塾のクラスが下がったときは親の出番

2016年7月27日発行のバックナンバーです。

エリート育成「中学受験」サポートメール 2016/7/27号
塾のクラスが下がったときは親の出番
監修:西村則康(プロ家庭教師)
by inter-edu.com

【今週の必修語】頭寒足熱(ずかんそくねつ)

「最近、夜暑くてなかなか寝付けないんだ……」 「頭寒足熱がおすすめだよ!」

頭寒足熱とは、頭を冷やし、足をあたためること。これを実践するとよく眠れ、健康によいとされています。

夜になっても気温が25度を下回らない熱帯夜が続く、日本列島の夏。なかなか寝つけずにお困りの方も多いのではないでしょうか?

睡眠不足が続くと集中力が低下したり、夏風邪をひきやすくなるなど、多くの影響があります。体調を崩す前に、早めの対策を心がけましょう。

氷枕や熱さまシートなどを使って頭を冷やす、ぬるめの湯船に15~20分浸かる、通気性のよいパジャマを着用するなど、快眠のコツはたくさんあります。お子さまと一緒にご自分の体に合った方法を見つけて、元気に夏を乗り切ってください。

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ほとんどの塾で頻度は違えど、テストの結果に基づいたクラス分けが行われていると思います。親御さんもお子さまも、クラスの上下に振り回されてはいませんか?受験勉強において大切なのは、クラスをあげることだけではなく、物事がわかっていく楽しさを実感しながら勉強を進めることです。

テストの出来は出題された単元やその日の体調によって大きく変わりますから、受験直前でない限り、点数や偏差値、順位に強くこだわる必要はありません。親御さんが心配する気持ちもわかりますが、「クラスがあがるように頑張れ」と、過度なプレッシャーはかけないようにしてください。

緊張感やプレッシャーを力に変えられる子もいますが、負担に感じてしまい、よくない学習方法に向かってしまうことがあります。親御さんは「クラスが下がることなんて、よくあるわよ」くらいの気持ちで、ゆったりと構えていただければと思います。

「上下しながらも、長期的に見れば上がっている」が理想です。

クラスが下がったときこそ、親御さんの出番です。お子さまのモチベーションを上げる声かけと対応をお願いします。

つい、「もっと頑張ろう」「もっと勉強時間を増やそう」などと言ってしまうことが多いかと思いますが、その前に「今、あなたは十分頑張っているわよ」と語りかけて、お子さまの今の努力を認めてあげてください。

子どもなりに頑張っているのに、「もっと頑張れ」と言われると、「今も十分頑張っているのに…」と感じてしまい、勉強に対するモチベーションが下がる可能性が高いからです。

頑張りを認める言葉をかけたうえで、勉強時間を増やすよりも、勉強しているときのようすや取り組み方をチェックするのが効果的です。チェックするポイントは、以下の4点です。

・問題の意味を正確に捉えているか ・問題を正確に処理できているか ・納得感を伴った学習を行っているか ・納得して正解を出すことに興味を持って、学習を進められているか

加えて、「字を丁寧に書くとミスが減るよ」「次のテストまでに電流の単元を克服しよう」といった具合に小さな目標を設定し、それをクリアするたびに褒めてあげましょう。 「○○を□□のようにやれば、成績があがりそうね」と、具体的に学習の仕方をアドバイスし、子どもの心の中に成功の予感を芽生えさせながら、一つひとつ理解の深い学習を積み重ねていってください。

最も避けていただきたいのは、成績をあげるために暗記ばかり行うことです。暗記で点数を稼ぐ習慣がついてしまうと、どの科目も暗記で乗り切ろうとするようになります。特に、算数を暗記で乗り切ろうとするような学習になってしまうと大変です。そうなると、自分で考える問題、試行錯誤して解法を見つける問題に対応できなくなってしまうのです。

また、「苦手な算数よりも社会の暗記に力を注ぐ」といったやり方でクラスがあがったとしても、上位クラスの算数の授業についていけず、さらに自信を失ってしまう可能性があります。入試直前であれば点数を稼ぐために暗記ものに集中しても構いませんが、早い時期から偏った暗記学習をするのは禁物です。 (塾ソムリエ&プロ家庭教師の西村則康)

学年別・今週のスポットアドバイス

【 1~3年生 】九九は夏休みのうちにマスターを!

小学校2年生で学ぶ『九九』は、その習得度が今後の算数の学習に大きな影響を与える重要な単元です。しかし、短時間の授業だけで完全にマスターする子は、実は少ないのが現実です。

九九が定着しているかチェックして、夏休みのうちにしっかり身につけておきましょう。特に7の段が要注意です。目安としては、『1×1』から『9×9』までを1分30秒くらいで言えること。

さらに逆の順番、『9×9』から『1×1』までを1分30秒くらいで言えれば、九九が頭の中に定着していると考えていいでしょう。

【 4年生 】自由研究は前向きに取り組んで

夏休みの自由研究、進んでいますか?自由研究は時間ばかりかかって、勉強には役立たないと思っていらっしゃる親御さんも多いようですが、机に向かうだけが勉強ではありません。

自分でテーマを決めて、結果を予測し、プレゼンテーションの方法まで考える自由研究は、思考を深めるいい訓練になります。もしあまり進んでないようでしたら、「どういう結果が出そう?」「どんなまとめ方があるかな?」といった具合に、相談に乗ってあげてください。

あまり手伝いすぎないようにして、お子さまが興味を持ったテーマに楽しくチャレンジできるよう、サポートをお願いします。

【 5年生 】夏期講習のまとめテストまでにすべきこと

いよいよ夏期講習が始まりましたね。ほとんどの塾で、9月の初めごろに夏期講習のまとめテストが行われると思います。

4年生の場合は、夏期講習の内容をすべて復習してテストに臨むことが可能ですが、5年生になると量的に不可能です。優先順位を決めて1つか2つの単元を徹底的に仕上げることで、テストの点数を少しあげるのを目標にするといいですよ。

さて、夏休みの自由研究は何をするか、もう決めましたか?5年生は6年生と比べてまだスケジュールに余裕があります。ちょっと欲張って、難しめの自由研究に楽しみながら取り組めるといいですね。

【 6年生 】体調管理、運動不足に注意して

暑い日が続いていますが、お子さまの体調はいかがでしょうか?いくら勉強を頑張っても、体を壊しては元も子もありません。講習で塾に滞在する時間が長く、家に帰ってもやるべきことがたくさんあると思いますが、睡眠時間はしっかり確保してください。

最近では塾の教室のエアコンが効きすぎていて、体調を崩してしまうこともあります。お子さまに聞いてみて、寒いようだったら一枚羽織れるものを持っていき、体を冷やさないようにしてください。

また、講習中は机に向かう時間が長いため、運動不足になりがちです。運動不足はストレスとなり、集中力が持続しない原因になる可能性がありますから、注意してください。受験生の運動不足の改善におすすめなのが、早朝散歩です。早く起きる習慣がつき、定期的に体を動かすことができますし、気持ちのいい状態で一日を始められ、一石二鳥ですよ。

【 6年生難関 】ハードな夏は体と心のケアを

“受験の天王山”ともいわれる夏休みがやってきました。6年生の講習スケジュールは、他学年と比べても格段にハードです。しっかりと今やるべきことをこなしていくためにも、親御さんはお子さまの体と心のケアをお願いします。

体に関しては、いくら課題が多くても、睡眠時間を削らないことが大切です。夜更かしをして勉強しても、成績アップにつながらないという研究データはたくさんあります。

以前もメルマガでお話しした『○△×学習法』を使って、課題を取捨選択し、睡眠時間を優先してください。心に関しては、『大丈夫』とお子さまに言い続けてあげてください。受験まで半年を切ると、本番を意識して不安になるお子さまが多くいます。

「いまさら頑張っても無理だろう」と諦めているようすがあれば、「あなたなら大丈夫」と声をかけ、励まし続けてください。ここまで共に受験勉強を頑張ってきてくれた親御さんの言葉だからこそ、お子さまの心に響きます。

これで成功! 先輩ママの声かけ実例

6年生の長女は活発だけれども、4年生の次女は正反対の性格で、とても内気。塾の先生に質問することができなくて、たまに勉強をみてあげると、理解してないことだらけでびっくり。

「わからないことは、塾の先生に質問していいんだよ」と言っても、「うん」とその場で頷くだけで、質問したようすがありません。

おとなしい子だし、質問するのが嫌だという気持ちもわかる……と思いつつ、どうやったら娘が質問できるようになるかなと、軽い気持ちでネットでいろいろ調べてみたとき、質問しなくなるのは、どうやら親に責任があるらしいと知りました。

本来、子どもは質問をすることが好きなはずなのに、幼少の頃の親の答え方次第で、子供はだんだん質問することが嫌いになるそうなのです。「そんなこと質問しないで」「ママにはわからないわ」など、子供からの質問にきちんと答えないことが繰り返されると、質問しても無駄と子供は質問をすることが嫌いになると知り、そういえば……と思い当たるフシが。

長女がおてんばで手がかかる反面、次女はおとなしくていつも言うことを聞いてくれる子だったので、なにか聞かれてもいつも後回しにしてしまっていました。申し訳ないことしたなと反省。

そこでまず、頻繁に次女に質問するようにしました。「今日は、どんな勉強したの?」「どこがわからなかったの?」と。それまでは、教えるのは先生の仕事と放っておいたのですが、「ママもわからないから、ここは塾の先生にきいてみようね」と、わからなかった箇所に付箋を貼り、「〇〇がわからない」と書き添えました。

そして塾の先生にも、こっそり「娘がわからない箇所に付箋を貼ってあります」と伝えておきました。

「わからなかった問題を、ちゃんと塾の先生に聞いてくるんだよ」と背中を押して塾へ送り出すと、はじめのうちは先生の方から「何かわからないことはある?」と声をかけないと質問ができなかったようですが、先生から声かけしてもらっているうちに、自分から質問できるようになりました。

塾へ行くときは、テキストから付箋が飛び出しているのですが、帰りには付箋を外して帰ってくることがどうやら娘には気持ちいいらしく、最近ではすっかり質問が楽しくなったようで、頑張って質問内容を探しています。協力してくれた塾の先生にも感謝しています。(アリス)


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