12月のテーマ「冬休みと1月の過ごし方は?」

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12月は、たなかみなこ先生が、冬休みと1月の過ごし方についてご紹介します。入試までの期間もあとわずか。親としても一番不安になってしまうこの時期、親はどうすればいいのでしょうか?

たなかみなこ先生年末年始こそ親は悩ましい
たなか みなこ先生

入試までの期間もあとわずか!

冬休みと1月の過ごし方1

みなさま、こんにちは。「最高に楽しい中学受験を叶える!」勇気づけ子育てコーチのたなかみなこです。すでに12月に入り、一部では入試を迎えた方もいらっしゃいますね! さらに、1月に入ると続々と本番がやってきます。

1月になると、もう入試までの期間も間近。目標がしっかり定まる時期ではありますが、目標に向かって勉強を頑張っている我が子の姿は見えるものの、親としては高い目標であることも分かっており、また、自分が勉強しているわけではないので、何か支援できないか?何かサポートしてあげなくちゃ!と、お子さまより不安になり焦る時期ではないかと思います。

実は、私にとって、この時期が、一番不安に陥ってしまっていた時期だったかもしれません。

そんなとき、ちょっと心を揺さぶる情報が入ってきます。
「通っている塾は、少人数塾のため志望校に特化したクラスはないけれど、他の塾にはあるし、今からでも、追い込み時期だけでも参加できるらしい。」
私は、そこで、迷いました。

迷った理由は2つあります。

一つは、受験できる全国模試が終わってしまい、実力を測る機会がなくなってしまったことです。同じ志望校を目指す受験生の中での立ち位置や伸びが分からないというのは、親にとっては不安要素の一つでした。

もう一つは、娘が通っていた塾には、同じ志望校を目指す仲間が少なかったこともあり、もっと切磋琢磨できる環境があった方がいいのでは?と私が勝手に考えてしまったことです。

志望校に特化した塾には通わせた方がいい?

実は、11月頃になると、その塾の志望校に特化した模試を受けたことで、お誘いのお電話を何度かいただくようにもなり、
「同じ志望校を目指す仲間と競える模試が入試ギリギリまであるって大事なのでは?」
と思うようになってしまったわけです。

そこで、娘に
「こっちの塾も行ってみない?模試もあるから立ち位置も分かると思うんだよね。」
と思い切って相談してみることにしました。
すると、
「私は今の塾以外は絶対に行かない! 合格実績を他の塾に明け渡すことは絶対にしたくない!」
という強い言葉が返ってきたのです。

心から信頼している塾や先生を裏切ることはできない…。
娘はしっかりと前を向いていました。そして今までお世話になってきた先生方へご恩返しをしたいんだ!という強い意志を持っていました。

私は反省をしました。ただ合格さえすればいいんじゃない。中学受験とは、塾の先生や今まで一緒に頑張ってきた仲間たちとともに作り上げるものなんだ。娘の「大好きな先生と仲間たちとのチャレンジの機会」を邪魔をしようとした自分が恥ずかしくなりました…。そして、二度と「他の塾」の話をすることはしませんでした。

娘の中には、私以上に、「中学受験の主役は自分」という自覚が育っていたのでした。私が子育てでずっと心がけていた「子どもを幸せに自立させる」の方向に成長している娘の姿から、逆に学ばせてもらった小6の年末年始となりました。

たなか先生からのアドバイス

入試が近づいてくると、子どもよりも親のメンタルが揺れてくるのではないでしょうか。

併願校を迷う、他の塾や動画セミナーなどを迷う、または、模試を受けるかどうか迷う…などなど。

親が迷い始めると、子どもも迷い始めたり、親が不安になると、子どもも不安になったり。受験生のお子さまたちはまだ11歳、12歳。良くも悪くも私たち親のメンタルが大きく影響する時期でもあります。なので、親としては、どーん!と構えていたいものです。

では、親の心が揺れるとき、迷ってしまったとき、どうしたらいいのでしょうか?
私の経験から、オススメの方法は3つです。

1つ目は、前述の記事のように子どもに相談してみる、です。
親と子で横の関係が出来上がっていれば、中学受験の勉強で鍛えた思考力をもとに意見をしっかり伝えてくれるかもしれません。子どもにバッサリ斬られると案外ふっきれるということもありそうです。

2つ目は、塾の信頼できる先生に相談する、です。
ベテランの先生のご意見を聞けることで安心できることはたくさんあると思います。先生にコンタクトを取るときには感謝の気持ちを忘れずに。

3つ目は「私が大丈夫なら、子どもは大丈夫。」と自分に言い聞かせることです。
不安になっているとき「子どもを大丈夫にしないと、私が大丈夫になれない。」という思考になっていることが多いのではないでしょうか? 実は、親が大丈夫と言い切っていれば、お子さまは大丈夫なんです。

この3つの方法で「私は大丈夫!」を作り上げ、お子さまにたくさんの「大丈夫」を手渡すことで、合格へのサポートを万全にしていきましょう!

冬休みは仲間たちと自習

追い込み時期の過ごし方は?

冬休みと1月の過ごし方2

さて、冬休みの過ごし方です。

受験までの最後の追い込み時期のため、追い込みのため勉強時間を確保すること。
そして、受験が始まると子どものメンタルのアップダウンへのフォローという重要な要素が浮かび上がってきます。

この2点を順にお伝えしますね。

まず、1つ目の追い込みのための勉強時間の確保ですが、実は、我が家の娘は「ひとりでは勉強できない」という致命的な欠点があったようです。切磋琢磨できる仲間が一緒でないとやる気が出ないのだそうです。家ではテレビやゲーム、漫画などの誘惑が多く、遊びたくなってしまうため、どうしても勉強の意欲が湧かないのだと…。

中学受験生時代、私は「それは意思が弱く、怠けてるだけじゃないの?」と思っていたのですが、最近の娘との語り合いにより、今でも傾向が変わらないということも分かってきました。家庭学習が命!という先入観が私にもあり、なかなか受け入れがたい事実でしたが、「勉強しやすい環境」を探し出してあげるのも大事なことだと思いました。

当時から自分の傾向を知っていた娘は、自習室での勉強が中心。塾も自習室もない日は、図書館、カフェでお友だちと一緒に頑強していました。ちょうど塾のない年始、1月3日も、同じ塾の同じ志望校を志すお友だちと午前中からカフェ勉強をする約束をしていたようで、家族で初詣に行った後はカフェへ直行です。夕方暗くなるまで勉強していたので、お迎えには行くようにしていました。

入試本番前は何をするべき?

何をどれくらいやっていたか?に関しては、いつものように確認はせず、すべて本人に任せていました。一緒に勉強していたお友だちも同様で、親が管理するようなことはありません。

みんなそれぞれ、自分の受験校へ合格するために塾の先生と相談し、そのときに出た課題や過去問に取り組んでいたようです。しかし、これは本人に「この学校に絶対に入りたい」という目標が定まっていたからこそ上手くいったのだと思います。どうしても得たいものは、誰も管理しなくても頑張れるもの!我が家では日々、コーチングにより、娘の受験校への想いを聞いていたので、あとは本人を信じて任せたことが上手くいったのだと思います。

そして、受験が始まりました。
我が家の娘は、1校目合格、2校目不合格だったのですが、どうしても行きたかった学校ではなかったものの、最後の追い込みで先生に食らいついてまで質問を重ねてきたこともあり、不合格を受け入れるのにはかなりの時間がかかっていました。本命入試も近づきつつあり、メンタルのアップダウンは激しくなる一方…。そこで、これまで信頼関係を築いてきた塾の先生に連絡をし、すぐに親子で塾に駆け込みました。

すると、親子で信頼している大好きな塾の先生から、
「本命はこれからだ! 今まで、私が教えられることは全部教えてきたから、落ちついてやれば絶対に大丈夫だから! 受かってくれないと私が困るよ。」という言葉をかけていただくことができ、やっと前を向くことができたようでした。小2の2月からお世話になっていて、娘が初めて、塾の先生の前で泣いた瞬間でした…。

入試本番前は、いかに「不安を取り除くか?」を優先順位の第1位に掲げ、娘の人生初の大チャレンジ中学受験を内心ドキドキしながら応援する日々でした。

たなか先生からのアドバイス

娘の中学受験を振り返ると、1校1校の合格、不合格は、娘にとっても、とても大きなものだったようです。

挫折をあまり味わったことのない子どもにとって、「不合格をもらう」という経験をどう消化していったらいいのか?は悩ましいところではないでしょうか?
大人であっても、思ったような結果が出なかったという経験は受け入れがたいものがありますよね?
一度失敗すると、「次も失敗してしまうかもしれない。」なんていうスパイラルに陥ることもあるかと思います。
それを11歳~12歳で経験するわけですから…。

ここで、中学受験生を持つ親としてのメンタルサポート術をお伝えします。これは、お世話になっていた塾の先生が教えてくださったことなのですが、
「第一志望校に落ちたとき、どんな言葉をかけるか?をあらかじめ考えておくこと。」

一見、かなり辛いことをお伝えしていると思います。
ですが、「不思議と、準備ができている親の子どもほど第一志望校に合格する確率が高い。」とも、先生は教えてくださいました。

私も準備はしていました。
「すっごい頑張ってきたことをママは分かってるよ。」
という言葉です。
実際に2校目の受験で不合格になったとき、娘にこの言葉を伝えました。
娘は、「覚悟はしていたけど、やっぱり辛いね…。」そう涙ぐんでかみしめていました。ですが、用意していたおかげで、娘をくじかずに済んだと思っています。

親のとっさの反応で、子ども自身を、子どもの未来をくじいてしまうことだけは避けたい!
そう心に刻みつけながら、最高の思い出となるように愛するお子さまの中学受験を応援してほしいと思っています。

12月のワンポイントアドバイス
たなかみなこ先生の心理学「勇気づけ」

今月は、勇気づけ子育てコーチのたなかみなこが、アドラー心理学の技法「勇気づけ」についてお伝えしていきたいと思います。
「勇気づけ」は「やる気」に繋がるというアドラー学派の心理学者による著書(『子どもにやる気を起こさせる方法』創元社)などもあり、「勇気づけ」は、私たち親にとってどうやら嬉しい効果がありそうです。

では「勇気づけ」るには、どうしたらよいのでしょう?
よく混同されがちなのが「褒める」という行為だと思います。まず、最初に「勇気づけ」と「褒める」の違いについて、親子の会話を例にしてお伝えしていきたいと思います。

●褒める会話
子「ママ~!テストで100点取ったよ!」
母「あら~!すごいじゃない!さすがだね!えらいね!やればできるじゃない!」

●勇気づける会話
子「ママ~!テストで100点取ったよ!」
母「わぁ、それは嬉しかったね!ママもあなたが喜んでる様子見て嬉しくなっちゃった!」

どこが違うでしょうか?
一見、そんなに変わらない対応にも見えますよね。でも、実は大きく違うんです。

「褒める会話」は母のセリフが子どもへの評価になっています。評価は、上から目線となることが多く、上下関係の関係になりやすいのです。一方、勇気づける会話では、評価ではなく、子どもの気持ちに共感し、喜びを「私メッセージ」で伝えています。対等で平等、横から目線の「横の関係」ができやすいといえます。あなたならどちらの対応が「また頑張ろう!」と思えるでしょうか?

そこで、「褒める(賞賛)」が、なぜ「勇気づけ」と違うのか?についてお伝えしていきますね。

「賞賛は、ある子には勇気づけと同じ効果をもたらすことがあるかもしれませんが、ほとんどは落胆させたり不安や恐れを引き起こします。なぜなら、子どもは賞賛を当てにするようになり、賞賛の量が増加することを求め、認められたいためだけに仕事(勉強など)をするでしょう。」(ルドルフ・ドライカース、パール・キャッセル著『やる気を引き出す教師の技量』一光社)

とあるように、「認められたいためだけに勉強する」となってしまう可能性が高いからです。認められたいためだけに勉強するのは、勉強をさせるという目的には叶ってはいるでしょう。しかし、本人が受かりたいわけではなく、親に褒められるためにがんばるので、結果が出せなかったときには不安と恐怖に変わってしまうのです。また、それでも、親が褒め続けた場合、その程度でも褒めてくれるんだとがんばる理由を見失ってしまうこともあるでしょう。子どもが自分で決めた中学受験に向かえるように支援できる親になるためには、「褒める」だけではどうやら難しいようです。

では、勇気づけをした場合、どうなるでしょうか?
本人の意思を尊重する形での勇気づけになります。

「あなたの目標を私も応援しているわ。あなたには能力があることを知っているし、ともに進む仲間だもんね。」
というメッセージが伝わります。
これが、評価をするのではなく、勇気づけている状態となります。

最後に、どう「勇気づけ」るか?ですが、
もうこれは、何度も繰り返し伝え続けていることなので、お分かりですよね。

●「私は大丈夫、私は能力がある」
●「親は味方で仲間である」

この2つの軸を忘れないことです。この2つをお子さまが実感できるような「かまえ」「スタンス」で接するだけなのです。

具体的には、
①話をじっくり聴く
②言葉をかける

の順番がオススメです。
我が家では、中学受験生時代にも、1時間でも2時間でも、娘が望むだけの時間、顔で笑って心で泣きながらも話をじっくり聴くことで勇気づけていました。「褒める」より「勇気づけ」で、お子さま自身の課題である中学受験を応援していきましょう!

1月のワンポイントアドバイスは「テスト結果の捉え方」です。

たなかみなこ先生

たなかみなこ先生 プロフィール

娘が2歳半のときにコーチングでの子育てを開始。毎日、娘をコーチングで育ててきた自称「リアル子育てコーチ」。幼稚園受験、小学校受験を経験するも、コーチングスキルも道半ばで、誘導的になってしまったこともあり、敗退。その後、日々の娘との対話により、コーチングのスキルを高め、さらにアドラー心理学の「勇気づけ」を学び実践することで、独自の子育てコーチング「勇気づけ子育てコーチング」を確立。娘を女子御三家合格に導くだけでなく、中学受験ママを支援し、御三家を含む多数の第一志望校、難関校合格をサポート。「中学受験で子どもと一生の絆ができた」と好評を得る。 元ANAグランドスタッフであり、大学・専門学校でキャリア教育を行う講師でもある。
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次回は受験期直前の親のサポート【前編】です。※12月は1回のみの掲載になります。

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「ママコ・ネクション」では、和田先生や、たなか先生によるレクチャー会と座談会を開催予定です。中学受験を通し、悩んでいることについてアドバイスを受けることもできます。ぜひご参加ください。

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