中学受験、新型コロナウイルスの影響で2021年度入試はどうなるか?【緊急連載Vol.1】

inter-edu’s eye
2020年3月、多くの中学受験塾が、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために塾の授業を、動画配信やオンライン形式に切り替えました。しかし、多くの塾ではこういった授業スタイルのノウハウが少ない中での代替授業とならざるを得ませんでした。初めての受講環境に、受験生や保護者の間では、「はたして志望校に合格する学力を身につけられるのだろうか…」という不安と戸惑いが広がっているようです。加えて、新型コロナウイルス流行の長期化による景気の悪化も懸念されています。家計への影響も全く読めない状況。受験すること自体を悩まれているというご家庭も少なくないでしょう。
そこで今回は、中学受験を目指すお子さまをおもちの保護者のみなさまの不安を少しでも解消すべく、中学受験専門の個別指導教室SS-1の副代表、馬屋原吉博先生に、来年受験をする6年生の保護者へのアドバイスをいただきました。2021年度の中学入試に向けて冷静な判断をするための参考になさってください。

こんにちは。
SS-1副代表の馬屋原と申します。

今回、中学受験を志す6年生が今の時期に「何をどうやるべきか」というテーマでお話しする機会を頂戴しました。ただ、やはり新型コロナウイルスの話は避けて通れないわけで、まずは「中学受験はこの先どうなっていくのだろうか」という話から始めさせていただきます。

来年の入試はどうなるか

来年の入試はどうなるか

もちろん現時点で確たることは何も言えません。ただ、数年かけて大きな価値観の転換がなされるのは間違いないように感じます。家庭環境やお子さま自身の学習に向かう意欲などが、これまで以上にお子さまの学力に影響を及ぼしがちな状況になるでしょう。そんな中、学年で横並びのカリキュラムを進めることの是非などが問われていくのです。「そもそも学校とは?」というところから見直されていくのかもしれません。

景気の影響で中学受験人口が減ることが予想される中、私立の中高一貫校も生き残りをかけて、さまざまな可能性を模索していくことになります。多くの学校が、この状況下でいかに生徒の学びを成立させようとしているのか、外部にどんなメッセージを発信しているかで、その価値を測られようとしています。保護者にとっては、情報発信が巧みな学校がそのままお子さんにとって良い学校ということにはならないのが悩ましいところですね。とはいえ、そういった部分は各学校の来年の入試における人気や倍率に少なからず影響を及ぼすでしょう。

その流れの中で、校風や教育理念とお子さまとの相性はもちろん、登下校環境(ラッシュの有無)など、学校選びにおける「偏差値以外の尺度」が今以上に存在感をもつ状況になっていってほしいという期待もあります。しかし、その一方で、先日の2020年度の首都圏での入試において、私たちが目の当たりにしたのは、いわゆる「ある程度名が通っている学校」の倍率の激化でした。

中学受験人口の増加の根底にある「公教育への不安」が解消されたわけではありません。また、「ここまでがんばって受験勉強をしてきたのだから、少しでも(偏差値が)上の学校に通わせてあげたい」という感情も、それはそれでよく理解できるものです。

そのため、中学受験人口自体は減ったとしても、ひとまず「来年」の入試において、難関校はもちろん、いわゆる「ある程度名が通っている学校」の受験の厳しさが大きく緩和されることはないのではないか、というのが現時点での私の見通しです。

そんな状況で私がもっとも危惧しているのは、来年の中学入試を「こんなはずではなかった…」という気持ちで終えてしまうご家庭が例年以上に増えてしまうのではないか、ということです。

例年より塾のサポートが手薄くなってしまいがちな状況がどうしても続きます。それが、いつしか取り返しがつかないほどのビハインドとなってしまわないようにしなくてはなりません。そのためには、今の時期、どんなことを心がけて受験勉強に取り組んでおけば良いのかということを、これからお話しさせていただきます。

春から初夏にかけての大方針

春から初夏にかけての大方針

まず、6年の春から初夏にかけての大方針は「毎週の塾のカリキュラムをきちんとこなす」ことです。

「それができれば苦労しない」というお声が聞こえてきそうですが、少なくとも「つまらない」「なんとなく気が乗らない」という理由で、塾から配信されている動画も見ずに、別の市販のテキストなどに取り組むことはあまりオススメできません。

「どうしてもオンラインでは難しい」という状況で、「やらないよりはマシ」と考えて取り組む次善の策でしたら、ある意味、問題ありません。ただ、もし「なんとなく」そういった状態になってしまっているのであれば、今からでも塾のテキストや動画に向き合われることを強くオススメします。

6年生のこの時期は、多くの進学塾で、これまでのインプット主体の学習から、夏以降のアウトプット(演習)主体の授業に移り変わっている移行期と位置づけられています。もちろん、まだまだインプットに時間を割かねばならないお子さんも少なくありません。

いずれにせよ、塾のカリキュラムをこなすこと以上に優先順位の高い勉強はなかなか見当たらない時期です。まずは配信された動画や、電話やオンラインでの質問対応などをフルに使い倒して、テキストを消化していきましょう。

特にお通いの塾が質問対応に応じてくれるというのであれば、(最低限の気を遣いつつも)できるだけ頼った方が良いでしょう。なにより、第三者とのコミュニケーション自体に貴重な価値が生じる特殊な時期に突入しています。何か困ったことがあったら、まずはこちらから連絡を入れてみましょう。

受け身になってただ塾からの連絡を待ちながら不安や不満をためるのでは、保護者の方の精神衛生上にも大きなマイナスです。そしてその影響は必ずお子さんの精神と成績にも伝播します。

「けんもほろろ」という対応をされてしまう可能性もないわけではないですが、塾業界全体としては何かしら生徒さんや保護者の方の力になりたいと願っている講師のほうが多いと信じます。

6年生は今、何をどうやるべきか~教科別ガイド~【緊急連載Vol.2】に続く~

馬屋原吉博(うまやはら よしひろ)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1社会科教務主任。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。大手予備校・進学塾で、大学・高校・中学受験の指導経験を積み、現在は完全1対1・常時保護者の見学可、という環境で中学受験指導に専念している。開成、灘、桜蔭、筑駒といった難関中学に、数多くの生徒を送り出す。

必死に覚えた膨大な知識で混乱している生徒の頭の中を整理し、テストで使える状態にする指導が好評。バラバラだった知識同士がつながりをもち始め、みるみる立体的になっていく授業は、生徒はもちろん、保護者も楽しめると絶大な支持を得ている。
著書に『CD2枚で古代から現代まで 聞くだけで一気にわかる日本史』(アスコム)、『頭がよくなる 謎解き 社会ドリル』(かんき出版)、『中学受験 見るだけでわかる社会のツボ』(青春出版社)などがある。


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