中学受験、第一志望に受からなかったら

必ずしも一番行きたかった学校に入れるとは限らないのが中学受験です。そこで、第5回目「中学受験、学校選びで親が知っておきたいこと」でお話をうかがった矢野耕平さんと、第3回目、4回目に登場いただいた小川大介さんに、入試結果の受け止め方と気持ちの切り替え方についてアドバイスをいただきました。

どこに受かっても「おめでとう」と祝福すること

どこに受かっても「おめでとう」と祝福すること

インターエデュ:第一志望に受からなかったとき、気持ちが沈んでしまうのは致し方ないことですが、どうしたら気持ちを切り替えて前を向けるようになるのでしょうか。

矢野耕平さん第一志望だけでなく、第二志望も残念で第三志望に合格というような場合、親は深く落胆したりします。そんなとき、私は子どもと保護者にかける言葉が違います。保護者には申し訳なかったですと言いますが、子どもには謝りません。自分でその結果を受け止めて欲しいんです。良くも悪くも。

もう一つ、必ず「おめでとう」と言います。第三志望校だろうが第四志望校だろうが、自らの手で進学先を決めたのであれば、「良かった!〇〇中学校合格おめでとう」と喜びます。そう言って必ず握手をします。祝福してあげることってすごく重要だと思っています。子どもは親から祝福されていないことを敏感に悟ってしまうものです。だから、親御さんに必ずお子さんに「おめでとう」と言ってあげてくださいって言います。でも心からそういう表情ができない保護者もいて、落胆する気持ちを引きずっているんだなあと申し訳なく思うこともありますね。

行かせたいと思っていた学校が残念な結果で、子どもに全く声をかけずにノーコメントを貫いた親御さんがいました。第2志望に通ったお子さんが、第1志望だった学校に高校受験をしたいと言い出したとき、まだその子の中学受験が終わっていないんだなと思いました。そこで、親御さんには「『おめでとう』と言ってあげてください」と伝え親御さんがそう切り出したら、子どもは号泣。気持ちが晴れたのでしょう、第2志望の学校に通い続けて希望の大学にも進学しました。親が祝福する、認めてあげることはとても大事ですね。

第一志望に受からず、親が立ち直れないということは、子をどこの中学校に入れたのかを自分の親力みたいなものとして試されているように思っているのではないかなと。御三家に入れたからあの親は力量がある、子育ての力があると。そんなことを思う必要はない。学校は器にしか過ぎないという冷めた見方も大切です。ですから、入学式は前を向いて親子で歩いて行って欲しいなと思います。「合格」させてくれた学校に感謝の念を抱いてほしいと願っています。