掲載日:

全員がリーダーになれる!立教新座独自のリーダーシップ教育とは

全員がリーダーになれる!立教新座独自のリーダーシップ教育とは

inter-edu’s eye

スーパーグローバルハイスクール(SGH)のアソシエイト校として、「国際的に活躍できるグローバル・リーダー」の育成をめざす立教新座中学校・高等学校。ここで展開される独自のリーダーシップ教育とは、どのようなものなのでしょうか。先生と生徒、双方の視点からお話をうかがいました。

校長が描くリーダーシップ

まずは、村上校長に、「リーダーシップ」について語っていただきます。立教新座はどんなリーダーシップをめざし、どんな教育を行っているのでしょうか。

男子校ならではの寛容さをもって

村上 和夫 校長

村上 和夫 校長

「リーダーシップ」と聞くと、多くの人が企業組織におけるカリスマ的な役職者の行動を思い起こされると思います。
本校が描く「リーダーシップ」は、「権限なきリーダーシップ」(下枠参照)といわれるものでカリスマ性とは全く異なるものです。シチズンシップとも似ています。シチズンシップ教育とは、1980年代の終わり頃に英語圏で流行った、「市民としての意識をつくる教育」です。宗教や文化の異なる人たちが互いを受け入れ、新しい社会をつくっていくには、また一人ひとりは社会においてどのような役割を担ったらよいか、などを考える教育のことをいいます。
これを象徴するエピソードがあります。
本校の通学バスが混雑し、生徒同士の押し合いが問題となったときのことです。学友会(生徒会)が、「どうすれば押し合わず、バスに乗れるか」を考え、注意を呼びかけるポスターを貼ったり、校内放送を流したりしました。すると、中高生ばかりか、大学生もこれに同調し、みんなで押し合わずバスに乗れるようになったのです。この学友会の活動がリーダーシップであり、その構成員はシチズンシップを持っているというわけです。

「権限なきリーダーシップ」とは?

イメージ

学級委員や部長、キャプテンなどの役職に就いていない人も含め、全員がそれぞれのリーダーシップを発揮すること。権限がなくても他者の協力のもと、目的を達成するため、自ら主体的に動く新たなリーダーシップをめざします。

ちなみに、本校の教育には、男子校ならではの4つのポイントがあります。1つ目は「心身の成長に合わせた学びをすること」、2つ目は「40歳の未来を見据えること」、3つ目は「“かっこよさ”の真理を問うこと」、4つ目は「独立した個人をつくること」。すべてに共通する理念は、共に生きるための「トレランス(=寛容さ)」です。リーダーシップ教育においても大切な理念といえます。

立教新座のリーダーシップ ‟3つのキーワード”

立教新座のリーダーシップ
‟3つのキーワード”

1.
リーダーシップ研修

授業内外において、さまざまなリーダーシップ研修を行っています。そのなかの一つ、「体育部・文化部リーダースミーティング」は、体育部は大会などの目標を達成するための、文化部は部を円滑に運営するためのリーダーシップを考える、という内容です。各部から部長・副部長など役職者2名が参加し、研修で経験したことは部員と共有します。そのほか、より一般的なリーダーシップを学ぶための、会社経営をテーマとした講演会なども開催します。

2.
フォローアップ制度

各研修後、必要に応じてフォローアップを行います。講師の話した内容を、生徒がどれくらい理解し、どれくらい実践しているか。その浸透度を測ることで、研修を継続するにあたっての、改善点などを検討していきます。ただし、この制度は、まだ実験的な導入段階です。本格的な実践はこれからとなりますが、その後、より研修内容がブラッシュアップされ、生徒への浸透度が高まっていくことが期待されます。

3.
振り返り

立教新座がめざすリーダーシップ定着における大事なポイントは、「振り返り」を行うことです。クラスメイトや部員、自分のリーダーシップがどうだったか振り返り、紙に書いたり、話し合ったりしてフィードバックを行います。そうすることで、自分や相手の強み・弱みを理解したり、定期的に改善したりすることができるのです。また、よいリーダーシップをほめ合えば、互いのリーダーシップ向上にもつながります。

生徒が実践するリーダーシップ

続いて、「部活動リーダーシップ研修」を受けた、空手道部の部長・大辺くん(高3)と全国大会優勝を果たした副部長・山中くん(高2)にインタビューします。立教新座のリーダーシップ教育は、生徒たちに浸透しているのでしょうか。

部長 大辺くん(左) 副部長 山中くん(右)

部長 大辺くん(左) 副部長 山中くん(右)

インターエデュ(以下、エデュ):「リーダースミーティング」を経験して、どんな変化があったか教えてください。


大辺くん:部長として変えたことは、部内の役割分担です。特定の役職者が仕切るのではなく、部員全員に役割を与え、一人ひとりが責任をもって部活動に関わるようにしています


山中くん:研修を経て、自分のやるべきことが見えてきました。部長を支えるだけではなく、部長の背中を押すくらい率先して動くべきなのだ、と。

エデュ:ちなみに、山中くんが考えるリーダー像とは?


山中くん:周囲を巻き込む力のある人。うちの部員はみんな、いつも部長の言うことに耳を傾けています。そうさせることのできる部長のリーダーシップは、やっぱりすごいなと思うし、尊敬しているところの一つです。


エデュ:リーダーシップの定着には「振り返り」が大事だと聞きましたが、大辺くんはどんな「振り返り」をしていますか?


大辺くん:毎日、部活動の最後のミーティングで、各自の目標や達成度を確認し、それに対して部員からフィードバックをしています。また、技術面では、みんなで試合の映像を見返して、互いのレベルアップに励んでいます。悪いところを直すのはもちろんのこと、よいところもしっかり見て伸ばしていくことを意識しています。

2人が考えるリーダー像とは?

エデュ:今後の目標を教えてください。


大辺くん:卒業後は経営学部に進学したいと思っています。そして、将来は、みんなが意見を言い合えるような職場で仕事がしたいです。いま教わっているリーダーシップが活かせたらいいな、と考えています。


山中くん:来年は、自分が部長という立場。新入部員にも、いま教わっているリーダーシップを伝えていきたい。そして、いま以上に部員全員で発揮し合い、よりよい部活にしていけるようがんばります!

顧問の先生からのメッセージ

顧問の新宮先生

顧問の新宮先生と

部活動においては、部の目標を明確にし、それを部員全員が理解すること、そして、「目標の達成のために、自分は何ができるのか」を考えることを指導しています。
また、それを実行するために周りを巻き込み、協力してもらうことも大切です。生徒たちには、周りをよく見て、自分にできることは何か、常に考えながら学校生活を送ってほしい。そうすれば、素晴らしいリーダーへと成長できるはずですから。受験生の皆さんにも是非、オープンキャンパスに来ていただき、生徒たちの話を聞いて頂きたいですね。

毎年大好評のオープンキャンパス!

編集部から見たポイント

印象的だったのは、リーダーシップ研修で学んだことを吸収し、実践し続ける生徒たちの姿。取材中でさえ、その場にいる人たちの様子を見て、自分の役割を考えているように見受けられました。彼らは、先生方が話されたリーダー像を、まさに具現化していたのです。そんな生徒の姿を是非、オープンキャンパスでご覧ください。