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クエストカップ グランプリ受賞 生徒の成長の軌跡を追う ~聖学院~

inter-edu’s eye

聖学院中学校・高等学校では、企業が提示した課題に1年間かけて取り組む、課題解決型授業「クエストエデュケーション」が行われています。導入1年目の年、その成果を全国70校以上の学校が発表する「クエストカップ」の全国大会で、聖学院のチーム「UDON」が「企業プレゼンテーション部門」で、見事グランプリを獲得しました。今、その生徒たちは高校2年生。進路の岐路に立つ彼らは、この経験をどのように活かしているのでしょうか。生徒たちのその後を追いました。

全国約1万人の生徒が参加!クエストカップ全国大会とは?

全国約1万人の生徒が参加!
クエストカップ全国大会とは?

クエストカップ全国大会は、2005年に始まった課題解決型授業「クエストエデュケーション」の成果を発表するプレゼンテーション大会です。実在の企業から与えられた課題の解決に向けた提案をする「企業プレゼンテーション部門」、ロールモデルとなる人物を掘り下げる「人物ドキュメンタリー部門」と「自分史部門」があり、参加校数は全国の中学校、高等学校合わせて、70校以上。1万人以上の生徒が取り組み、1000を超える作品がエントリーするなか、本大会に出場できるのは、わずか80のチームと個人のみ。
本大会では、1年間かけて学び、作り上げた提案を、企業人や技術者、有識者に向けてプレゼンテーションします。

クエストカップ 本大会

全国の中高生が、1年近くをかけて練ったアイデアを持ち寄ってプレゼンテーションする「クエストカップ」本大会会場の様子。

チーム「UDON」メンバーが語る“あの時”と“今”

チーム「UDON」メンバーが語る
“あの時”と“今”

中学3年生のときに「クエストカップ2015 全国大会」でグランプリを受賞し、現在は高校2年生となったチーム「UDON」の4人が再び集合! 当時を振り返りながら、聖学院での学びがクエストカップにどう活かされたのか、またクエストカップ出場の経験は今に活かされているのか、成長した4人に質問を投げかけてみました。

今だから実感!この授業が活かされた

クエストカップの受賞メンバーたち

クエストカップの経験から大きく成長した受賞メンバーたち。(左から)前田大地くん、坪井誠くん、前田拓海くん、鶴岡秀俊くん

インターエデュ(以下、エデュ):クエストカップでは、「アフリカで、うどんを給食として提供することで多くのファンを作り、子どもたちが大人になった20年後、テーブルマーク(協賛の食品メーカー)が現地の工場で雇用を生む」という提案をしたそうですね。なぜこのような発想を思いついたのですか?


大地くん:企業から出された課題が、「現代の食の危機を直視し、20年後の食のシーンを提案せよ!」というものでした。食の危機と聞いて、みんな真っ先に思い浮かんだのが、アフリカの食糧危機だったんです。協賛企業の前身が、うどんを作っていた株式会社加ト吉だったので、企業の強みであるうどんとアフリカを組み合わせてみようと考えました。

毎年恒例の糸魚川農村体験学習

2016年に31回を迎えた、毎年恒例の糸魚川農村体験学習の様子。都心では実現できない学びと経験が、グランプリを受賞したアイデアに繋がりました。

拓海くん:聖学院では、中学3年生の初めに、新潟県糸魚川市で農村体験学習をします(eduスタッフ訪問記参照)。現地では、都会や学校で学ぶことができない“食の現場”や“食の根本”を考えたり、実際に体験することができるので、“食の危機”についてもイメージを持っていたんです。


坪井くん:農村体験学習では、田植えや植林などの経験ができます。どのように農業が成り立っているのか、農業を営む人たちはどのような生活をしているのか、身を持って体験できたので、僕もそこで問題意識を持てるようになっていました。


鶴岡くん:「共に学び、共に生きる」をテーマに、答えのない問いについて、意見交換したり、プレゼンテーションをしたりする「L.L.T.」(Learn Live Together)の授業で学んだことが、役に立ちました。この授業が無かったら、クエストカップの決勝まで残っていなかったかも知れません。

悔しくて見返したい!その思いでグランプリに

グランプリ受賞時の様子

当時、中学3年生でグランプリを受賞したメンバーたちの様子。今と比べると、まだあどけなさが残っていました。

エデュ:プレゼンテーションの内容や見せ方は、どのように仕上げていったのですか?


拓海くん:提案の伝え方は“四人四色”のやり方があったので、どのやり方がベストか、たくさんの先生に意見をいただきながら、ひとつずつ問題点をクリアしていきました。


鶴岡くん:生徒が主体で、先生が協力してくれるというのが聖学院のいいところだと思います。大人側の視点と生徒側の視点の両方が活かされたので、良いものが作れたのだと思います。


坪井くん:でも、中間発表のときは、先生にこてんぱんにダメ出しされたんですよ! それが悔しくて、見返してやろうと思って、授業が無い日曜日もみんなで集まって頑張ったんです。


拓海くん:みんなで優勝を目指そうと決めていたので、毎日「追いつかない、ヤバいよ」って言いながら夜6時まで学校に残って、プレゼンテーションの質を上げていました。みんなで一致団結できたのが勝因だと思います。

受験勉強にも優勝経験がプラスに

大地くんと坪井くん

二人共に国立大学の理系学部への進学を目指す、大地くんと坪井くん。偶然にもまったく同じ大学を志望することになったそうです。

エデュ:クエストカップの経験は、今、どのように影響していますか?


大地くん:期日までに、どこまで自分を高められるか、ということを学び、それが受験勉強に活かされています。昔は毎日漠然と物事をこなしていましたが、クエストカップをきっかけに、やるべきことを紙に書き出すようになりました。また、未知の課題に立ち向かう力も培いました。宇宙に興味があるので、大学では、まだ発見されていない謎を自分の課題として研究してみたいです。


坪井くん:僕も、週や月ごとのスパンで計画を立てられるようになり、週の終わりの反省点を、次にどう生かすかということを心がけています。そして、課題をどう効率よくこなすか、問題をどういうアプローチで解くかという考え方も身につきました。

拓海くんと鶴岡くん

今年も同じチームメイトとして、「キャリア甲子園2016」への出場しようとしている拓海くんと鶴岡くん。

拓海くん:社会に関心を持てるようになり、社会問題に目が行くようになりました。将来は、社会学部のある大学に進学したいと考えています。自分の視点を持てるようになったことは、クエストカップの経験が大きいです。


鶴岡くん:自分が理解したことを、体系化させて、人に分かりやすく伝える力が身につきました。こうした力を活かすために、大学は法学部に行き、将来は弁護士になりたいと思っています。


拓海くん:実は、僕と鶴岡くんは、ビジネスアイデアコンテストの「キャリア甲子園2016」に出場します。去年、先輩たちがファイナリストまで残ったのに優勝できなかったので、そのリベンジです。2学期から本格的な準備が始まるので、クエストカップの経験を活かし、優勝目指して頑張ります!

聖学院の強みは“社会課題への問題意識”

クエストカップ初参加にして、チーム「UDON」をグランプリに導いた影の立役者、進路指導部副部長の日野田 昌士先生に、その舞台裏を教えていただきました。

日野田 昌士先生

クエストカップ出場メンバーを選出し、決勝戦が終わるまで励まし続けた日野田 昌士先生。生徒の自主性を伸ばすのが、聖学院の教育だとお話しいただきました。

エデュ:チーム「UDON」のメンバーは、どのようにして選ばれたのですか?


日野田先生:実は、出席番号順なんですよ。これには理由がありますが、後で述べます。結果として、一番積極的な拓海くんのやりたいことや意見を、他のメンバーがしっかりと受け入れることで、チームとしてうまく機能できたと思います。
実際には、社会に出たときに仕事のチームを好きな人同士で組めるとは限りません。ランダムにメンバーを選んだ理由がここにあります。人が話すことを批判する人になるのか、聞いてあげられる人・相手の話をひき出す人になるのか。彼らを見て、チームづくりをどのようにすべきか、私自身も勉強になりました。

エデュ:グランプリを獲得できた勝因は何だと考えていますか?


日野田先生:審査委員からプレゼンテーションスキルについて指摘があったように、確かに上手ではありませんでした。プレゼンテーションスキルだけでは、他校の生徒の方が優れていたかもしれません。でも、本校の生徒の良いところは、社会課題を解決する提案ができることです。社会課題への関心は、他校の生徒よりも強いのではないでしょうか。これは、キリスト教の学校という影響もあるでしょう。クエストカップ決勝では、現実に沿いつつも、現代の社会が直面している問題を取り上げ、解決案を提案したことが、審査委員から高い評価を受けたと考えています。


エデュ:社会に貢献できる力を持つ生徒を育てているのですね。


日野田先生:学校の教育理念として、社会貢献はとても大事にしているポイントです。もちろん、受験で進学実績を出すことも、生徒が望む将来を実現するために大切だと思っています。クエストカップで頑張った生徒たちが、受験でも実力を発揮して、聖学院で学んだことを社会に還元できるようになる日を待ち望んでいます。

2017年度入試のための学校説明会日程

イベント名 一般・特アド(中学) 帰国(中学・高校) 日程 時間
イヴニング説明会 - 9月2日(金) 19:00~20:00
第2回学校説明会
【授業体験・クラブ体験・思考力セミナー】
- 9月17日(土) 10:00~13:30
第3回学校説明会
【一般・帰国・思考力セミナー】
10月22日(土) 10:30~12:30
創立記念祭
【個別相談ブース】
11月2日(水)
11月3日(木・祝)
10:30~15:00
第4回学校説明会
【授業体験・入試過去問体験・思考力セミナー】
- 11月26日(土) 10:00~13:30
プレミアム説明会 - 12月6日(火) 10:30~12:00
第5回学校説明会
【入試過去問体験・思考力セミナー】
- 12月23日(金・祝) 10:00~15:00
第6回学校説明会
【思考力セミナー】
- 2017年1月14日(土) 10:30~12:30

※全て予約制です。公式サイトの専用バナーより、一か月前からの受付を開始いたします。
※説明会内容や時間などは、変更することがありますので、公式サイトをご確認ください。

編集部から見たポイント

日野田先生によると『クエストエデュケーションの始まる時期が、農村体験学習から帰って来た直後のタイミングだったのが、アイデア出しに功を奏した』そうです。その前年度からスタートしたプレゼンテーション型の授業「L.L.T.」での経験も、グランプリ受賞に大きく影響したことでしょう。
チーム「UDON」の4人の話を聞いて感じたのは、学校での勉強が実社会に活用されているのを、生徒たち自身が実感できているということでした。学んだことを目に見える形で実践できる授業は、お子さまたちにとって、大変学び甲斐があるのではないでしょうか。
ぜひ、そうした授業を実現できる学校風景や生徒の様子を、公開行事や学校説明会で確かめてみてください。