「ゆるやかに無理をさせる」中学受験で真の学力を身につける

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「5歳から始める最高の中学受験」というタイトルを見てギョッとした人は多いでしょう。

「小学校に入学もしていない5歳のうちから中学受験対策をしなければいけないの?」
「もう小学生になってしまったうちの子は中学受験に間に合わないの?」

このような不安を抱くのも仕方のないことだと思います。

しかし、「5歳から始める最高の中学受験」の著者である小川大介さんは、5歳になったら中学受験対策のために早期教育を行うべきだと主張しているわけではありません。子どもが必要以上にストレスを感じず、スムーズに中学受験を乗り越えられるよう、早いうちから「ゆるやかに無理をさせる」ことを提唱しているのです。

長年にわたって中学受験に携わり、自身の一人息子も灘中、開成中、筑場大学附属駒場中といった3つの難関中学に合格させたという実績を持つ小川さんが語る言葉は、どれも説得力があり、納得のいくものばかり。

まだ保育園や幼稚園に通っているお子さんを抱えていて、将来わが子に中学受験をさせたいと考えている人はもちろんのこと、中学受験がいよいよ迫ってきた小学生のお子さんを持つ人、お子さんに中学受験をさせる予定はないという人も小川さんの言葉にハッとさせられることでしょう。

中学受験をスムーズに乗り越えるための「子育て術」

「5歳から始める最高の中学受験」は、タイトルを見ればおわかりいただけるように、平たく言えば中学受験の指南書です。

しかし、よくある中学受験の指南書とは一味違います。
なぜなら、中学受験のエキスパートとして名高い小川大介さんの経験知がぎっしり詰まった1冊だからです。
小川さんは「5歳から始める最高の中学受験」の「はじめに」で、次のように述べています。

「6000以上のご家庭の個別学習面談を重ねることで得た膨大なケーススタディと、個別指導塾SS-1を創設して子どものタイプ別指導法を開発してきた経験と、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員として塾の効果的な活用法を研究してきた成果と、さらにはコーチングや心理学、子どもの発達心理や脳科学の知識を駆使して考え出した子育て術であり、受験学力の育て方です。」

「5歳から始める最高の中学受験」で語られるのは、膨大な実績と知識に裏打ちされたものであり、どちらか一方に偏っているアンバランスなものではないということがうかがえるでしょう。

また、中でもとくに注目してほしいのは、「子育て術」という言葉です。

小川さんは自身のブログで以下のように言明しています。

もともと不自然である今の中学受験とうまく付き合っていくには、幼いときから塾と同じようなメニューを勉強させるのではなく、4年生になってからいきなり頑張るのでもなく、お子さんが小さいとき(5歳くらいが理想です)から徐々に中学受験の勉強を進めていく上で必要な土台を家庭で作っておこうね、そしたら本格的に受験の勉強が始まっても慌てることもないし、わが家のペースで進められますよ、ということを伝えたかったのです。

「5歳から始める最高の中学受験」は、小学生には荷が重い中学受験をスムーズに乗り越えるために必要な土台、言い換えるならば、習慣を5歳くらいの小さなうちから身につけさせていくための「子育て術」の指南書なのです。

基本方針は「ゆるやかに無理をさせる」こと

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小川さんは「5歳から始める最高の中学受験」の「はじめに」で基本方針は「ゆるやかに無理をさせること」と言明しています。

無理をさせることは子どもにとって大変な負担となり、親としても心苦しいことでしょう。
しかし、それがとてもゆるやかなもので、子ども自身が苦しいと思わない程度の無理であれば、たとえるならば、筋トレのような心地よい無理であればどうでしょうか。

親子ともども楽しくレベルアップしていくことができ、たとえつまずいたとしても、慌てることなく何度でも軌道修正ができると小川さんは述べています。

小川さんが語る「ゆるやかに無理をさせること」の中でもとくに印象的だったのは、勉強を勉強と思わせない、勉強を遊びと区別しないアプローチです。
たとえば、数の力を伸ばしたいと思ったとき、ドリルをポンと渡すのではなく、クイズのように出題し、当たればすかさず「ピンポーン!正解」、外れれば「ブーッ!残念」と言います。

正解すればすぐに褒め、不正解であればすぐに悔しさを煽る。

すなわち、素早くフィードバックすることで、子どもは勉強をしているという自覚を持たずとも、楽しく学ぶことができ、このようなアプローチを繰り返しつつ、少しずつ量を増やし、難易度を上げていけば、ゆくゆくは中学受験をスムーズに乗り越える力を身につけられると小川さんは語っています。

「5歳から始める最高の中学受験」には、このほかにも読めばすぐに実践できる「ゆるやかに無理をさせる」子育て術が多数紹介されています。子どもの力を最大限引き出すための具体策を知りたいと考える人にとって、「5歳から始める最高の中学受験」はまさに救いの手となることでしょう。

中学受験を目前にひかえている家庭でも活かせる知恵が盛りだくさん

「5歳から始める最高の中学受験」というタイトルを見て、未就学児向けの本と思う人は多いでしょう。

しかし、「5歳から始める最高の中学受験」は中学受験を目前にひかえているお子さんをお持ちの人にもぜひ手に取ってほしい1冊です。

なぜなら、「5歳から始める最高の中学受験」の内容の実に半分以上が、今現在中学受験で悩む親御さんの悩みを解決するための方策の紹介となっているからです。

その具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

・わが子にぴったりな学習方法の見つけ方
・子どもの「わからない」をサポートする方法
・効果的なアドバイスをもらうための塾への質問の仕方
・勉強をしたがらないときのアプローチの仕方
・家では勉強に集中できない子どもへの対処法


いかがでしょうか。

「中学受験目前のうちの子の悩みも解決できるかも!」と思った人は多いでしょう。

このように、「5歳から始める最高の中学受験」は未就学児から今まさに中学受験に取り組んでいるご家庭まで、すぐにでも実践できる内容が盛りだくさんです。

順に読み進めなくても、目次を見て、気になる項目から読んでいき、できそうなことからひとつずつ実践してみるという活用法もおすすめですよ。

「親の関わり方」と「夫婦の価値観のすり合わせ」が子どもを伸ばす

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小川先生は中学受験について「親がサポートせずうまくいくケースはたった3%」であると述べ、「親の関わり方」の重要性を繰り返し訴えています。

しかし、中でも注目すべきは、親から子への関わり方のみならず、「夫婦の価値観のすり合わせ」にも言及していることでしょう。小川先生は何よりもまず、早いうちから夫婦で教育に対する価値観を軽くでもよいから共有すべきだと述べています。そうすることで、家族一丸となって中学受験に取り組めるというのです。

しかし、小川先生が語る「親の関わり方」や「夫婦の価値観のすり合わせ」は、中学受験にのみ有効なことではありません。中学受験のその先の将来、わが子が自らの人生を切り拓いていける力を身につけるためにも必要となることです。また、もし中学受験をせずに公立中学に進むとしても、小川さんが語る「親の関わり方」を実践していけば、子どもの学力は間違いなく伸びます。

中学受験に必要な力を知ることは、中学受験をしない子を持つ人にとっても大切なことなのです。中学受験をする予定がなくても、わが子の力を伸ばしたいと考えている人はぜひ、「5歳から始める最高の中学受験」を手に取ってみてください。読後はきっと、自信を持って子育てに取り組むことができるようになることでしょう。

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5歳から始める最高の中学受験
小川大介著、青春出版刊、1500円+税
中学受験の準備を始めるのは、早いに越したことはありません。
ただ、中学受験の成功に必要なのは早期学習や先取り教育ではなく、“学力のベース “が大きくなるような親の働きかけです。
もともと中学受験とは、子どもの成長にとって「不自然」さをもったものです。
その不自然な世界と付き合うのに小学校4年生になってから、急に無理をさせるのか。
それとも幼少期からうまく準備を整えて、子ども自身の成長を促すことで「ゆるやか に無理をさせる」のか。筆者は断然後者をオススメすると話します。
「遊びと勉強を線引きしない」「やる気のない子どもなどいない」「紙と鉛筆だけで子どもが賢くなる遊び方」など、これまで中学受験指導で多くの子どもを難関校に合格させてきた著者が、効果的かつ具体的な方法を伝授します。

小川大介(おがわ だいすけ)さん
教育専門家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。1973年生まれ。
京都大学法学部卒業。学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍後、中学受験専門のプロ個別指導塾SS-1を設立。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。同時期に中学受験情報局「かしこい塾の使い方」の創設にも参画し、情報発信を開始。受験学習はもとより、幼児期からの子どもの能力の伸ばし方や親子関係の築き方に関するアドバイスに定評があり、各メディアで活躍中。そのノウハウは自らの子育てにも活かされ、一人息子は中学受験で灘、開成、筑駒すべてに合格。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)など著書多数。


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