ぐんぐん伸びる子は何が違う?東大生はどこが違う?

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伸びる子は何が違うのか、東大生はどこが違うのか? これを知ってわが子の学習サポートをするための「いい先生」が見つかりました。塾で子どもたちを指導しながら講演やセミナーでも活躍している石田勝紀さんの新刊です。学力をぐんぐん伸ばす家庭生活の秘訣、東大生のエッセンスを取り入れる方法などアドバイス満載です。

◆「ぐんぐん伸びる子は家庭で作られる」とは?

ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?,石田勝紀

『ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?』――教育に悩む親にとって、まさに“そこが知りたい!”というタイトルの新刊が発売されました。副題が、「心が強く、頭が良い子に育つ実践的ノウハウ」、帯には「著者が30年かけて導き出した鉄板のエッセンスを公開、子育て・教育の悩むをスッキリ解消」と書いてあります。

いったい著者はどんな方かと、まえがきやプロフィールを見ると、長年「緑進学院」という塾で子どもたちを教え、今は東大大学院の博士課程で教育学の研究をしながら、さまざまなセミナーや講演で大活躍されている石田勝紀さん。最近の著書では、『勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう!』がベストセラーになっているので、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。

続いて目次を見てみると、ここにも、“そこが知りたい!”と思わせるフレーズがたくさんありました。本文はPart1からPart5の5つに分かれています。各Partタイトルと特に気になった小見出しを抜き出してみると、こんな具合です。

Part1 ぐんぐん伸びる子は家庭で作られる
 ・残念な子に共通する習慣
 ・東大生から分かった共通する特徴(他に2項目)
Part2 自立できる子にする方法
 ・できる子は「目標のおき方」が違っている
 ・目標達成へまっしぐらに進める子の秘密(他に3項目)
Part3 心を強い子にする方法
 ・心の“癖”が学力向上に大きな影響を与えている
 ・親の言葉遣いが、子どもの成績を決めている(他に3項目)
Part4 “頭”の良い子にする方法
 ・算数が苦手な子は、「3つの誤り」を犯している
 ・「国語」ができれば全ての科目に波及する(他に3項目)
Part5 子育て・教育でよくある相談
 ・勉強しても結果が出ない「3つの傾向」
 ・子どもの集中力は、こうやって作り出せる!(他に4項目)


いかがですか? 詳しく知りたいと思わせることばかりですよね。

◆東大生に共通する特徴とは?

本書は、2015年から東洋経済オンラインで連載されて大人気コンテンツになっている、同名の連載記事をベースに編集されたものです。この連載は読者の相談に回答する構成になっており、本書もPart2以降は、相談への回答形式でさまざまなアドバイスが展開していきます。おかげでとても読みやすいのですが、本書の最大のおすすめポイントは別のところにあります。著者がまえがきに書いているように、“体系的に子育て・教育方法を把握”できるように構成されているのです。

その意味でもっとも大事なのは、Part1でしょう。著者の長年の指導経験から分かった「残念な子に共通する習慣」から始まり、「心」「身(からだ)」「頭」の3つの柱から成り立つ「学びの法則」、さらに東大生に共通する特徴をあげて、これからの子どものための「学びの方程式」を導き出しています。

「残念な子に共通する習慣」とは、あいさつをしない、時間を守らないなどの「生活習慣」、暗記型の勉強が正しいと思っているなどの「勉強法」、マイナスの言葉を連発するなどの「心の使い方」。それぞれ3個ずつ計9ポイントが挙がっているので、お子さまにひとつでもあてはまる習慣があったら、ぜひ本書を最後まで読んでいただきたいと思います。

また東大大学院で出会った多くの東大生に共通する特徴として、著者は「記憶力がいい」「ボキャブラリーが豊富」「論理的につなげることが上手」の3つをあげています。そのうえで、以下のように語ります。

・彼らは日常の生活習慣に、学びの力を向上させるエッセンスが入っているということなのです。
・東大とは特別な才能を与えられた特別な人間しか行けない大学ではないということです。あえて言ってしまえば、「知を楽しむ」「考えることを楽しむ」習慣を持っている人たちの集まりといっていいでしょう。
(P28~P29から太字部分を引用)

そしてPart1の最後には、下のような式がありました。

「20世紀型教育の利点」+「21世紀型教育」+「東大生のエッセンス」=「学びの法則」


「20世紀型教育」とは、詰め込み型の偏差値主導の教育。著者は、それを否定するのではなくその利点を理解して、そこに「21世紀型教育」をプラスしようと言います。「21世紀型の教育」とは、「知識を使いこなす教育」であり、「どこでもいつでも生き抜いていけるための教育」とのことです。そしてさらに「東大生のエッセンス」を加えれば、ぐんぐん伸びる子が育つ!というわけです。そして具体的な処方箋は、Part2からPart5にのっています。

このPart1、本当に“なるほど納得”な内容でした。教育改革が始まるから、これまでのやり方ではダメ!と言われて、でもどうしたらいいかわからないと迷っていた方も、この方向性なら迷いを解消できるでしょう。加えて、学力の伸びが生活習慣や心のあり方と深い関係にあることは、わかっているようでわかっていない盲点でもありました。その関係性がとてもわかりやすく指摘してあるので、Part2からのアドバイスもしっかり理解できたのだと思います。

◆心の“癖”をなおして学力向上!

Part2以降で特筆しておきたいのは、Part3の「心を強い子にする方法」です。これは他のアドバイス書にはあまり見られない内容だと思います。「心の“癖”が学力向上に大きな影響を与えている」とは、自分で限界を作っていたり、マイナス思考になっていたりすることです。

心の“癖”は、生活の中で培われていくので親の影響大! 家庭内で何気なく語られる言葉が、子どもにマイナスの暗示を与えると指摘され、ハッとさせられてしまいました。でも大丈夫、「勉強しなさい」と言いそうになったときには、「やるべきことをやりなさい」と言い換えるなど、それぞれに具体的なアドバイスもあります。

最後まで読んで、頭の中がスッキリした感覚です。毎日襲ってくるさまざまな悩みや迷いが整理され、優先順位がついたような感じ。最初は“体系的に子育て・教育方法を把握”という言葉に少しひるんだのですが、読み終わった時、自分なりにではありますが体系的な理解ができたと思います。まるで、教えるのが上手な先生に出会った印象。きっと本書は、子どもの教育に悩む親にとっての「いい先生」なのでしょう。ご一読をおすすめします。

ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?

ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
 -心が強く、頭が良い子に育つ実践的ノウハウ-
石田勝紀著、学研プラス刊、1300円+税

東洋経済オンラインで累計3000万PVを超える大人気連載を持つ著者・石田勝紀氏が、子どもの教育に悩む親へ送るアドバイス集です。連載記事を中心に親の悩みの多い項目をリストアップし、また新たな書きおろしを加えて、極めてわかりやすく学力アップの実践方法を紹介しています。講演会やママカフェ(少人数の勉強会)で全国を飛び回っている石田氏のもとには、たくさんの質問や悩みが寄せられていますが、その多くには共通点があり、そうした親御さんからの質問に石田氏が答えるQ&A形式をベースにして、「自立できる子にする方法」「心を強い子にする方法」「〝頭″に良い子にする方法」「子育て・教育でよくある相談」という章立てで、子育て・教育の悩みをスッキリ解消していきます。…購入はこちらから

藤原智美

著者の石田勝紀(いしだ かつのり)さん
20歳で起業し、学習塾「緑進学院」を創業。34歳で120年の歴史を持つ東京の伝統的マンモス私立中高の常務理事として経営改革、教育改革を行う。42歳で「教育学」を基本から学ぶため東京大学大学院(修士・博士)へ。現在は執筆(東洋経済オンライン連載、著書)、講演、ママカフェを通じて教育活動を行う。著著『勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう! 』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『30日間で身につく「地頭」が育つ5つの習慣』(KADOKAWA)他。公式サイトはこちら


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