に切り替えています。分散登校を含めたオンライン授業を実施した期間で指導体制を整えられたため、生徒を無理に登校させることなく、自宅でも教室同様の授業を受けることができます。家庭学習や放課後学習等の生徒対応でも、電話での音声やタブレットを使った文面でのやり取りだけでなく、Zoomを繋ぐことで画面越しながらも音声、表情、メモで対面と同様に行うことができています。また、生徒だけでなく、状況に応じて保護者会や保護者との面談にも使用しており、密の回避や時間的融通など保護者にも安心していただけるための方策を取っています。

授業の様子

エデュ:動画を使った自宅学習の成果はいかがでしょうか。

篠原先生:オンライン授業の開始当初は、一時的な授業代替との認識で、初めて行う授業の進め方ということもあり、任意の動画授業を繰り返し履修する「オンデマンド授業」を行う教員が多くいました。しかし、分散登校開始後に確認テストなどを行ったところ、理解度が足りず、復習を兼ねながら進めざるを得ない状況でした。家庭環境の影響はあるものの、自宅で生徒自身が学習を行うことは簡単なことではないことを知り、通常の授業に近い形態を目指すようになりました。私が接した生徒の場合はこのように感じたものの、特進クラスなどでは、生徒のペースで進められること、繰り返し行えることが好評であり、結果として個人の学習姿勢が試される機会になったと思います。

授業の様子

エデュ:ご家庭との連携や進化した点などはありますか。

篠原先生:前述の通り、登校困難な状況下でも自宅で授業を受けることができ、教員と生徒、教員と保護者が対面できる環境が整いました。生徒、教員ともにオンライン授業の実施や不具合の対処に慣れてきたため、通常授業と変わらない日々を送ることができるおかげで、生徒や保護者に安心して日々の生活を送っていただけることと思っております。それに加え、オンライン授業を経験したことで全教員のICTへの関心が高まり、さまざまなコンテンツやアプリの使用が増えたこと、画面越しでも使用できる教材への工夫など、授業の実施以外の点でも成果を感じています。

授業の様子
授業の様子

エデュ:新たな取り組みや今後の展望を教えてください。

篠原先生:昨年度はオンライン授業の導入を試行錯誤していた面が強くあります。徐々に慣れたうえでの今年度は、各教科、各学年でどのような方法が望ましいかを共有・検討したうえで実践しています。また、昨年度は無事実施できましたが、入試や式典などの活用法を考え、どのような事態でも対応できる体制を目指しています。

豊山女子の強みと特長 ≫

新しい学習スタイルを体験した生徒の声

長期のオンライン授業を体験してきた中3生と、初めてタブレットを使って授業を体験した中1生の声をご紹介します。

中3 Sさん
初めてのオンライン授業を受けることになった時は、学力の低下が心配になり、自宅学習の時間を大幅に増やしました。一人きりで画面に向かうことになるので、集中力が継続しないこともあったので、そんな時には家族がいる場所に移動して気分転換をしながら、授業に臨むようにしていました。オンライン授業をしていると周りのみんなの様子が見られないので、どれだけ理解が深まっているのか、しっかり学べているのかを確認することができません。そんな理由もあって、今まで以上に自発的な学習に取り組むようになりました。

授業の様子

中1 Kさん
タブレットを通して見るパワーポイント資料の図やイラストは、視覚的に訴えてくるものがあり、授業のポイントがはっきり理解できるというメリットがありました。オンデマンド動画として配信している動画の数がとてもたくさんあって、画面越しでも先生と一緒に授業をしている実感を得ることができました。分散登校で授業を受けている環境は異なっていても、クラスメイトのみんなとの一体感を感じられることもできて良かったと思います。
いつでもタブレットを使って学べるので、通学時間をそのまま予習・復習・宿題の時間に充てられるので、トータルの勉強時間は以前よりも増えたと実感しています。その時間を苦手科目の克服に使うことができました。

豊山女子の最新情報一覧 ≫

編集者から見たポイント

誰もが体験したことの無い長期休校期間によって、ICTのノウハウや柔軟な指導体制が試されることになった2020年度。効率的で生徒のモチベーションをも向上させ得る新たな学習手段としてのICT環境をいち早く構築していたことが、豊山女子の大きなアドバンテージとして評価される結果となりました。時代に先駆けた教育手法をトライし続ける女子一貫校の今後にご注目ください。

イベント名 実施日時
中学校夏休み学校見学会 2021年8月28日(土) 10時~15時
中学校ナイト説明会 2021年9月17日(金) 18時~
中学校説明会 2021年9月19日(日) 10時~
中学校説明会 2021年10月23日(土) 10時~
中学校説明会・公開行事 ≫

このページをシェアする

連載コンテンツ

創意工夫が活かされた国際交流教育の現状

各国からの留学生を招いて実施した初めてのイングリッシュキャンプ。コロナ禍で工夫されてきた英語学習の最前線をご紹介します。記事を読む≫

スペシャル動画