第18回 小学生の教養を高め、学力を伸ばす図鑑“世界遺産”:エデュママブック

エデュママブック
2016年1月8日

第18回 小学生の教養を高め、学力を伸ばす図鑑“世界遺産”

inter-edu’s eye
子どもの“知りたい”を育んでいけば、知識も考える力も自然と身についていきます。そんな学力の土台作りに最適なのが“世界遺産”。豊富な写真と図解で解説する“世界遺産”の図鑑が登場!

子どもが学べ、大人も楽しめる!

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2016年最初の回は、お子さまの学力の土台を作るのに最適な児童書の紹介をしたいと思います。

昨年11月、とてもユニークな『キッズペディア 世界遺産』が刊行されました。国内外の世界遺産約160件を掲載。中でも日本の世界遺産は、現時点で登録されている19件すべてと日本がユネスコ世界遺産センターに提出した「暫定リスト」に掲載されている世界遺産候補がすべて載っています。海外の世界遺産では、「エジプトのピラミッド」「イースター島のモアイ像」「ナスカの地上絵」など、子どもが目や耳にする機会が多く、写真を見てびっくり、解説記事を読んでまたびっくり!といったものを選んで掲載されています。

表紙を見ると、「子どもが学べ、大人も楽しめる!」と帯に書いてありました。「えっ大人も?」とめくりはじめたのですが、一番目の法隆寺、二番目の姫路城と、三番目の屋久島と、どんどん引き込まれていってしまいました。短い説明文にたくさんの写真やイラスト・図解で、どうして世界遺産になったのか、どこがすごいのかなど、子どもが興味を持ちそうなことがいっぱい詰まっています。大人としても知っているつもりが実は知らなかったことがたくさんあって、こういう本がないと、子どもにきちんと説明できないなあと実感しました。それに大人でも読み方がわからない固有名詞にルビがふってあるのは、とてもありがたいですね。

教科単元の枠を超えた強い知識が身につく

ページをめくるうちに、この図鑑のユニークな点に気がつきました。一言で言えば、教科横断的であるということ。世界遺産に文化遺産と自然遺産、さらに両方を合わせた複合遺産の3種類があるからでもありますが、ひとつの世界遺産でも、理系の話、文系の話、さまざまな情報が詰まっているのです。この本を編集した高成 浩さんに編集の意図をうかがいました。

「見開き1テーマで写真やイラストをふんだんに使って、子どもたちの疑問や興味に応えようというのが、学習ビジュアル百科〈キッズペディア〉シリーズの趣旨です。図鑑とはひと味違う「学習ビジュアル百科」と呼んでいます。目の前の成績に直結するのではなく、学力の土台となる“教養”を高める手助けとなる本にしたいと、スタッフ一同がんばってつくっています。
世界遺産は、一国の枠を超えて人類全体の歴史にとって大事だと認められた『人類全体の宝もの』です。2013年に登録された「富岡製糸場と絹産業遺産群」や、2015年の『明治日本の産業革命遺産』など、一見地味で、どこがどう『人類全体の宝もの』なのか、子どもにはよくわかりませんよね。そこで子どもが関心を持ちそうな写真やイラストで、ていねいに解説しました。富岡製糸場は、20世紀初めに日本が生糸の輸出量世界一となり、世界の絹産業を支えることとなった“はじまりの地”。『明治日本の産業革命遺産』で登録された構成資産は、産業革命が欧米以外の場所で初めて成功した“証拠”です。こういう知識こそ、理科、社会といった教科単元の枠を超えた強い知識となって、子どもの中に根づくものだと思います」

現在、日本では26都道府県になんらかの世界遺産の構成資産があり、それを郷土の歴史や風土を学ぶきっかけに活用している自治体も多いそうです。またこの本にあるように、今後も有力な世界遺産候補が続きます。
自分の住むまちのそばに、世界遺産という『人類全体の宝もの』が存在し、そこから郷土に興味をいだき、さらに世界へと広がっていく……そんな知的好奇心を育む素材として、謎と不思議の魅力にあふれた世界遺産は最適だと思います」と高成さん。確かにテストに出るから覚えなくちゃというより、こんなにすごいんだ、というほうがずっと頭に残ります!

世界遺産の謎が学習能力を高めてくれる

『キッズペディア 世界遺産』を購入して娘に買い与えたという図鑑好きのパパは、こんな話をしてくれました。

「子どもは皆、“知りたい”という気持ちを持っています。成長するにつれ、何に役立つの?などと思い始めますが、最初はそうじゃない。“知りたい”だけです。その“知りたい”に答えてくれる、いちばんのツールが図鑑なんですよ。私自身、昆虫や動物の図鑑で育ち、大人になってからも仕事に役立っています。ただ娘は理系はあまり好きじゃないので、どうしようかと思っていたのですが、この図鑑なら見ているうちに、自分が何に関心があるかもわかってくるだろうと購入しました。5年で塾に通って忙しくしているので、勉強の合間に見てごらんと言って渡したら、この図鑑ばかり見ていて、妻に怒られちゃいましたよ。でも、それでいいんです。絶対に後で役に立っていることがわかるんだから。私自身が証明ですから

なるほど、図鑑は、子どもの“知りたい”に答えることで知的好奇心を育み、そこから知識を増やし深めていく武器になるんですね。そういえば高成さんも、こんな話をしてくれました。

「文化遺産は人類の歴史200万年の記録、自然遺産は地球の歴史46億年の記録、複合遺産はその融合です。“なぜこんな不思議なものが存在するのか?”と興味をもち、その理由を知ることは、記述式が増えてきた中学受験にも役に立ちそうです。でも、それ以上に中学高校と成長して、学習が高度になっていくたびにその知識を深め、学力や教養を高める力になってくれると思います。たとえば、“○世紀ごろに栄えた文明や国家”、“地球の活動によってできた複雑な地形”など、世界遺産がその“実例”として何度も登場することはまちがいありませんので」

日本と世界の世界遺産をめぐるたくさんの謎が詰まった『キッズペディア 世界遺産』、ジャンルが多岐に渡るので大学教授や学者の監修者だけでも34名、協力者に至っては小さい文字で見開きいっぱいにクレジットされている力作です。ぜひリビングに置いて、親子揃って、いろんなページをめくってください。

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キッズペディア 世界遺産
小学館編、本体3,600円+税
世界遺産の謎と不思議にせまる! 豊富な写真やイラストを駆使して見開き1テーマで、子どもたちの持つさまざまな疑問や興味についてわかりやすく解説する〈キッズペディア〉シリーズの最新刊。日本の世界遺産は、現在登録されている19件すべてを紹介し、さらに暫定リストに記載されている近い将来の世界遺産候補についても紹介。海外の世界遺産は、「ピラミッドとスフィンクス」「モアイ像」「ナスカの地上絵」「万里の長城」「パルテノン神殿」「自由の女神像」「ガラパゴス島の生きもの」など、子どもたちでも名前を聞く機会があり関心が高いものを厳選して紹介。現代の「世界七不思議」と呼べるような、謎だらけの遺跡や見たこともない自然の風景などについての写真や解説が満載です。ただビックリするだけでなく、歴史や自然環境について学んだり、もっと深く知りたいと思うきっかけにもなることでしょう。 …購入はこちらから

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