はじめての中学受験 Vol.6前半 「中学受験はかわいそうか?」by.おおたとしまさ氏

はじめての中学受験 Vol.6 中学受験という選択
学校・塾の選び方
「中学受験という選択」おおたとしまさ著
「中学受験という選択」おおたとしまさ著
日経プレミアシリーズ、893円(税込)

inter-edu’s eye
中学受験をするためには小学3年生から塾通いで、友だちと遊ぶ時間もなくなる…。「本当に子どものためになるのかしら…?」と迷うママも多いと思います。
そこで、『中学受験という選択』の著者、おおたとしまささんにご意見とアドバイスを伺いました。おおたさんご自身、中学受験経験者で麻布中学校・麻布高等学校を卒業されています。

脳が発達する「ゴールデンエイジ」に中学受験はぴったり!

おおたとしまささん

私が中学受験をしたのは随分前ですが、実は入試前日に高熱を出したんです。「麻布に受からなかったら、公立へ行け」と父に言われていたので、それが極度のストレスだったのかもしれません。でも入試本番は熱も下がり、集中して問題に取り組むことができました。

麻布を受験しようと決めたのは、母が、友人の母親から受験するという話を聞いてきたことがきっかけでした。塾へ通っていましたが、学校よりも塾の方が楽しかった。学校でそこそこの成績をとっていても、塾では自分よりも上がいるんだということに刺激を受けていました。

スポーツの世界で10歳以降を「ゴールデンエイジ」と言うように、この時期は脳が発達し、多くのことを習得できる時期とされています。算数でも分数や公約数など抽象的な概念を学ぶのがこの時期。11~12歳の頃に将来生きるのに必要な力を育てるのは、とてもいいことではないかと私は思っています。

中学受験は、ちょうどこの時期。期限が決まった目標に向かって自分をコントロールしたり、課題を見つけて修正していくのに、とてもいい訓練です。今、私はフリーで仕事をしていますが、中学受験で身に付いた力で食べていけているのではないかと思っています(笑)。中学受験だけとは限りませんが、ゴールデンエイジには何か目標に向かって努力したほうがいい。この時期をダラダラ過ごすのは本当にもったいないと思います。

おおたとしまささん

私は、子どもは幼少期から溺愛して育てたほうがいいと考え、それを実践してきました。私自身が祖父母に囲まれた大家族でとても愛されて育ったと思っているからです。

子どもは深く愛されるほどに自分が認められているという自覚を持ち、それが自尊感情を育てるのだと思います。自尊感情が高い子どもは、叱られた時も自分は期待されているから怒られていると思うことができます。

受験は決して楽しいことばかりではないので、心が折れない強さも必要です。成績が悪くてもあきらめず、「自分はこんなものじゃない」と子ども自身が努力しなければならない。そのためには、何よりも子どもを溺愛して育てることが必要だと私は思います。

「かわいそう」でない中学受験を親子で経験してほしい

子どもたち

中学受験は勉強漬けでかわいそうではないかという話がありますが、それは、嫌な勉強を無理やり「やらされている」というイメージがあるからでしょう。でも私もそうでしたが、塾で勉強している子どもたちは、学校よりも塾の勉強が楽しくて将来役に立つと思っているケースが多いのです。

塾に行かないゴールデンエイジの子どもたちは何をしているでしょう? 塾にも習い事にも行かない子どもは、テレビを見ている時間が111分というデータがあります。塾通いの子どものテレビ視聴時間は63分。塾で過ごす時間が97分。テレビよりは塾の方がいいのではないでしょうか?

また、夜も塾でお弁当では、一家団らんができないという意見もありますが、お父さんが夕食の時間に帰ってこられないご家庭も多かったりする。毎日家族全員で温かい食卓を囲むのなら別でしょうが、必ずしもそうでない場合、子どもも友だちと塾でお弁当を食べるほうが楽しかったりします。

ただ先に言ったように、子どもに勉強を「やらされている」感が見えるときは、親として立ち止まって考え直したほうがいいかもしれませんね。

中学受験の大きなメリットを2つお話しましょう。

1つ目は「思春期の環境を自分で選べるということ」。3歳児神話と言われますが、思春期はそれに匹敵するくらい人間の成長に大きな影響がある時期です。どんな学校で、どんな先生や友だちと出会って経験を積んでいくか、それを選ぶことができるのが中学受験です。自分の選択で得た環境が、その後の豊かな人生につながっていくものになります。

2つ目は「受験勉強に内包されている教育力」。詰め込み勉強なんてと言われたりもしますが、あれほど膨大な知識を身につけるのに、単なる詰め込みでできるわけがない。一つひとつの知識を結びつけて、体系的に理解していかなければならない。これこそ本当の学力です。だから中学受験によって、生きていく上で必要な力を獲得することができる。

受験生本人の「やらされている」感や、「かわいそうなのでは…」と思いながら受験を強いる親の葛藤といった解決すべき問題はありますが、それらを解消できれば、中学受験によって、親子ともに成長できる、とてもよい時期を過ごすことができるのではないかと、私は思っております。

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