11月のテーマ「志望校へのモチベーション維持と学校見学 後編」

inter-edu’s eye
今回は前週に引き続き和田みゆき先生、たなかみなこ先生に志望校へのモチベーション維持と学校見学というテーマでアドバイスをうかがいます。モチベーションを維持するためには具体的に何をすればいいのでしょうか?

和田 みゆき先生モチベーション維持のためには何をすべき?
和田 みゆき先生

頑張っている娘の背中を押したくて奔走

モチベーション維持1

みなさま、こんにちは。「才能開花で目標達成」をテーマに、子育てアドバイスをしている家庭教育家の和田みゆきです。

先週はモチベーションを維持するために、苦しいこの時期だからこそ試してほしいモチベーションを維持する7つのサポートと学校見学で私が行ったことをお伝えしました。今週は具体的なモチベーション維持の方法についてお届けします。

ある日私は娘から「落ち込んでいても時間は過ぎるだけでもったいないし、どうせ受験をするなら辛いんじゃなくて、ワクワク楽しみながら勉強したいから手伝って」と言われました。

新たな難題が降ってきました。今までも「少しでも楽しく勉強したい」と言うので、学習漫画を読んだり、ゲームやクイズ形式、替え歌などで暗記にチャレンジするなど、遊びの要素を取り入れてきたつもりでしたが、まだまだ甘いようで、もっと面白くしたいと言うのです。私はモチベーションが上がらないのだと理解しました。

そんなアイデアは母にはないと思いましたが、頑張っている娘の背中を押したい一心で、書籍やネットで勉強を楽しむ方法やモチベーションを高めて維持する方法などを調べました。講演やセミナーにも参加してみました。

そこで学び試した中で、2月の入試まで定着した方法があるので、ご紹介いたします。

私の成長はいつだって娘の話から。子どもの存在ってありがたいですね。

モチベーションを上げる7つの方法

入試直前期まで続けていた7つの方法です。

1.ストレス排除のイメージトレーニング
①自信を失うワードを言わない
 ・ダメ、無理、受からないなどは、縁起を担ぐ意味でも口にしない。
②目的を確認する未来会話
 ・合格は一通過点で、目的は別のこと。娘の目的は、塾の先生や祖父母を喜ばせたいこと、ダンス部に入り踊ること、留学、憧れの職業に就くまで自由に過ごすことなどだったので、それを意識させる会話を心掛けた。
③感情を手放す交換日記
 ・会話を筆談することで書き残し、そのときの感情をため込まずに吐き出させたり、楽しい会話で締めくくったりして、気分を盛り上げた。
④開運合格グッズを身の回りに置く
 ・もったいないと使用を躊躇した第一志望校のロゴ入り文具。「まるで在校生みたいね」と声掛けをした。
⑤在校生から得た学校レア情報
 ・モチベーションが下がったときに在校生から聞いた情報を小出しにして伝えた。「ソフトクリームが人気なんだって」、「服装はおしゃれしていいんだって」、「帰国子女が半数位いるんだって」など。

2.笑いを生む環境づくり
⑥面白エッセンス注入~問題編~
 ・何度も間違える文章題は、登場人物などを友人や面白い名称に書き換えた。
⑦面白エッセンス注入~お弁当編~
 ・塾の食事時間にくすっと笑えるよう、キャラ弁にしたり、応援メッセージやクイズ・お笑いのネタを真似た手紙を付けた。

面白さを追求するのは、大変難しかったです。

和田みゆき先生からのアドバイス

やる気やモチベーションとはいったい何でしょうか? コントロールできると結果は変わるのでしょうか?

デジタル大辞泉によると、やる気とは「進んで物事をなしとげようとする気持ち。」のことで、モチベーション(motivation)とは、「1. 動機を与えること。動機づけ。2.物事を行うにあたっての、意欲・やる気。または、動因・刺激」です。

そして意外と知られていないのが、やる気はどこかにあるものではなくて、自分で作り出すものだということなのです。

どういうことかというと、やる気とは身体が動いて電気信号が脳に届くと生まれることが分かっています。つまりコントロールができるのです。

東京大学教授で脳研究者の池谷裕二先生いわく、「刺激を入れなければ側坐核(そくざかく)は活動しないので(中略)やる気が出ないときには、まずは何より机に向かって勉強を始めてみましょう。」(『受験脳の作り方』2016新潮文庫)とおっしゃっています。強制的に電気信号を送るのです。

だから塾などでは勉強を始めるときに、漢字の書き取りや計算の演習問題をさせて、手を動かすことで脳に電気信号を送り、やる気に火をつけてから、本題に入るのです。ただし持続力はありません。

だからモチベーションが必要なのです。やる気の一つの要因がモチベーションです。例えば受験生が第一志望校の文具を使うことにより、憧れの学校の生徒に自分を重ね合わせることで、受験生の合格したい気持ちが高まり、やる気に繋がるのです。

たなかみなこ先生失敗したワクワク向上作戦
たなかみなこ先生

モチベーションを自然に上げようとしたけど…

モチベーション維持2

みなさま、こんにちは。「最高に楽しい中学受験を叶える!」勇気づけ子育てコーチのたなかみなこです。

後編となる今回は「志望校へのモチベーション維持」についてお届けいたします。モチベーションを維持するにはどうしたらいいの?と、悩ましく感じたり、「志望校があるのに、なんでそこに向けてもっと努力しないの!?」という気持ちになることもあるのではないでしょうか?

我が家のケースをお伝えしますね。
娘は、小学校6年の夏まで共学校を第一志望にしていました。
ですが、
●塾の先生に「その学校の出題傾向的に、まず受からない」と太鼓判を押されてしまったこと。
●塾に激励に来てくださった女子校に通うキラキラした先輩に憧れたこと。

この二つの理由により、小6の8月に志望校を女子校に変更することになりました。

さて、ここからです。
まずは、小4のときに行ったその学校の文化祭パンフレットを探し出すことにしました。幸い、娘も私も保管していたので、一緒にパンフレットを読みながら、
「この部活の発表観たよね。」
「このコメント面白いね。」
など、2年前の印象を思い出す作業と同時に、娘がワクワクできそうなポイント探しをしました。

ですが、小6の娘にとって、2年前に行った文化祭パンフレットから学校生活を想像することは難しく、また、学校のホームページにも学校生活に関する情報がそれほど載っていないため、ワクワク向上作戦は正直うまくいきませんでした。

偶然の出会いからモチベーションを得る

ですが、小6の秋のことです。思いがけず、その学校の文化祭に2日連続で出向くことになりました。
理由は、1日目の感想が「別にワクワクしない。」という残念なものだったからです…。
私は焦りました。これではモチベーションにならない…。
そこで娘に尋ねました。
「明日も行く? ママはお付き合いできるよ。」
そう伝えると、娘は一生懸命パンフレットをめくり始めました。そして、
「明日も行こうかな。小4のときから気になってた出し物がラスト公演なんだって。」
そして、2日目も文化祭へ行くことになりました。

娘が気になっていた公演に行ってみると、なんと「こんな先輩になりたい!」と心から思える輝く先輩方の姿が!
その日から、その先輩のようになりたいという強い気持ちがどんどん高まっていき、
「私、絶対に合格する! あの先輩方の後輩になってプレゼントを渡す!」
という目標を掲げることになったのです。

たまたま文化祭に2日連続で行ったことにより、我が家は合格へのモチベーションを得ることができました。
実は、娘のモチベーションとなった先輩方は、2年前の文化祭で、学校の門をくぐって最初に観た一番印象に残っていた演目にご出演されていた方々でもあったのです!
2年前の文化祭でいただいた公演紹介のパンフレットでそのことが繋がったとき、親子で運命めいたものを感じました。
「合格するしかないね!」

娘がはっきりとしたモチベーションを得ることができたのは、入試本番の約4か月前、小6の10月のことでした。

たなかみなこ先生からのアドバイス

娘のモチベーションの源泉は、
●塾のクラスが同じ仲良しのお友だちと一緒に合格したい。
●塾の先生に合格をプレゼントして、塾の合格実績を上げたい。
●憧れの先輩の後輩になりたい。

などのキラキラした想いだと、当時の私は思っていました。
もちろんこれらも大事だったようなのですが、今となり娘に聞いてみたところ、
「小4で行った文化祭がきっかけで、小6で行った文化祭が決定打になったんだ。御三家を第一志望にしたのは、『自分の未来のため』だったし、キラキラした大きな目標ではあったけど、でも、それだけではがんばれなかった。そんな綺麗ごとでは小6のラストスパートのモチベーションは維持できないんだよね。」
という答えが返ってきました。

詳しく訊いてみると、
「塾の同じクラスの〇〇ちゃんには負けたくない!」
「落ちたら塾のクラスのみんなに顔向けできない…。」
「私に嫌な思いをさせた小学校の友達を見返したい!」
「合格して塾の先生に今までの恩返しをしたい。」
などのさまざまな感情をバネに頑張っていたのだそうです。

娘に火をつけたのは文化祭でしたが、そこで得たモチベーションがラストまで維持できたのは、それまで切磋琢磨してきた塾の仲間やライバルへの気持ち、塾の先生への感謝、そして小学校での出来事や友達への想い…。
悲しみや怒り、競争心、感謝など、いろいろな感情が入り混じり、総合的にモチベーション維持に繋がっていたのだということに改めて気づかされたのでした。

たかが12歳、されど12歳です。その子なりにいろいろなことを感じ、考えながら自分の力で受験に向かっていることを、私たち親は忘れずにいたいものですね。

11月のワンポイントアドバイス
和田みゆき先生の心理学「自律と伴走【後編】」

今月は、家庭教育家の和田みゆきが、子どもの自律と親の伴走についてお伝えします。前編では「自律」を後編では「伴走」をお届けしていきます。

さて「伴走」と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか。
一般的には、マラソンや自転車のロードレースなどで、競技者のそばについて走り、競技者が目標達成できるように情報提供や応援などのサポートをすることを言いますが、中学受験も同じです。走るのはランナーである子どもで、親は伴走者という立場です。

時々、親が猛烈な力で子どもを引っ張りゴールをさせている光景を目にします。ゴールこそできますが、主体的に自分で考えていないので、入試後に目的や目標が見つけられず抜け殻のようになってしまうのです。

つまり私たち親は、合格という成果だけを求めるのではなく、同時に人間性も育てる必要があるのです。そのために私たちは伴走をするコーチという立ち位置で、子どもがゴールを目指せるようにサポートをするのです。二人とも選手として走るわけではありません。

マラソンをイメージすると、受験における親子の役割の違いが理解しやすいのではないでしょうか。子どもが選手で親はコーチ。チームとしてゴールを目指します。

選手である子どもは疲れている日も、体調の悪い日も、機嫌の悪い日も好調な日もあります。ゴールは決まっているのですから、最高のゴールができるように私たちは今できることの優先順位と時間管理をして伴走していきましょう。

次回は勇気づけです。

和田みゆき先生

和田みゆき先生 プロフィール

家庭教育家。家庭教育アドバイザー。家庭教育師。学校法人八洲学園、学校法人文理開成学園理事。
娘の幼少中受験経験あり。とくに中学受験では独自の子育てメソッドを用い、直前模試で偏差値20離れていた最難関共学校に合格。受験5日目まで合格通知なしという経験をするが、メンタルトレーニングで培った強い精神力でリベンジをし、最終的に受験校全校より合格をいただく。その経験から、2010年より各種心理学、脳科学を活かした子育てメソッドと受験サポートプログラムを中学受験生保護者に提供。現在まで2000人を超えるサポートを行う。 他にも大手個別指導塾や小学校での保護者向け講座や、企業にて人材育成研修を提供している。
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たなかみなこ先生

たなかみなこ先生 プロフィール

娘が2歳半のときにコーチングでの子育てを開始。毎日、娘をコーチングで育ててきた自称「リアル子育てコーチ」。幼稚園受験、小学校受験を経験するも、コーチングスキルも道半ばで、誘導的になってしまったこともあり、敗退。その後、日々の娘との対話により、コーチングのスキルを高め、さらにアドラー心理学の「勇気づけ」を学び実践することで、独自の子育てコーチング「勇気づけ子育てコーチング」を確立。娘を女子御三家合格に導くだけでなく、中学受験ママを支援し、御三家を含む多数の第一志望校、難関校合格をサポート。「中学受験で子どもと一生の絆ができた」と好評を得る。 元ANAグランドスタッフであり、大学・専門学校でキャリア教育を行う講師でもある。
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次回は冬休みと1月の過ごし方です。

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