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東京純心女子中学校・高等学校の年間行事の中で重要な意味を持つ、高1の「長崎研修旅行」。純心教育の原点である長崎の地で、純心ゆかりの地をめぐるとともに、姉妹校との交流を深めます。今回は、生徒にとって大きな変化をもたらす研修の内容を紹介します。

長崎で研修を行う大きな意味

東京純心の生徒たちが長崎の地に足を運ぶことには、「創立者の江角ヤス先生の思いを肌で感じる」という大きな意味があります。

純心が育てたい女性像である「叡智」・「真心」・「貢献」という3つの大切なもの。混迷の続く現代、見えないものを見る力(叡智)を備え、人との関係(真心)を大切にし、平和を希求し未来に貢献(貢献)する女性になってほしい。
これは江角先生の思いです。

原爆資料館
原爆資料館を訪れる生徒

1936(昭和10)年、純心女子学園の前身である「純心女学院」が長崎に創立されました。創立されて10年目、原爆の投下により純心では214名もの純女学徒隊(生徒たち)を失います。江角先生は教え子を亡くした悲しみから、学校を閉じる決心をしますが、亡くなった子どもたちの父母からの強い要望から、学園を続けることを決意します。

「純心がよくなれば、教え子たちが喜んでくれる。よい純心教育を行って、平和を愛する生徒を育てよう」。

この江角先生の思いを、純心の教育の原点を、長崎を訪れることで改めて考えてほしい。そのうえで自分の進むべき未来を考えてほしい。また、平和について体感してほしい
こうした願いから、毎年長崎で研修を行っています。

生徒の心に響く充実したプログラム

3泊4日で行われる研修旅行。創立者の思いに触れ、未来を考える、その詳しい内容を紹介していきます。

1日目「平和を肌で感じる」

原爆資料館2

原爆資料館で、長崎に落とされた原子爆弾に関すること、その前後の人々の様子などに思いを馳せます。幸福な日常が一瞬のうちに消滅してしまったことを、厳粛に受け止めました。

生徒の声
何ともいえない重苦しい気持ちになりました。なぜこんな道具を使って戦争を終わらせようとしたのでしょうか。

次に、「純心聖母会」本部で江角先生の墓参りをした後、特養老人ホーム「原爆ホーム」に移動し、被爆者の皆さまによる朗読劇・原爆劇を鑑賞しました。

生徒の声
入居者の皆さんとの懇談が楽しかったです。田舎の祖母と話をしているようで、あまり緊張せずにおしゃべりできました。

純心聖母会本部修道院
江角先生の墓参り
「純心聖母会」本部の修道院にある墓前で手を合わせる生徒
被爆劇
被爆劇
高齢の皆さまが一生懸命演じる姿に心を打たれます
入居者との交流
入居者との交流
自分の祖父母に会いたくなった、と生徒の心もほっこり
浦上教会(浦上天主堂)
浦上教会(浦上天主堂)
純心女学院が近かったこともあり、今でもつながりが深い

最後は、浦上天主堂(浦上教会)へ移動。爆心地にも近く、被爆のマリア像があります。全員で祈りをささげ、こころを込めて聖歌をうたいました。

生徒の声
マリア像の、空洞になってしまった目が忘れられません。悲しそうにも怒っているようにも見えました。

2日目「長崎校との交流と創立者の思いに触れる」

午前中は、姉妹校の純心高等学校を訪れました。長崎と東京。遠い距離でも、同じ建学精神のもとに集まった同士です。心が通い合う仲間がたくさんいる、ということを実感してほしい願いから行っています。

交流会では、純心の卒業生が作曲した被爆50周年記念歌「千羽鶴」を全員で合唱。最後は、お互いに歓迎のカードを交換し合い、歓談を楽しみました。また、聖堂では、学園で働いていた被爆経験者から、当時のお話をうかがいました。

生徒の声
交流会は、同学年ということもあり、初対面とは思えないくらい話が弾みました。「千羽鶴」の合唱は歌っている私も感動してしまい、やっぱり同じ江角先生の作った学校に通っているんだなと実感しました。

校墓
全国でも珍しい、学校内にある校墓
原爆で亡くなった214名の御霊がまつられている
交流会
体育館での交流会
初対面と思えないほど話がはずんだという生徒たち
聖堂
聖堂
学園内の聖堂で、被爆経験者からの話を聞く生徒たち
平和祈念像

午後からは、学園の創立当初からさまざまな面で関わってくださった、医学博士の永井隆氏が暮らした「如己堂(永井隆博士記念館)」を訪れた後、グループごとに、市内を散策しました。

生徒の声
長崎散策のときに、町の人たちが親切にしてくれました。純心が、どれだけ長崎の町で愛されているのかがよくわかる出来事でした。

3~4日目「五島の自然と歴史を学ぶ」

心を大きく動かされた前半の研修を終え、最後の2日は五島列島を観光。「観光王道コース」と「自然と一つになるコース」に分かれ、五島の自然と歴史を、気の合う仲間同士で、思いっきり、エンジョイしました。

生徒の声
・みんなで行ける最後の宿泊行事だったので、思い切りはしゃいで、楽しめたのがよかったです。先生方のお茶目な一面も見られたし、皆の仲がぐっと縮まった気がします。
・五島での観光では、伸び伸びとできました。振り返ってみると、この日があったおかげで、前半の長崎の経験をしっかりと受け止めることができたと思います。

堂ヶ崎教会
堂ヶ崎教会
浦頭教会
浦頭教会
地引網体験
地引網体験

意識が180度変わる研修後の生徒たち

現地での研修を前に生徒たちは、純女学徒隊を描いたノンフィクション「焼身」や、永井博士に関するDVDなどを観たり、合唱曲「千羽鶴」の理解を深め、練習に励んだりするなど、さまざまな事前研修を行っています。

そして、長崎研修が終わると、まとめとして平和に関する感想文を提出します。感想文は、純心を知らない人を対象にして、新聞記者になり文章を作る、というコンセプトで書きます。

生徒の変化

研修を終えると、生徒自身の進路に対する考え方の大きな変化が強く感じられます。生徒からは「少しでもいいから、人の役に立つことをしたい」という声が聞かれ、近年の看護医療系・薬学系への志望の多さも、その現れだと考えています。

勉強に対する取り組みも変わり、2年生以降での科目選択に対しても積極的になります。

編集者が見たポイント

ここで紹介した生徒の声はほんの一部です。創立者江角先生への感謝や、被爆劇を見て涙が止まらなかったことなど、純心生の心の優しさが窺える声が多くありました。

これは、純心の建学の精神が、脈々と受け継がれている証拠だと思います。

学校説明会・イベント一覧

イベント 日時
適性検査型入試説明会 12月23日(水・祝) 13:00~
クリスマス・ページェント ※要予約 12月23日(水・祝) 14:30~
入試体験会ファイナル! ※要予約 2016年1月9日(土) 14:00~