変わる大学入試にも 全教科に有効な白梅清修の学び

3人の生徒

inter-edu’s eye

白梅学園清修中学校・中高一貫部(以下、白梅清修)では、教科を超えて必要とされる4つの力(自己学習力・他者と協働する力・論理的思考力・表現力)の育成に取り組んでいます。今回は、大学入試改革にも大きく関わる4つの力を学ぶ「言語能力向上プログラム」とその集大成として取り組む「論文作成」について、生徒と先生にインタビューしました。

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「言語能力向上プログラム」とは

「言語能力向上プログラム」は、言語能力を段階的・体系的に指導することで、自己学習力・他者と協働する力・論理的思考力・表現力が身につくプログラムです。
プログラムでは、言語能力向上に必要な項目を“表現分野”と“思考分野”に大別し、「記録」「反論」「考察」など各分野にある12項目を中学校で段階的に学びます。
プログラムを進めるうえで重視していることは、生徒が今、どの力を身につけているのか理解させることです。言語能力向上に必要な項目を、生徒が自覚しながら一つずつ習得することで、学びを定着させる狙いがあります。そして、高校1年次には総まとめとして、中学校の3年間で習得した全項目が必要とされる「論文作成」に取り掛かります。

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論文で最優秀・優秀賞を受賞!生徒インタビュー

高校1年生は、4月から論文作成に着手し1月に5,000字の論文を提出。教員による一次選考と白梅学園大学の教授による二次選考により、最優秀賞・優秀賞・理事長賞が決まります。昨年度、最優秀賞と優秀賞を受賞した3人と国語科の布施先生に論文作成についてうかがいます。

論文なのにグラフ?

インターエデュ(以下、エデュ):どのように論文を作り始めたのでしょうか。

Kさん:テーマを決めるために、まずパソコンでグラフやデータを探しました。

布施先生:数字で事実を表すグラフからテーマを探す方法は、数学科からの提案です。例えば、グラフに理想的ではない偏りがあれば、それを論点として、是正するためにはどうすればいいかを論じればいい。グラフには、特徴を捉えやすく、課題を見つけやすいという利点があります。

犬の殺処分ゼロにするため、ブリーダーやペットショップの方にインタビューを繰り返したTさん
犬の殺処分ゼロにするため、ブリーダーやペットショップの方にインタビューを繰り返したTさん

Tさん:私が見つけたグラフは、犬の殺処分が減少しているグラフです。減少してもゼロにはならないところに課題を見出し、“犬の殺処分をゼロにする方法”をテーマにしました。

Mさん:私のテーマは、“職場BGMは必要なのか”です。母親の会社が導入した職場BGMに対する意識調査が、テーマ決めのデータになりました。

Kさん:私は、“照明と集中力の関係”を論文のテーマにしました。既存のデータではなく、暖色・寒色の照明が与える心理的な変化について学校で自らアンケートをとり、そのデータを基にしています。

客観的な視点を意識する

布施先生:テーマが決まり、章立てをして結論への方向性が定まったところで、10月の「中間発表」を迎えます。発表は、来年論文を書く1学年下の生徒と混合のグループ内で行われます。

音楽を聴いたときの脳の仕組みや反応についても詳しく調べたMさん
音楽を聴いたときの脳の仕組みや反応についても詳しく調べたMさん

Mさん:グラフやアンケート結果を見せながら、テーマを選んだ理由と、どんな結論の論文を書くか説明して、最後に質疑応答をします。私は、音楽のメリットしか語っていなかったので、デメリットについて聞かれました。

Tさん:私は、ブリーダーのことなど、専門用語について質問を受けました。

Kさん:資料に正確な数字を載せていなかったことを指摘されたので、論文にはきちんと記載しました。

エデュ:中間発表により、客観的な判断ができる事実の記載や表現が必要なことを、執筆前に改めて認識できたのですね。

人に読んでもらえる論文とは

エデュ:論文作成を振り返って、苦労したことや、身についたことがあれば教えてください。

作文と論文の違いに気づき、素晴らしい論文で表彰されたKさん
作文と論文の違いに気づき、素晴らしい論文で表彰されたKさん

Kさん:作文と違い、集めたデータを見比べて、結論を導き出すために考察するところが難しかったです。

Tさん:論文作成で、データを読み取る力と見やすいグラフを作る力がついたと思います。

Mさん:難しい専門用語には言葉を足して説明したり、アンケート結果のすぐ後に考察を入れたりして、読者が理解しやすい表現や構成を考えられるようになりました。

エデュ:論理的思考力と表現力を活かした内容が評価され、名誉ある賞の受賞につながったのでしょうね。受賞を励みにこれからも頑張ってください!

多角的な視点を得た生徒たち

言語能力向上プログラムを通して感じた生徒の成長や、今後の目標について、布施先生にうかがいます。

お話をうかがった布施先生
お話をうかがった布施先生

布施先生:プログラムを体験する前の生徒は、教員が話すことをすんなり受け入れる幼さがありました。しかし、プログラムにおける考察やディスカッションを通して、物事をさまざまな角度から批判的に見るクリティカルシンキングができるようになったと思います。
今後の目標は、このプログラムを国語科に限らず全教科と連携して拡充させること。そして、我々教員が教えた知識を使って生徒が何かを生み出すような、創造性のある生徒を増やす環境を整えることですね。

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編集者から見たポイント

学校の魅力について、「少人数クラスなので授業中でも発言しやすい」「先生との距離が近くて話しやすい」と語ってくれた3人の生徒。取材中も臆することなく発言していた彼女たちを見て、学校の環境がもたらす恩恵を感じました。生徒は自由に伸び伸び過ごしながらも、定着性のある学習プログラムでしっかりと言語能力を身につけているようです。彼女たちならば、変わる大学入試も身につけた力で乗り越えていけることでしょう。

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