8月のテーマ「体験学習と受験勉強【後編】」

inter-edu’s eye
今回は、前週に引き続き和田みゆき先生、たなかみなこ先生に「体験学習と受験勉強」というテーマで、ご自身の経験に基づくアドバイスをうかがいました。勉強時間を削る体験学習から得るものとは?

和田 みゆき先生暗記学習よりも優れた記憶方法
和田 みゆき先生

受験勉強には丸暗記よりもエピソード記憶

夏休みの過ごし方4

みなさま、こんにちは。「才能開花で目標達成」をテーマに、子育てアドバイスをしている家庭教育家の和田みゆきです。

先週に続き、今週も我が家での体験学習と受験についてお届けします。

受験期の我が家は、本物体験と言われる自然体験や職業体験、科学実験などの五感に響く体験学習を大切にしていました。理由は体験学習は、心を動かす学習なので、生まれ持った子どもの感性を伸ばすと同時に、体験がエピソード記憶となり簡単に記憶できるからです。

私がエピソード記憶を知ったのは、脳科学者の池谷裕二先生のご著書『記憶力を強くする』の中の、記憶のシステムは5段階の階層からなり、記憶法は年齢により変わることを読んだときでした。

その本によると優位な記憶法は変わるそうで、幼児期は意味のない文字や絵や音などの丸暗記が優位で、10歳以降は論理立てた記憶法「エピソード記憶」が優位になるそうです。

私は受験生であり暗記が苦手な娘にとって、記憶のしくみを知ることはとても重要だと思ったので、さっそく娘に丸暗記法よりもできるだけ論理だてた理解をすることと、心が動くような体験を伴う学習をする提案をしました。そして実物鑑賞や替え歌作り・なぞなぞやクイズなど体験を取り入れながら記憶することにしたのです。

あるとき、星座の替え歌を歌い、その後に行った星座の小テストで満点を取って以降、エピソード記憶のすごさを実感した娘は、より積極的に体験を伴う学習方法を取り入れるようになりました。

感謝の気持ちが生まれる体験学習

体験を伴う学習をすることで、苦手で辛かった暗記学習は楽しい学習へと変わっていきました。その様子を横で見ていた私はますます受験サポートが楽しくなりました。

体験学習と言っても、イベントに参加したり、野山に行くことだけではありません。買い物時に、店頭に並ぶ野菜を見ながら収穫量日本一について話したり、製造者の住所を見て県庁所在地クイズをしたり、毎夜窓から星座の定点観察をするなどでもいいのです。

とくに娘が気に入った体験学習は、ゲームや替え歌、映像を見るなどの心が動きやすい体験エッセンスを日頃の学びに加えるという簡単なものでした。丸暗記のつまらなかった学習が体験を伴うことで楽しく学べるうえ、忘れにくい記憶になると言っていました。娘にとってはノートに何度も書いて覚える記憶法よりも手ごたえがあったようです。 その後も暗記物に苦労すると「エピソード記憶で暗記したいからアイデア出して~」と言っておりました。

親子は同じチーム。子供のデキナイことを責めたりせずに、成果が出せる方法や継続できる方法、才能を活かした方法を探してサポートすることが大切だと思ったのです。その結果娘との信頼関係は深まり、同じ目的を目指す仲間として受験生活を歩めたように思います。

中学受験は、親にとっては人材育成教育や人間教育の勉強の実践の場だと思います。子供がいるからこそ親として成長できるのだと思うと感謝の気持ちが湧きました。子どもに親にしてもらっていると実感したのです。

和田みゆき先生からのアドバイス

みなさまご存知の通り、現在の日本の学校教育や受験勉強の多くは、暗記を中心としたインプット教育が中心です。しかし2020年の教育改革では「自分で考え表現・判断し、社会で活躍できる力を育成する」ことを目指します。インプットとアウトプットを繰り返し、正解のない答えを創出していく時代に入るのです。つまり知識があればアドバンテージを取れる時代ではなくなり、情報を繋いで新しいものを作りだす力が求められる時代になるということです。

今年の開成中学の入試の国語問題には、会社内の評価の問題が出題されました。もちろん文章題として解くことはできるのですが、学級運営という組織運営から拡大して会社運営について想像を膨らませて解くこともできました。私はこの問題を見て、これからますます自分の体験から応用して考える力が必要になるので、体験学習の重要性だけでなく古い時代の教育観に縛られず、新しい教育観を取り入れていく柔軟性ある受験サポートや子育てが大切だと感じました。

新しい教育方針を知る方法は、文部科学省や大手塾、大学のホームページはじめ、お子さまの教科書や小学校での講和が参考になると思います。

そして体験学習のハードルが高いと感じるならば、インターネットやTVの映像を通して学ぶこと(間接体験学習)や、VRやシミュレーション・模型を使った体験(疑似体験学習)も体験学習なので、気楽に取り入れてみてはいかがでしょうか。身近なところから遊び感覚で始められると思います。

たなかみなこ先生育てたように子は育つ
たなかみなこ先生

幸せな自立に子どもを導くために

夏休みの過ごし方5

みなさま、こんにちは。「最高に楽しい中学受験を叶える!」勇気づけ子育てコーチのたなかみなこです。

今月は、「体験学習と受験勉強」というテーマでお届けしています。「前回」は、「体験学習」で大切にしたいことをお伝えしました。今回は、「子どもが自ら受験勉強するようになるために必要なこと」を、我が家のケースを振り返りながらお伝えしていこうと思います。

我が家では中学受験をサポートするにあたり、「勉強しなさい」ということを一度も言ったことはなく、一切子どもの勉強を管理したり、見たりすることもありませんでした。私は、高学歴でもなく、教えられるスキルもないですし、小学校受験でご縁がなかったこともあり、それ以後は、「教えることはすべてプロにお任せする」というスタンスを一貫してきたからです。また、私自身が中学受験をしたときも、親から見てもらわずに家庭教師に見てもらった経験があったからかもしれません。

私は、子育てコーチとして「幸せな自立」に子どもを導くには、勉強も「ひとりでできる」が大事だと考えています。というのも、私がコーチングを学ばせていただいた師匠が、落ちこぼれ高校生が東大に合格するコミック「ドラゴン桜」のコーチングスキル部分の監修に協力されていたのですが、その師匠から『子どもが小学生になったら、子どもを「ヘルプする」ことを手放し「サポート」に徹し、自立を支援しなさい』という学びを得ていたからです。ですので、小学生になったら、生活習慣も勉強も「ひとりでできる」を目指して子育てをしてきました。その延長上にあったのが中学受験でした。また、素晴らしい塾との出会いのおかげもあり、私は娘の勉強から距離を置くことができました。だからこそ「コーチ」として娘に接することができていたのかもしれません。もし、私が勉強を見ていたら…。いくら子育てコーチであっても、「どうしてできないの?」「何度言ったらわかるの?」「それで受かると思ってるの?」と執拗に娘を責め続けていたかもしれません。

自立を目指す親のスタンス

では、娘はどのようにして自分から一人で勉強をするようになったのでしょう? どうしても私自身、答えが出ないため、思い切って娘本人に聞いてみました、すると、
「小1のときからずっと一人で勉強してたからなぁ…。」
とのことでした。

ということは、小1から子ども扱いをせずに「あなたのお仕事だもんね。」と勉強を任せてきた私の「自立を目指す親のスタンス」がキーだったのかもしれません。

私が考える「自立を目指す親のスタンス」は、
①幼少期から「学び」を意識した環境を作ったり、体験学習に多く触れさせることで「勉強は苦しいことではない」を肌身から感じてもらう取り組みをすること。
②少しずつ「できること」が増えるように、低いハードルを設け、徐々にあげていくこと。
③忍耐強く、子どもがすぐにできるようにならなくても見守って待つこと。

そして、最も大きなポイントは「あなたはできると信じること」

「どうせできない」と親から思われたお子さまは、「僕はどうせ、私はどうせできない」と親が思った通りの育ち方をします。「育てたように子は育つ」です。勉強に自ら取り組みませんし、当然、やる気もなく、成績にもムラがあります。ですが、親が心の中で「この子は大丈夫。」と必死に繰り返しながら、「きっと大丈夫! きっとできる!」と忍耐強く待つことができれば、お子さまの勉強への姿勢は必ず変わってきます。

受験勉強を頑張って欲しい! そう思えばこそ、まず整えるべきは「親のスタンス」ではないでしょうか? 私は、娘の幼少期、教育ママが行き過ぎてしまったこともありますし、実は、子育ても挫折だらけでした。でも「世界でたった一人の母である私が信じなくてどうする?」と「この子はできる!」を必死に信じ続けてきました。これだけは、中学受験期でも1日たりとも忘れることはありませんでした。
根拠がなくとも「できると信じること」。 これこそが、お子さまが「自ら受験勉強を始める日々」のために、私たち親にしかできない最大の勇気づけポイントであると私自身は思っています。

たなかみなこ先生からのアドバイス

まずは「できる」を信じてあげられる親になってあげてほしい、そう思います。

私のところには、「子どものことを信じられない」「とくに勉強面を信じられない」というお悩みがたくさん届きます。
「全然勉強せず、イージーミスを繰り返す我が子。」
「成績が一向に上がらなくても、まったく平気な我が子。」
どこをどうやったら信じられるの? そう思う気持ちも分かります。

こういう状況において、まず押さえるべきことは「本当に中学受験したいと、うちの子は本心から思っているの?」を引き出すことです。確認ではありません、引き出すのです。子どもたちは、愛する親に対して、たくさんの「ねばならない」を抱えています。「今、中学受験をやめたいって言ったら親を悲しませてしまう。」など、彼らなりに考えているので、それを傾聴することでしっかり引き出してみましょう。

中学受験に対して揺るぎない気持ちがあることが分かれば、次の段階です。勇気がくじかれていないか?を引き出します。具体的には「我が子は、自分に能力があり、親を仲間と思っているか?」をしっかり傾聴します。もし、「YES=くじかれている」であった場合、お子さま自身も「自分はできる」と信じることができていないのかもしれません。

ではどうすればいいのでしょう?
「あなたは能力がある」「ママは仲間だよ」をいつでも、何度でも、繰り返し伝えていきます。言語だけでは気持ちがこもらず、伝わらないこともありますので非言語でも伝え続けます。

アドラー心理学では、不適切な行動は「勇気をくじかれた結果」であると捉えます。 勉強しない、遊んでばかり…そんな親から見ると不適切な行動を子どもがしているときこそ「勇気がくじかれているのかも?」と冷静に見直してみましょう。親が「できる」を信じ、子どもを「勇気づけ」ることで、子どもの中に「自ら自分の目標に向かって動き出す基盤」が初めてできるのです。子どもを勇気づけられる親になってくださいね。

8月のワンポイントアドバイス
和田みゆき先生の心理学「イライラ対処法【後編】」

先週はイライラの仕組みをお伝えしました。今週はイライラの対処法をご紹介します。相手への怒りからは何も生まれませんので、ぜひ練習をしてみてください。

まずは怒りの仕組みの復習です。 私の師であるパフォーマンス学の第一人者佐藤綾子博士も、先週お伝えしたABC理論同様に、怒りのしくみは「欲求⇒妨害⇒欲求不満⇒怒りの感情」であると分析しています。

ある出来事に対して直接怒りの感情が生まれるのではないということと、怒りは自分の欲求が満たされないと起こるという2点を知るだけでも、怒りは自分が生み出していることに気づけるでしょう。

それではイライラの対処法であるアンガーコントロール、【AS10(テン)アンガータクティクス】をご紹介します。

①10数える
②一歩離れたところから、今の自分を見る
③場所を移動し気分を変えたり、違う動作をする
④自分の怒りの本当の原因を正確に突き止める
⑤相手がどんな気持ちなのか、同じ目線で同じ導線をたどる
⑥無理やり笑顔をつくることで脳をだます
⑦相手を追い詰めて敗北感を与えず逃げ道を用意する
⑧相手の言葉を繰り返して正確に聞こうとする態度を示す
⑨注意するときの時間とタイミングを重視する
⑩不満点は、相手を全体否定せずに肯定した上で主張する

大事なことはご自身の怒りをごまかさずにしっかり受け止め、その原因を正確に突き止めることです。多くの場合怒りの原因は、相手ではなくご自身の中にあるのです。

次回、9月のワンポイントアドバイスのテーマは「記憶」です。

和田みゆき先生

和田みゆき先生 プロフィール

家庭教育家。家庭教育アドバイザー。家庭教育師。学校法人八洲学園、学校法人文理開成学園理事。
娘の幼少中受験経験あり。とくに中学受験では独自の子育てメソッドを用い、直前模試で偏差値20離れていた最難関共学校に合格。受験5日目まで合格通知なしという経験をするが、メンタルトレーニングで培った強い精神力でリベンジをし、最終的に受験校全校より合格をいただく。その経験から、2010年より各種心理学、脳科学を活かした子育てメソッドと受験サポートプログラムを中学受験生保護者に提供。現在まで2000人を超えるサポートを行う。 他にも大手個別指導塾や小学校での保護者向け講座や、企業にて人材育成研修を提供している。
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たなかみなこ先生

たなかみなこ先生 プロフィール

娘が2歳半のときにコーチングでの子育てを開始。毎日、娘をコーチングで育ててきた自称「リアル子育てコーチ」。幼稚園受験、小学校受験を経験するも、コーチングスキルも道半ばで、誘導的になってしまったこともあり、敗退。その後、日々の娘との対話により、コーチングのスキルを高め、さらにアドラー心理学の「勇気づけ」を学び実践することで、独自の子育てコーチング「勇気づけ子育てコーチング」を確立。娘を女子御三家合格に導くだけでなく、中学受験ママを支援し、御三家を含む多数の第一志望校、難関校合格をサポート。「中学受験で子どもと一生の絆ができた」と好評を得る。 元ANAグランドスタッフであり、大学・専門学校でキャリア教育を行う講師でもある。
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次回は学校生活と勉強のバランスです。

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