第2回 世界のエリートが実践している英語勉強法をわが子に:エデュママブック

エデュママブック
2015年5月8日

第2回 世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法

inter-edu’s eye
米国でも日本の留学生は英語が苦手…。10年勉強してもうまくならない日本の英語教育に危機感を抱いて帰国、子どもたちのための英語塾を開いた、元イェール大学助教授の英語習得法の決定版!

わが子の英語にお悩みの方におすすめ!

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法,斉藤淳

エデュママの間でも、とても関心が高い英語教育。英語教材・英語塾の宣伝は昔も今も花盛りなのに、英語苦手国ニッポンの汚名返上は一向に進まない。他方、社会のグローバル化は急速に進行。これでは、どうやってわが子に英語を学ばせようかと悩む親御さんが多いのも当然のこと。

さて、そんな現状に突破口を与えてくれそうな本がありました。題して『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』。実は、この本、ひとりのエデュママが教えてくれました。

「うちの子、小学校の英語の授業は嫌いだったし、中学受験には英語がなかったから、晴れて中学に入学した時点では、アルファベットもまともに書けない状態でした。それが心配で、この本を読んでみて、これは!と思ったのです。それで、この著者の先生が教えている英語塾に行ってみました。あれから1年、週1回の授業にはいやがらずに通っているし、宿題もちゃんとやっていて、学校の成績もまあまあ。英語を嫌っているようすもないので、このまま続ければうまくいくかなあと思っています」

そこで、早速読んでみました。そして読了後、“学生時代にこの本があったら、英語に苦手意識を持ったままこの歳になることもなかっただろうに…”と思ってしまいました。英語の勉強法が、とてもわかりやすく実践的に書いてある本です。お子さまが中学生なら十分読めるでしょう。もちろん英語の勉強をやり直したい大人が読んでも、とてもためになる本です。

「発音」「単語」「文法」の勉強法がわかる!

著者は、元・米国イェール大学助教授にして、現在は『J Prep斉藤塾』という英語塾の代表をなさっている斉藤淳さん。イェール大学といえば、米国でハーバード、プリンストンと並ぶ名門中の名門。そこに大学院生から助教授まで10年間在籍していた斉藤さんは、“3年で流ちょうに会話できるレベルになる”イェール大学の語学教育を知り、何年勉強しても英語が身につかない日本の現状を変革しようと、助教授の地位を捨てて日本に帰国、子どもたちのための英語塾をはじめた方です。

本書では、まずイェール大学の語学教育(英語だけでなく、母語以外の外国語を学ぶ教育)がどんなものかを紹介しています。読んでいくうちに、世界の非ネイティブエリート、つまりイェール大学に学ぶ大学生が、どのように勉強して、会話だけでなく自分の専門分野の学術書を読んだり、論文が書けるようになるのかが、なんとなくイメージできるようになってきます。

次いで、「発音」「単語」「文法」について、それぞれ1章が割り当てられて詳しくアドバイスしてあります。もちろん読者はイェール大学で学ぶのではありませんから、日本人が日本で学ぶ場合の勉強法が書いてあります。そして、章末にはおすすめ教材の紹介も。

本文中には、「英語の音を意識的に区別できなければ、聴き取る力が育たない」「日本語の単語一語が、英語の単語一語と1対1で対応しているわけではない」「文法、読解、記述、聴解、会話という5つの英語学習の中で、最初にやるべきは文法」など、貴重なメッセージが目白押しです。目次にある小見出しを、以下、いくつか紹介しておきます。これを読むだけでも、どういうことかな?と読んでみたくなるでしょう。

・頭を使うだけでなく、全身でダイレクトに学ぶ
・「動画」で学んだ知識は、使いやすく、忘れにくい
・正しい発音はネイティブから学べない
・発音記号を知ると、発音がよくなる
・単語には「意味」ではなく、「絵」を結びつけるべき
・前置詞は、「日本語の意味」を覚えてはいけない
・遣えるボキャブラリーは、「単語帳」では増えない
・日本人には有利な「短期集中」型の文法復習
・イェールの学生もやっている「文法の丸暗記」とは?
・エリートの反射神経も、「パターン」と「メモ」から成り立つ
・「書き方」を知っている人は、「読む」のが圧倒的に速い
・「英語のため」ではなく、「自分のため」に英文を読む  ……etc.

幼児英語教育の落とし穴&英語学習でもっとも大事なこと

著者の斉藤さんご本人に、わが子の英語学習について悩むエデュママへのアドバイスをうかがいました。まず、小学生以下のお子さまの場合――
「母語だって、小さいうちは文法なんてわかりませんよね。大人に直されながら学んでいくものです。ですから小さいうちは、英語の音を聴き取って再生する能力を培うのがいいでしょう。幼児英語教室などで、カタカナ英語の発音を身につけてしまったお子さまがおられますが、そうなると直すのが難しいのです。ですから、日本語との音の違いについての意識を高めるようにしむける。たとえば1~20までの数を英語で正しく発音できるようになるというようなことが大切です。ただし、ネイティブの先生がいるからといって上達が早まるわけではありません。それに小さいうちから習わせないとダメということもありませんよ。無理してやらせる必要はないと思います」

続いて、中学生以上の場合――
「中学受験向けの塾の勉強法が身に付いたお子さんを見ると、受験の勉強法は、英語の勉強にはあっていないように思います。受験勉強を経てきたお子さんは、まずは正しい発音から入ったらいいでしょうね。反対に帰国子女や幼児教室で英会話を学んできたお子さんは、自分が英語をよく知っていると勘違いして、文法に拒絶反応を示したりしますが、これも大きな間違いです。文法はネイティブだって学び直しているのですから。

また東大に受かるためとか、TOEICで〇〇点以上をとるためなど、テストに受かるための勉強法だと、逆にテストに受からないのではないかという気がしています。この本にも書きましたが、英語学習は修行になってはいけないのです。楽しみながら学ぶことです。学習の成果で英語の映画が聴き取れた、英語の本が読めた、会話ができたといった喜びが、もっと学ぼうという気持ちにつながってさらに学習が進み、そのおかげで自分の行動範囲が広がるといった感じです。そんな流れの中になんらかのテストがあれば、当然受かります。ですから、英語が“面白い!”と思えたらしめたものですね。

お子さまは何かの機会に英語に関心を抱き、学んでみたいと思うものです。親御さんにはそんなチャンスをブロックしないでほしいと思います。また親御さんがやってきたやり方を、お子さんに押しつけないでほしいとも思います。一人ひとり興味関心は違いますから、ある子にうまくいったことが、ほかの子でうまくいくとは限りません。親は、“待つ”ことが大事なのですよね。まあ、そうはいっても、これがとても難しいのですが(笑)」

英語の勉強法でもっとも大事なのは、学びたいという意欲。本書には、それをうまく弾き出す秘訣が詰まっています。まずはご自身で手にとってみてください。“私ももう一度、勉強しなおそう”と思っちゃうかもしれません。そうなれば、お子さまにもとてもいい影響があること請け合いです!

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世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法
斉藤 淳著、KADOKAWA、本体1400円+税
日本人留学生は、他国の留学生に比べて圧倒的に英語ができない…当時、イェール大学で教鞭を取っていた著者は、このことに危機感を募らせた。ほとんどの日本人は学校教育を通じて「誤った方法」で英語を学び、そのために「自分は英語ができない」「外国語が苦手だ」と思い込んでいる。それに対してイェール大学に集うエリート学生たちは、「世界標準」にして「最も効率的な語学習得法」によって、1年間の勉強でかなりの水準の語学力を獲得している。こうした現実と著者自身が実践してきた英語学習法をベースに、英語が上達しないのは勉強法が間違っているからだという根本に立ち返り、「見て」「実践」することで、英語の上達を促す「使える英語」の最短ルートを紹介。…購入はこちらから

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著者の斉藤 淳さん
英語塾『J Prep斉藤塾』代表。元イェール大学助教授。元衆議院議員。1969年山形県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業、イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D.政治学)。ウェズリアン大学客員助教授、フランクリン・マーシャル大学助教授を経て、イェール大学助教授、高麗大学客員教授などを歴任。2012年、アメリカより帰国し、東京・自由が丘にて中学・高校生向けの英語塾を起業。「自由に生きるための学問」を理念に、第二言語習得法の知見を最大限に活かした効率的なカリキュラムで、生徒たちの英語力を高め続けている。研究者としての専門分野は、日本政治・比較政治経済学。主著『自民党長期政権の政治経済学』により、第54回日経・経済図書文化省などを受賞。

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