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本物に触れる体験を重視し、教養や学習意欲を身につけさせる成立学園中学・高等学校。その根幹で大事にされているのが、多様性と個性です。今回は、成立学園だからこそできる体験を通して身につける教養や学習意欲、そしてその先にあるものを紹介します。

体験授業を通して“受け入れる”器を大きくする

数多く用意されている体験授業は、多様性や個性とどう結びついているのでしょうか。校長の福田浩平先生にうかがいました。

福田 浩平 理事長・校長

学校法人 成立学園
成立学園中学・高等学校
福田 浩平 理事長・校長

インターエデュ(以下、エデュ):なぜ多様性と個性が重要なのでしょうか?

福田校長:学校生活でも、いろいろな生徒や教員がおり、人間性や考え方が違います。さまざまな違いを尊重して活かし、変化し続ける社会環境に対応していくためにも、多様性を持つ必要があるのです。つまり、多様性を持つことは“受け入れる”器の大きさを広げることです。そして、個性とはその器の形だと思っています。

エデュ:その多様性の幅を広げるのが、体験授業なのですね。

福田校長:はい、私たちは多様性の幅を広げることが最大のミッションだと考えています。だから、本校ではじっくりと中学校の3年間をかけて体験授業を行うことで、生徒の器である個性を発見できるよう努めています。また、体験授業を通して教員が生徒本来の姿を見つめることで、教員もその生徒に合った指導や支援ができるようになるのです。

教科学習とのリンクで理解が深まる体験授業

ナショナル ジオグラフィック

ナショナル ジオグラフィック日本版は、地球をテーマに「世界に通用する地球人を育てるために役立つ」雑誌です。

成立学園には、モチベーションの維持や学習意欲向上につながる教養を身につけられる体験授業がたくさんあります。多感な時期にさまざまな本物に触れることで、知識と教養が蓄積されていくのです。また、そこにつながるやる気を引き出すために行われているのが「アース・プロジェクト」。日本で唯一「ナショナル ジオグラフィック教育実験校」である成立学園では、日経ナショナル ジオグラフィック社と連携し、雑誌を通して知的好奇心を目覚めさせます。そして、日本にいながら、地球全体からの視点を育んでいくそうです。

それではさっそく、アース・プロジェクトともリンクする体験授業をみていきましょう。

水田学習

1年生「水田学習」

アース・プロジェクトの一環として、人間にとって大切な「食を考えること」をテーマに、鷺宮総合グラウンドに隣接する成立学園の水田(成立田)を使いながら、米作りの工程を体験します。体験と教科学習を結びつけることで、理解を深めます。

チャレンジキャンプ

1年生「チャレンジキャンプ」

富士登山(五合目~六合目)、洞窟・樹海探検などを通じ、自分で体験することの重要さ、日本の文化や美しさ、そして環境問題などの社会問題を視覚的・体験的に学びます。

海のフィールドワーク

2年生「海のフィールドワーク」

アース・プロジェクトの「環境」をテーマにした学習とリンク。静岡県西伊豆での磯観察を通じ、海をきれいに、そして大切にする心を育みながら、グループ内で協力しながら自然との関わり方を学びます。

アース・ツアー

3年生「アース・ツアー」

世界自然遺産に指定されている屋久島の縄文杉で自然の雄大なスケールを肌で感じたり、普段は間近で見ることが出来ない種子島宇宙センターでの見学などを体験します。本物に触れることが出来る環境に身を置くことで、感動を教養につなげます。

体験授業の成果をまとめることで学力も向上

レポート課題などを通して発信力も身につく

知的好奇心を呼び起こすこれらの体験授業では、学習後に生徒がレポート課題を提出します。iPadを利用した課題作成によって、生徒たちがより一層、詳しく観察を行うことにも一役買っているそうです。生徒自身が調べた結果をレポートにまとめる作業を通して、体験が教養として蓄積されていくといいます。

福田 浩平 理事長・校長

体験授業では「発信力」がポイントとなります。「チャレンジキャンプ」では、身の回りの事象と主体的に関わることで、「海のフィールドワーク」では、グループで「疑問・発見・驚き・調べる・協力する・伝える」というプロセスを体験することで、「発信力」が身につくのだそうです。

中学校の集大成となる卒業論文で国語力が着実に定着

ナショジオ発表会の風景

ナショジオ発表会の風景

一方、アース・プロジェクトでも、「食」、「環境」、「科学」などのテーマに沿った「ナショジオ発表会」が行われています。生徒たちはチームに分かれ、スライドや発表方法などに工夫を凝らし、プレゼンテーション力を養います。優秀チームには、貴重な書籍がプレゼントされるなど、やりがいを得られるのも魅力です。

卒業論文

中学校の卒業論文は、これから成長する過程で必ず役に立つ道しるべになるでしょう。

そして、アース・プロジェクトを通して広がった興味・関心や、自分の将来についての展望は、3年生になると卒業論文という形に集約されます。テーマは「働くということ」。資料収集からインタビューなどの活動を終えた後、第三者に情報伝えるための構成を決め、具体的な内容を執筆していきます。これまでの学習で身につけてきた国語力を活かし、成立学園で体験しながら学んだことの集大成となる卒業論文を書き上げます。

これからの時代に必要な“見えない学力”とは?

大学入試も大きく変化をしていくこれからの時代、福田校長は幅広い教養に基づく発信力である“見えない学力”が重要だと語ります。大学入試の問題も正解がないものになってきている今、体験授業などで身につける“見えない学力”の育成が、力を発揮していくそうです。

“見えない学力”の育成

「教科書の用語を記憶するのではなく、用語の本質的な意味や背景を知ることが、これからの学習の中心となることでしょう。」と福田校長。成立学園の体験授業やアース・プロジェクト、卒業論文製作などは、まさにこれからの時代に必要な教養、発信力を学び、“見えない学力”を育成する重要な教育といえるでしょう。

編集者が見たポイント

取材を通し、体験授業やアース・プロジェクトは、単に教養や学習意欲の向上だけでなく、2020年の大学入試改革にもつながる力を養うことが分かりました。さらに、体験授業のレポート課題や卒業論文が、発信力だけでなく、これからの時代に求められる学力の基礎となる国語力も育成しています。将来、社会人として活躍する時に、成立学園での体験から学んだ教養が、必ず役に立つことでしょう。ぜひ、成立学園に足を運び、“見える学力”と共に“見えない学力”を身につけた生徒たちの姿を確かめてみてください。