中高一貫校と中高別学、教育的にいいのはどちら?:エデュママアンケート第117回
第117回 中高一貫校と中高別学、教育的にいいのはどちら?
inter-edu’s eye
中学受験をして中高一貫校に通うのと、公立中から高校受験するのと、どちらが教育制度としては望ましいと思うかをうかがってみました。アンケートの結果は、ダントツで中高一貫校に軍配が!
◆75%以上が中高一貫校を選択!
中学受験をすると、ほとんどの場合中高一貫校を目指すことになり、自動的に入れる公立中に行けば必然的に高校受験をすることになります。しかし、今回は教育制度として見てどちらがいいか、という観点からご意見をうかがってみました。その結果、4人のうち3人が、中高一貫校のほうがよいと回答。その次が“どちらでもよい”で14.2%。中学と高校が別のほうがいいと考える人は、1割にもなりませんでした。
中学受験を目指すご家庭が多いインターエデュですから、世間一般も同じ傾向だと決めつけることはできませんが、教育熱心な親御さんの多くが中高一貫校のほうを評価しているということでしょう。戦後長く続いている「6・3・3制」に対する不信感が存在することは確かだと思います。
国や自治体レベルでも、大学も含めた「6・3・3・4制」という学制の再検討は行われてはいます。それが公立中高一貫校の増加につながり、今年創設が発表された都立小中高一貫校にも反映されています。しかし学制の変更は遅々として進みません。むしろ大学入試改革のほうが先に実行に移されると思われます。
多感な時期だからこそ、じっくり学べる環境がいい
ところで、中高一貫校のほうがよいという考え方は、多くの教育関係者が共有しているものです。教育ジャーナリストのおおたとしまささんも、長年、中高一貫校が望ましいということを著書に書いてこられ、近著『進路で迷ったら中高一貫校を選びなさい』でも、ていねいに解説しておられます。
その内容を、一部紹介してみましょう。 ●教育課程は、初等教育、中等教育、高等教育の3段階に分けるのが万国共通で、中学と高校は中等教育に当たり、多くの国がひとつの学校になっている。日本も戦前は、中等教育として一体だったが、戦後、無償の義務教育期間を設定する際に、中等教育全体を無償にするには資金が足りず、前期中等教育=中学校だけを無償にした。そのために中学と高校に分かれてしまった。だから戦前から続いている私立の伝統校が中高一貫校なのは当然。 ●中等教育の時期は多感な思春期に重なり、子どもから大人への移行する精神的に不安定な時期でもある。その真ん中に受験があって別の環境に移るよりは、6年間信頼できる教師や友人、先輩に囲まれた安定した環境にあるほうがいい。“いい大学に行ける”かどうかより、そのことのほうがずっと大事。また抽象的・論理的な思考を身につける時期でもあり、そのためにも受験などに惑わされずじっくり学べる余裕を持てるほうがいい。
そういえば、中高一貫校でできた友達との絆は深いと言われます。成長期の心の不安定な時期に6年間同じ学校で過ごすことの意味は、とても大きいのかもしれませんね。
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