inter-edu’s eye

少人数制一貫教育で「人間の土台を創る」ことを目指す自由学園。連載第1回では、学園全体の教育に迫りましたが、今回は、男子部の教育の特色について、男子部長である更科幸一先生にうかがいました。

真のエリートを育成する「シチズンシップ教育」

更科 幸一先生

男子部 中等科・高等科 部長
更科 幸一先生

男子部の教育のキーワードとして「シチズンシップ(市民)教育」が挙げられます。「シチズンシップ教育」というのは、身近なところから課題を見つけ、生徒自らの力で課題を解決することを学ぶ教育です。

男子部では、生徒自身が学校を作りあげることをテーマにし、責任を持って行動できる人間、「真のエリート」の育成を目指しています。そして、身近なところで課題解決する力が将来、グローバル社会で活躍する力になると信じています。

男子部ホームルームの様子

学園創立以来、全生徒が主体的に参加する「自労自治」の学園生活が続けられています。

毎日の生活の中で課題を見つけ、先輩・後輩が対話しながら解決の糸口を見つけ、そして行動に移していく。この過程こそが「リアル・アクティブラーニング」です。学園生活の中では、教科学習以外でも委員会活動や学校行事、寮生活を通してこのような「リアル・アクティブラーニング」がたくさん存在します。生徒のやる気がカタチとなり、行動を起こすことで「できた」という達成感が得られる。この達成感の積み重ねが自己効力感を高めることになります。


毎日の生活の中から生まれたアイディアを実現させる作業を尊重し、サポートすることが、自由学園における教員の役目であると考えています。

人生を豊かにするための「教科教育」

国語 ~Japanese~

「人間とは何か」「いかに生きるか」など自分の生き方について考える大切な時間です。健全で豊かな人間観・人生観の確立を目指しています。

国語

数学 ~Mathematics~

どんなことに対しても「より自由に考えられるようになること」が目標です。身の回りから教材を見つけ、応用することで数学力を高めていきます。

数学

社会 ~Social Studies~

知識の詰め込みに終始するのではなく、生徒自らの視点を重視し、これからの人生を歩んでいくための社会意識を育てることが目標です。

社会

情報 ~Computer Science~

表面には見えない情報を読み解く力を鍛えると同時に、自ら考え、自ら作り、そして自らの表現で発信する力を育てていきます。

数学

生徒主導で学校を運営する「自労自治」

シチズンシップ教育に続いて、自由学園の人間教育の柱となっている「自労自治」についても、更科先生にうかがいました。

男子部登山

自分の学校は、自分で作るのが「自労自治」の在り方です。学校内でのルール作りをはじめ、生徒の出欠の管理、学校の戸締りなどが委員会の活動内容に組み込まれ、生徒が責任を持って役割を担います。
責任を持って役割を全うすることが、生徒の達成感につながり、さらに生徒の自信や自己肯定につながります。

労作

学校行事もすべて生徒たち主導で行われます。全員参加の登山では、生徒が運営組織を立ち上げ、宿の手配、電車の切符の入手、しおり作りまで生徒によって進められます。
また、寮生活においても、先輩・後輩が対話を重ねながら交流を深め、兄弟のように毎日を過ごしています。

編集部から見たポイント

熊本地震の際には、生徒自らが支援をしたいと先生に申し出、すぐにボランティアとして現地の方々と一緒に、救済活動を実行したそうです。生徒の本気・やる気を実現するためのサポート体制が自由学園に備わっているからこそのエピソードだと感じました。将来、社会で役に立つ力を学校で実践しながら伸ばせるところが、男子部の魅力ではないでしょうか。次回は、女子部についての詳細をご紹介しますのでお楽しみに!