創造力を生み出す桐朋女子の鑑賞会

鑑賞会のようす

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感受性や発想力が豊かな学生時代、美術や音楽などの本格的な芸術活動を実際に見て、聞いて、感じることはとても重要です。創造力あふれる女性の育成を目指す桐朋女子中学校・高等学校(以下、桐朋女子)では、多彩な鑑賞会を行い、生徒は本物に触れる経験を重ねています。今回は伝統行事である鑑賞会を中心に、桐朋女子の心を豊かにする学びについて先生にうかがいます。

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鑑賞会を大切にする理由

インターエデュ(以下、エデュ):多様な鑑賞会を行っている理由を教えてください。

先生:心を養うためです。創造力豊かな人間には、豊かな心が欠かせません。そのために、できるだけ生徒には本物を見せて、刺激を受けてほしいと考えています。また、演技や演出を見るだけではなく、各会場への行程も大切にしています。劇場や寄席など、日常とは違う空間を訪れるところから体験は始まっているからです。

エデュ:具体的には、どんな鑑賞を?

先生:演劇では、劇団四季や宝塚歌劇団、こまつ座やわらび座、新国立劇場や世田谷パブリックシアターのプロデュース公演などの観劇。日本文化では、国立劇場主催の歌舞伎教室や、能楽堂での狂言教室、末廣亭・池袋演芸場での学校寄席があります。このほか、美術展や音楽公演、マジックショーやシルク・ドゥ・ソレイユの公演など、さまざまです。

桐朋学園 音楽部門によるBブロックオーケストラ鑑賞会
桐朋学園 音楽部門によるBブロックオーケストラ鑑賞会

エデュ:幅広いラインナップですね!

先生:そうですね。共通しているのは、質が高く、面白い演目であること。ただ、面白さは発達段階で異なるため、中学1・2年生には掛け値なしに面白いものを用意して、観る楽しさを知ってもらいます。そして、徐々に社会的な問題をテーマにした作品にも興味が持てるよう選別しています。

エデュ:鑑賞会を経て、生徒の成長を感じますか。

先生:鑑賞会への参加だけで、成長したり、心が豊かになるわけではありません。ただ、校内では体験できない活動の存在が、生徒にとって大きな刺激になり、感性が磨かれ、心の豊かさにつながることは大いにあると思います。

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心を豊かにする行事

エデュ:鑑賞会はいつから始まったのでしょうか。

先生:はっきり分かりませんが、私が勤め始めた36年前には既に行われていました。

2017年度 鑑賞会一覧

演目 学年
歌舞伎教室 高校1年生、高校2年生
音楽座ミュージカル「とってもゴースト」 中学1年生、中学3年生
スーパー歌舞伎「ワンピース」 中学2年生
Aコース:上野の美術館・博物館・動物園(2か所選択)巡り
Bコース:寄席(お江戸上野広小路亭)
高校1年生
Bブロックオーケストラ(桐朋音楽大学演奏会) 中学3年生、高校1年生
映画観賞会「ハローグッバイ」 高校2年生
フルートとギターとサンドアートのコラボコンサート 高校3年生
宝塚歌劇団「ポーの一族」 高校3年生
劇団四季「アラジン」 高校2年生
落語鑑賞会 中学3年生

エデュ:伝統ある行事なのですね。表を見ると、昨年度も生徒はさまざまな作品を鑑賞しています。余談ですが、これらの体験が生徒の進路を左右することはあるのでしょうか。

先生:文学座で演出をしていたり、早稲田大学に進学して劇団を立ち上げたりと、表現する分野に進んだ卒業生が多いことは確かですが、全て鑑賞会の影響というわけではないでしょう。というのも、クラブ活動や文化祭・体育祭など、桐朋女子は表現することに事欠かない学校のため、活動の全てが知らず知らずに表現する分野の進路へ結びついたとも考えられるのです。本校にはプレゼン能力に長けた生徒が多く、芸術系の道に進まずとも、卒業生は幅広い分野で活躍しています。

エデュ:体育祭では表現力を競う応援交歓が最も盛り上がりますよね。昨年度の連載でも、大きく取り上げました。

先生:体育祭は多くの生徒が活躍し、表現できる場です。選手の選考や練習指導、振付の創作など、さまざまな役どころが存在するため、体育祭を作り上げる過程でも表現力は育まれていきます。
一方、文化祭は表現が形を成して表れる場。かれこれ20年以上前から高校3年の全クラスは演劇発表を行っており、これには鑑賞会の影響を少なからず感じますね。

体育祭の応援交歓のようす(高3)
体育祭の応援交歓のようす(高校3年生)

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教室でも表現を

エデュ:桐朋女子では、発想力や表現力などの土台に「ことば」があると聞きました。

先生:はい。“ことばの力”を身につけた上で、さまざまな力をつけていきたいと考えており、DLP(デュアル・ランゲージ・プログラム)の中でも“ことばの力”の育成をしています。

エデュ:論理的思考力を身につける独自のプログラムですね。DLPで論理性や言語技術を養い、行事で表現力を磨くことで、コミュニケーション力を高める相乗効果が期待できそうです。

先生:普段の授業でも、書くこと・話すことで生徒が自身の思いを表現しています。本校では“考察”を重視しているため、実験をしたり映像を見たりすれば、その場で意見や感想、レポートを書かせることが日常の光景です。また、ディベートを授業に取り入れる教科が多く、毎回白熱した様相を呈していますよ。

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表現で世界が広がる

エデュ:生徒は日々の学習で表現の土台となる“ことばの力”を養う。そして、鑑賞会などの経験で感性が磨かれ、行事で表現を重ねることで、吸収したものを自身の表現で活かせるようになるんですね。こうした積み重ねは、生徒にどのような影響を与えると思いますか。

先生:表現できることは、世界が広がることだと思います。生徒が自分自身を表現するだけでなく、周りの人たちの表現を受け止める力を持つことで、より豊かな人生を送れるのではないでしょうか。

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編集者から見たポイント

知性や教養を娘に身につけさせたいと考えるお母さまは多いことでしょう。桐朋女子では、そうした経験の機会を数多く設け、さらに得たものを消化して活かすサイクルができあがっていました。興味のある方は、文化祭などの公開行事で、生徒たちの表現を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

これからのイベント

中学校

イベント名 日程 時間 備考
学校説明会 6月9日(土) 14:00~16:00 要予約
校内見学あり
ナイト説明会 6月29日(金) 19:00~20:00 要予約
オープンキャンパス 7月16日(月・祝) 9:30~ 要予約
校内見学あり

高等学校

イベント名 日程 時間 備考
ナイト説明会 6月29日(金) 19:00~ 要予約
学校説明会 7月16日(月・祝) 13:30~ 要予約
校内見学あり

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