麻布OBたちが赤裸々に語る名門・麻布の実態

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インターエデュでもおなじみの、教育ジャーナリスト・おおたとしまささんの新著『麻布という不治の病』には、各界で異彩を放つ名門・麻布の卒業生へのインタビューが満載。わが子の将来を考えながら学校選びに悩んでいる方に、ガイド本とはまったく違う、より深い、新たな考え方を提供してくれます。

麻布という学校を内側から知りたい!

中学受験のことを誰よりもよく知っている教育ジャーナリストのおおたとしまささんが、スリリングな新書を上梓されました。書名は、『麻布という不治の病 ―めんどくさい超進学校―』。少々不穏なタイトルですが、そこは「自由な学校」の代名詞である麻布のこと。制服も校則もないにもかかわらず、東大合格のトップ10を一度も外れたことがないこの超進学校のことは、多くの方がある程度は知っておられることでしょう。

そんな麻布の実態をより深く知りたい、うちの子に向いているかどうか判断したいといった関心を持つ方にとって、本書はとても有意義な本だと思います。最後まで読めば、麻布を志望校にするかしないか、いや正確に言えば、わが子の志望校にしたいかどうか、あなたご自身の気持ちは明確になってくると思います。

とはいえ、本書は中学受験のための麻布ガイド本とは、まったく違います。むしろ、反ガイド本といったほうがいいかもしれません。実は、本書の「はじめに」の文頭には、「麻布病【あざぶびょう】」の説明として、「重度の中二病による後遺症の一種。罹患者の多くには以下の点が共通している。・特長:根拠なき自信、・特技:屁理屈と帳尻合わせ、・チャームポイント:詰めの甘さ。」と書いてあります。さらに、[本書取り扱い上の注意]として、こんなことも書かれているのです。

※本書自体が麻布病の権化(ごんげ)です。あまり真面目に読むと目眩(めまい)や頭痛が生じる怖れがあるのでご注意ください。
※麻布に入れるつもりがあるのならお子さんには読ませないでください。事前には知らないほうがいいことがたくさん書かれています。冗談じゃなく、本気で。
(以下略)

この著者からのメッセージを読んで、より強く惹かれた方には、ある種の覚悟を持って本書を熟読していただきたいと思います。一見衝撃的であり赤裸々でもある本書ですが、それにも増して、内容はとても深いのです。麻布という学校を知るということをはるかに越えて、今、私たちが、大人として親として考えるべきことは何なのか、何をすべきで何をすべきでないのかといった、さまざまな問いかけを内包しているのが本書なのです。

麻布OBの卒業後がわかる!

本書は、序章と終章を含む11の章と、4つの付録で構成されています。主な章は、麻布OBへのインタビューです。第1章が政治家の谷垣禎一氏、第2章が心臓外科医の亀田隆明氏、第3章が元文科事務次官の前川喜平氏、第4章が国際弁護士の湯浅卓氏、第5章が社会学者の宮台真司氏と続き、最後の第9章が1985年生まれの東大卒のプロゲーマーのときど氏と、年齢順に掲載されています。

こうした方々が、麻布の生徒だったとき、どんなことをしたか・考えていたか、麻布を卒業してからどんな人生を歩んできたかがわかるだけでも、男の子の未来を想像するのにとても役に立つと思いました。はっきり言って、ひとりとして順風満帆な方はいません。麻布から東大にすんなり入って、端からみたら輝かしいエリートに見える人でも、その道程は決してスムーズなものではありません。逆境の中で、麻布生だったことがどんな影響を及ぼしたかも、それぞれに違います。

4つの付録には、麻布の創立者・江原素六の逸話、70年代初頭の高校紛争で生徒側の全面勝利を体験した当事者であるOBへのインタビュー、現役麻布生2名との座談会なども掲載され、先の9章とあわせて、麻布という横軸でつながるこの国の流れをも感じ取ることができました。それに忘れてはいけないのが、著者のおおたさん自身が麻布OBであるということ。著者の麻布体験も各所に描かれており、「あとがきにかえて」にあるエピソードなど、もうこれだけでも読んでよかったと思わせるものでした。


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