inter-edu’s eye

「いつでも どこでも だれでも」を教育理念に、高校教育を進める広域通信制の「NHK学園」。「N学」の愛称で親しまれ、通信制教育のパイオニアとして、年齢・地域を超えて学びの場を広げ続けています。その一方、教育方法が多種多様化する中で「ビジネス化する通信制」が存在するなど、大きな課題も見えてきました。そんな課題に向き合い、「通信制教育の在り方について改めて考えたい」と話すN学の賀澤恵二校長に、“真の通信制教育”についてお話をうかがいました。

N学が実践する“真の通信制教育”とは

賀澤 恵二先生

NHK学園 理事・NHK学園高等学校 校長
賀澤 恵二先生

「通信制でも全日制でも、高校教育を進めていくことに変わりはありません」。全国高等学校通信制教育研究会の会長でもある賀澤校長は、きっぱりと言い切ります。N学では、「高校卒業にふさわしい学力を身につけさせて社会に送り出すこと」を使命として、これまでに多くの卒業生を輩出してきました。

家庭の事情で高校に通えなかった方、スポーツ、芸能、芸術などの世界で活動している方、不登校や引きこもり経験のある方。N学にはさまざまな事情を持つ生徒たちが集まってきます。こうした事情に合わせて、「いつでも どこでも だれでも」学べるさまざまな教育コースを設定しているのがN学の最大の魅力です。

図書館

N学では、体育館や図書室など全日制高校と変わらない学習施設を整備。ネット学習コースの始業式や終業式は、インターネット上で賀澤校長が”生徒一人ひとり”に呼びかけます。授業で分からない点があれば動画で示すなど、全日制と変わらない指導も可能。レポートも提出して終わるのではなく、インターネット上で添削するなどのきめ細やかな指導で、生徒の学びがより深まります。

ソーシャルワーカー

さらに、N学が積極的に進めているのが、教員によるソーシャルワーカーの資格取得です。生徒の精神的不安などに対応できるスクールカウンセラーもいますが、実際の授業を行う教員自身によるソーシャルワーカーの資格取得を進めています。生徒の生活状況や心の状態を理解したうえで、気軽に相談しやすい雰囲気作りを目指しています。

N学が誇る合格実績

希望する進路に向けた目標設定ができるのも、N学で学ぶからこそ。全体の35%強が進学し、中には、東京大学をはじめとする国内最難関大学への合格者も輩出しています。それは、学習指導がきめ細やかなだけではなく、進路指導も熱心に行っているからです。

進路指導室

1年次から3年次まで各年次で使うノート(Yumemo)は、自分の夢を描くことでキャリアビジョンを明確化。受験や出願方法が書かれた「進路のしおり」の配布や、模擬試験の実施、進路ガイダンスなども行っています。また、指定校推薦もあるので、努力すれば努力した分だけ、大きな可能性が広がっていくのもN学の魅力です。

2015年度の合格実績 ※( )は現役生

4年制大学
短期大学
専門学校など
通信制大学・短期大学

通信制教育のパイオニアとして「学びたい」に寄り添う

日本初の広域通信制高校として、1963年4月に日本放送協会(NHK)が設立したN学。「高校教育を学びたい人につねに寄り添っていきたい」。その思いは、開校当初から現在に至るまで色あせることはありません。「学びたい人がのびのびと学べる環境にしたい」と、賀澤校長の挑戦は続きます。

賀澤 恵二先生

文部科学省の指定を受け、2004年にインターネット学習を主とした、不登校の人たちのための「Do it コース」を発足。2015年には、東京本校に「登校コース」を新設。学校に通って、部活動やクラスメイトとのふれあいを楽しみたい、というニーズに応えました。そのほかにも、海外で高卒資格が取得できる「ネット学習海外コース」や、高校を卒業して大人になっても学び直しをしたい人のための「教養コース」など、通信制の長所を活かした多彩な教育コースが用意されています。

いずれのコースも、教員とのコミュニケーションを大事にしながら、真の学びを実践することを目指しています。

編集者が見たポイント

先生とコミュニケーションを取りながらしっかりと学び、進学し、社会に旅立つことができるN学。さまざまな事情で全日制を選択できない人たちにとって、“将来が見える”重要な選択肢のひとつになるのではないでしょうか。