inter-edu’s eye

2015年4月からスタートしたNHK学園高等学校(以下、N学)の「登校コース」。通信制高校でありながら、水曜日、木曜日、金曜日の週3日間、学校に通学して学べるため、「友だちと交流できるのがいい!」「勉強や生活の悩みを相談できる!」と、生徒たちからも評判のコースです。今回は、この登校コースの手厚いサポート体制や、生徒の生の声を取材しました。

1人の生徒を6人の先生が見守るサポート体制

登校コースは、先生と対面しながら学べるだけでなく、先生が生徒一人ひとりをしっかり見守ってくれているのも魅力。統括教諭の井戸輝先生に、どのようなサポートをしているのか教えてもらいました。

2人担任制は先生が男女ペア…そのワケは?

井戸輝先生

統括教諭の井戸輝先生にお聞きしました。

インターエデュ(以下、エデュ):登校コースは、2人担任制だとうかがいました。

井戸先生:その通りです。1人より2人の方が、生徒をじっくりと見ることができますからね。また、担任は必ず男女のペアにしています。男女それぞれの担任がいることで、同性でないと話しにくい相談事もフォローできるわけです。生徒だけでなく、保護者の方も相談する先生を選べるので安心してもらえていますよ。もちろん、相談された内容は、担任間で解決策を模索しています。

ホームルームの時間

ホームルームの時間には、担任2人が生徒のフォローを行います。

エデュ:クラスが異なる先生方同士の連携はいかがですか。

井戸先生:私たちは授業などで担任クラス以外の生徒にも接していますが、登校コース1学年3クラス、合計6人の担任は、随時打ち合わせをして情報を共有しています。だから、2人で1つのクラスを見ているだけでなく、6人で3クラス全員の生徒を見るよう、心がけています。教員間のコミュニケーションがきちんととれていなければ、生徒に対して行き届いた指導はできないと考えています。

いつもグッドタイミングな先生の声かけ

先生と対面する授業が、学習内容に対する理解度を深めます。

先生と対面する授業が、学習内容に対する理解度を深めます。

エデュ:N学は、生徒のことをきちんと見てくれているのですね。

井戸先生:例えば、ステップアップタイム(個別学習の時間)では、個々の生徒の気持ちが上向いてきたときを狙って声をかけ、指導しています。常に生徒の様子を気にかけながらのコミュニケーションを心がけていますよ。本校の1番の魅力は、学校そのものに違和感を持っていた子たちが、安心して通える学校という点だと思います。生徒から授業の進め方についての要望をもらうこともあり、教員もそうしたリクエストに応えられるよう努力しています。

授業に集中する生徒の姿は、全日制の様子とまったく変わりません。

授業に集中する生徒の姿は、全日制の様子とまったく変わりません。

エデュ:卒業後の進学や就職といった進路指導について教えてください。

井戸先生:進路については、1年次からじっくり考える機会を設けています。大学や専門学校の先生を呼んで模擬授業を行っています。中には、尾木ママのように第一線で活躍している著名人を招いての特別講座もありますし、私のクラスでも進学に興味を持っている生徒が多数いますよ。本校のキャリア教育は大学進学を前提としているわけではないですが、大学の指定校推薦の枠は毎年増えています。各大学から、本校の生徒の努力や実績が評価されている証拠でしょう。

心配ご無用! 登校コースはここが違う

登校コースに通う1年生の3人に、“登校コースを選んでよかったこと”を教えてもらいました。3人に共通していたのは、「友だちができた」ことでした。

できないことを補ってくれるクラスの存在

Aくん:一般的な通信制高校と違って、人との出会いがあり、コミュニケーションをとれるのがいいところです。同じ悩みを持っている人も多いので、みんなと仲良くなれます。
そして、自分一人だけではできないことも、周りに人がいれば、それを補ってもらえます。勉強をわかりやすく先生に教えてもらえるのも、そのひとつですね。

やさしい先輩から元気をもらうチャンス

登校コースの皆さん

Bくん:外出の機会が少なくなる通信制高校では、社会に出るときに戸惑うのではないかと心配していたけど、登校コースは週3日通うので、その心配が無くなりました。授業に出ることで、勉強に集中できますし、入学してから仲のいい友だちもできました。今は、吹奏楽部に所属していて、やさしい先輩方からも元気をもらっています。

友だちと助け合いながら学べる心強さ

Cくん:N学は、大学のような自由な学びができると感じて入学を決めました。
入学する前は、3年間友だちができなかったらどうしようと心配していたけど、似た境遇の人が多かったので、スクーリングが始まってすぐに友だちができました。勉強も、分からないところを友だちと教え合っています。人と助け合いながら学んでいけるのが、登校コースの良さです。

編集者が見たポイント

先生とコミュニケーションを取りながらしっかりと学び、進学し、社会に巣立つことができるN学。さまざまな事情で全日制を選択しない人たちにとって、“将来に備える”ための、とても重要な選択肢のひとつになるのではないでしょうか。