第12回 元中受ママが伝授!長文読解の苦手克服方法!

中学受験ギモン解決所
2016年1月13日

第12回 元中受ママが伝授!長文読解の苦手克服方法!

… ごあいさつ …
はじめまして。私、かつて二人の息子で中学受験を経験しました、元中学受験ママでもあります、春野陽子と申します。
現在は受験ドクターという個別指導塾で国語講師をしております。
みなさまからお届けいただいた質問や掲示板でお困りの書き込みに対し、「先輩ママ」として、そして時には「プロ講師」としてお答えすることで、少しでも皆さまの中学受験成功の一助となりましたら光栄でございます。

長文読解が苦手です

 「長文読解」というとき、「長文」とは何文字以上を指すのでしょうか。 実は、文字数にはっきりとした定義があるわけではないのです。今回は、仮に5000文字以上を長文と定義しましょう。

まずは各校の文字数を知る!

文字数

一般に、中学受験において出題されるのは2500~3500文字程度。ちなみに四谷大塚の合不合判テストは、6000文字以上が出題されます。SAPIXのテストも長文の出題が得意です。これらは、難関校対策のため、と言えるでしょう。なぜなら難関校と呼ばれる学校群になると、その長さは大幅に平均値を超えてくるからです

たとえば、開成中は長い時で8000文字以上の長文を出します。8000文字といえば、400字詰め原稿用紙20枚分です。それを50分という制限時間の中で読んで解答するのですから、どうしたってスピードが要求されます。また、開成中を凌ぐ長さの文章を出題するのは、桜蔭中、麻布中、駒場東邦中。もちろん年度にもよるのですが、11000~12000文字を出題することもあるのです。

これに比して、筑駒中は、非常に本文の文字数が少なく、3000文字前後ですから、長いから難しい、短いから簡単、というわけではありません。ただ、文章が長い場合、それにあわせた読解のコツはありますので、今回はそのコツについてご紹介します。

長文読解のポイントは5つ!

ポイント5つ

長文読解が求められるのは、多くは物語文です。少なくとも入試問題において長文と言えば、ほぼ物語文と言い切って過言ではないでしょう。

これは、論説系の文章で長文になると、解答の根拠が離れた問題は難問になりすぎるためです。つまり、中学受験の難度の限界にあわせると、いくら長文であっても、解答の根拠は傍線部の周辺にならざるを得ず、細切れの設問しか用意できない、すなわち長文を出題する意味がないからだと推測されます。

これに比して、物語文は、全体の流れが記憶に残りやすく、たとえ解答の根拠が離れていたとしても、全体感をもって小学生が解答できる、という点が大きいように思います。

さて、長文の物語文ですが、次の5点のみ「気にしながら」読んでみてください。

1.登場人物とその関係を押さえる
2.場面分けをする
3.心中のセリフに波線をつける
4.比喩表現に線を引く
5.そのほか気になる(意味のわからない、ひっかかる)表現にしるしをつけておく

以上、どれだけ長文でも、物語文の読解はこれで大丈夫です。こんな基本的なことで本当に大丈夫かと心配になったら、実際お子さまが試験の時に上記ができているかどうかチェックしてみてください。おそらく、すべてちゃんとできているお子さまは皆無でしょう。

5つのポイントをさらに詳しく解説!

ポイントを深堀り

1.の登場人物とその関係は、標準的な出題であればしるしをつけることもなく、簡単に把握できますが、難関校特有の状況がわかりづらい文章となると、初めにしっかりしるしをつけて把握するように努めておかないと、読み進めていくなかで混乱をきたします。

2.の場面分けの多くは「時間と空間の変化」なのですが、ここは我流でかまいません。お子さまが自分でここは切れ目だ!と思うところにザクザク線を引いて場面を分けていいのです。これは、場面分けの問題の解答としての線ではなく、お子さまの記憶の助けの線となるのです。

解答の根拠を探すとき、目当てのブロックがすぐにわかるうえ、目がこの境界線をとらえ、まずはこのブロック、次に前後のブロックというように、探す範囲を限定することができ、解答の根拠を時間の無駄なく効率的に探すことができるようになるのです。

3.の心中のセリフは、( )でくくられていないものも含みます。地の文に溶け込んでいますので、線を引くことで意識的に見落とさない練習になります。心中のセリフは、中心人物の気持ちを測るうえで、大変重要ですので、必ずチェックしましょう。

4.の比喩表現ですが、線を引くまでもなく、設問が置かれているはずです。比喩を使わない「普通の言い方」に「書き換える」練習をしましょう。

5.の気になる表現にしるしをつけるのは、読み進めていく中で理解の障害となる箇所を明確にすることで、安心してそこで立ち止まらず、読み進めていく力を得るためです。

以上、5点を守ることで、効率的に読むことができ、設問にもこたえやすくなるはずです。どんな難関校の国語にも対応できますので、ぜひお試しください。

中学受験ギモン解決所

春野 陽子さんプロフィール
長男はSAPIXへ通塾し巣鴨中学校から東京大学理科Ⅱ類に進学、次男は転塾(日能研→SAPIX→市進)を経て海城中学校に進学。
大学院国文学専攻博士課程後期単位取得後満期退学。近代文学専攻。元私立高校教諭。日能研にて、約10年間、中学受験国語指導を担当したのち、2012年度から「中学受験個別指導塾ドクター」 に非常勤講師として勤務し、2013年度から「株式会社受験ドクター」に入社。
国語のスーパードクターとして個別指導にあたっている。

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