inter-edu’s eye

連載第2回では、「シチズンシップ教育」を掲げる男子部の特色をご紹介しました。今回は、真の自由人として「社会に必要とされる人材」を育成する女子部の特色に迫ります。女子部長である佐藤史伸先生にうかがいました。

社会を支える「心の優しいリーダー」の育成

佐藤 史伸先生

女子部 中等科・高等科 部長
佐藤 史伸先生

女子部の教育のキーワードは「心の優しいリーダーの育成」です。リーダーの役割とは、全体を引っ張っていくだけではなく、周囲を支えていくことでもあると考えています。つまり、社会の中で必要とされる人材の育成を目指しています。
可能性を見出して、広げていくのが自由学園です。輝ける場所は必ずあるので、まずは、自由学園という社会の中で、主体的に考え、先入観にとらわれずに、自らが正しいと思えることができる女性になってほしいと願っています。

女子部の実習風景

さまざまな年代の学園生と関わることで、社会における責任と役割が確立されていきます。

加えて、毎日の生活を丁寧にきちんと過ごすことができていることが、女子部の良さであると実感しています。「基本生活」の積み重ねが、生徒の心身の成長につながっているのです。一つひとつの行動には意味があり、その責任を果たすことで社会が運営されることを学ぶ。そして、自分の力を差し出すことで、周りの人から感謝されたり、認められたりする。
学校生活や委員会、寮生活などを通して、生徒は自己肯定感を高めることができていると感じます。

また、自由学園における教員の役目は、生徒の成長を見守るだけでなく、運営の改善提案や約束事など、学園生活の中から生まれるさまざまなアイディアを実現させる過程を尊重し、時にはサポートすることであると考えています。

本物の実力を培う「教科教育」

英語 ~English~

発音や聞き取り、文法を学んだうえで、環境や現代社会などの問題も自分で考え、英語で表現しながら理解を深める力を育成。高等科からは習熟度別に授業を行います。

英語

理科 ~Science~

理科本来の「身近な自然から学ぶ」という考えに基づき、実験や実習を多く実施。緑豊かな自由学園のキャンパス全体が、科学的な法則や原理を学ぶ教室になります。

理科

音楽 ~Music~

全員で力を合わせて創り上げる合唱を授業の中心としています。楽器演奏や音楽鑑賞などを通じて、豊かな表現力と感性を身につけることを目指しています。

音楽

家庭 ~Home Economics~

洋裁・料理・生活講習を授業の中心として、生活に密着したきめ細かな学びの中から、一生役立つ技術や知識、そして応用力を養います。

家庭

学園の自治を通じて仲間と育む「しなやかな心」

「生徒自身によって学園が運営されている」というほど、生徒たちが自ら進んで委員会活動に関わり、問題解決にあたる様子についても、佐藤先生にうかがいました。

男子部と変わらぬ生活

自分の学校を自分で作る「自労自治」という考えは、男子部と変わりません。委員会活動、昼食の調理、寮生活、学校行事などのすべてにおいて、生徒たち一人ひとりができることを考え、責任を担い、その役割を果たしています。
高等科3年生を中心に運営されている、学園という社会の中では、全員が必ず輝ける場所が用意されているのです。

女子部ならではの行事「野の花祭」

例えば、毎年9月に開催されている「野の花祭」は、生徒の発案で生まれた、女子部ならではの行事です。「みんなが楽しめる文化祭」をモットーに、手作りシュシュなどのプレゼントや食事の提供など、アイディア満載の企画が並びます。これらは女子部の生徒が毎日の自治生活や授業の中で学んできた経験を活かした内容になっています。

ほかにも、たくさんの学園公開行事がありますので、ぜひとも足を運んでいただき、私たちの「生活即教育」に触れていただきたいと思います。

編集部から見たポイント

「目指している教育の方向性は一緒でも、そのプロセスは違います」。男子部の副部長も経験している佐藤先生は、女子部と男子部の違いをこのように分析しています。男女それぞれの成長に合わせた学びを実践する自由学園。卒業生は、国内の有名企業のみならず、外資系企業に就職して海外で活躍するなど、進路も多岐にわたっているようです。今の時代だからこそ、大切にしなければいけない「社会に必要とされる生き方」を学べる学園伝統の教育にぜひ一度ふれてみてください!