inter-edu’s eye

郁文館中学校では高校へ進学する前に、全員が「卒業論文」を書き上げます。テーマは、それぞれが描く「夢」。中学生たちは自分の思いをどのように卒業論文として完成させていくのでしょうか? 詳しい制作過程から実際の論文、執筆の意義までをレポートします。

「夢」を明確にしていく制作過程

卒業論文は、原稿用紙約50枚にもおよびます。そのため、中学2年生のときから1年以上もかけてじっくりと構成していくのです。

制作過程
題名・テーマ決定

▼中学2年

◎1月〜2月
【題名・テーマ決定】

「自分の夢(職業)」または「興味・関心のあるもの」のうちどちらかを選び、資料を集めます。その資料をもとに、どんな構成にするか考えながら題名を決めます。

下調べ・調査

▼中学3年

◎3月〜4月
【下調べ・調査】

制作のための本格的な調査や取材を行います。特に、興味ある分野での第一人者への取材やインタビューはとても貴重であるため、この時期は積極的に行動します。

下書き・表紙作成開始〜提出

◎9月〜12月
【下書き・表紙作成開始〜提出】

夏の間に構成や章立てを決めたあと、いよいよ執筆です。下書きは1度提出したものを先生に添削してもらい、再度提出します。表紙を作成するのもこの時期です。

表紙完成・清書開始〜卒論発表

◎1月〜2月
【表紙完成・清書開始〜卒論発表】

最終的に、すべて手書きで清書を行って、表紙をつけます。完成したら先生に提出し、クラス内で卒論発表会をします。

卒論展示

◎3月
卒論展示

製本した全員分の卒論を、教室に展示します。クラス発表会で代表に選ばれた生徒は、卒業式でパワーポイントを使った発表を行います。

★卒論バックアップ 〜夢カウンセリング〜
卒論制作の途中、各クラス担任は生徒1人ひとりとじっくりと向き合う「夢カウンセリング」を行います。生徒はこの場でテーマはもちろん、進行状況などを相談しながらしっかりと構成を組み立てていくのです。

作品紹介 〜理事長賞受賞の最優秀作品〜

「ベリーダンサーへの道」

中東やアラブ文化圏で発展したダンス、「ベリーダンス」との出会いから、その魅力に引き込まれて一流のダンサーを目指そうと思うまでに至った経緯が、たくさんの写真とともにしっかりとした構成で書かれており、理事長から高い評価をもらった論文です。

〜生徒からのコメント〜

人生を変えてくれたベリーダンス
私がこの卒論で伝えたかったことは、「ベリーダンスの魅力と楽しさ」です。いろいろなことで悩んでいたときにベリーダンスと出会い、先生方や生徒のみなさんから人としての在り方や、生き方を学ぶことができました。人として成長させてくれたベリーダンスにとても感謝しています。その魅力をたくさんの方に伝えたいと思い、テーマに選びました。また、卒論を書いたことによって、変わったこともあります。
1つ目は、ベリーダンスの知識と技術が高まったことです。古代豊穣崇拝に関係した祭儀的な踊りや、出産を助ける女神による女性のための踊りを起源とする説があることを知ってから、ダンスにより情熱がこもり、どんどん上達していきました。
2つ目は、「記述力」に自信がついたことです。国語の記述問題が苦手だったのですが、卒論を書いていく上で、「どうしたら読者に自分の思いが伝わるか」ということをずっと考えていました。その結果、文章でさまざまなことを伝える力がついたと思います。


ほかの作品も多岐にわたります

〈文系・社会学系〉
心理学者を目指して
弁護士になるには
〈理系・理工学系〉
バイオの仕事について
あるべき医者の姿
〈技能・サービス系〉
English Teacher
TVの映像制作
〈スポーツ系〉
サッカー関係の仕事
体育教師になるには
など

生徒を限りなく夢に近づけるための50枚

原稿用紙50枚、制作期間約1年という、中学生には途方もない作業に感じられる卒業論文の制作は、一体なぜここまで徹底して行われるのでしょうか?


郁文館夢学園は、その名の通り生徒の将来の「夢」の実現を教育目的としています。中学生の時期には、まだぼんやりとしか自分の将来を考えることができない生徒が数多くいます。しかし、漠然と将来の夢や、好きなことを思い描いているだけでは夢を叶えるどころか、自分が何をしたいのか、どう生きたらよいかさえ曖昧なまま、高校生活を迎えてしまいます。卒業論文を完成させる一連の流れは、自分と向き合い、一体自分は何をしたいのか、どうやって社会に貢献していくのかを徹底して追究する非常に大切なものなのです。さらにそれを他者へ発表することで、より夢を強く認識することができ、その後の生活習慣、勉強意欲、進路選択へ大きく関わっていきます。もちろん、制作過程で培われる文章力や時間管理能力、パワーポイントを使う能力などもその後大いに役立つでしょう。生徒の人生を左右するといっても過言ではない人生の土台づくりをする作業、それが卒業論文なのです。

編集者が見たポイント

まず、中学校で「卒業論文」があることに驚きましたが、1年間もかけて生徒がしっかりと自分の「夢」を構成し、多くの人の前で発表できているということに感嘆しました。生徒の声からもその成長ぶりがうかがえ、まさに「夢」を形にしていく「夢教育」の一環としての「卒業論文」が大変貴重であり、意義のあることだと知ることができました。

イベント日程

内容
2015年 12月 3日(木) 第8回 中学 平日午前の学校説明
2015年 12月 5日(土) 公開授業(午前)&第5回理事長説明会・
中学過去問解説授業(午後)
2015年 12月 7日(月)〜11日(金) 高校・グローバル高校「なんでも相談会」
2015年 12月12日(土) 第9回中学・第9回高校・第8回グローバル高校学校説明会
2015年 12月19日(土) 第6回理事長説明会(中高合同)&中学過去問解説授業
2015年 12月26日(土) 第9回グローバル高校学校説明会&生徒留学報告会