中学受験、家庭教師はつけたほうがいい?

… ごあいさつ …
はじめまして。私、かつて二人の息子で中学受験を経験しました、元中学受験ママでもあります、春野陽子と申します。
現在は受験ドクターという個別指導塾で国語講師をしております。
みなさまからお届けいただいた質問や掲示板でお困りの書き込みに対し、「先輩ママ」として、そして時には「プロ講師」としてお答えすることで、少しでも皆さまの中学受験成功の一助となりましたら光栄でございます。

Q 家庭教師はつけたほうがいいのでしょうか?
コスト面で問題なければ、「つけたほうがいい」と私なら即答です。
なぜなら中学受験において、家庭教師や個別指導塾などの個別対応指導は、小学生には非常に有効だからです。 そこで今回は、家庭教師の良さとは何かをお伝えし、選び方についてアドバイスしたいと思います。

家庭教師の良さって?

家庭教師の良さって?

職業柄、中学受験をした東大生と話す機会が多いのですが、彼らは口を揃えて「小学生時は特に、個別対応の指導は集団授業よりも役に立ちました」と答えます。

ではなぜ、中学受験では、家庭教師、個別指導塾なのでしょうか。

答えは簡単。集団授業では、理解の進度・深度がまちまちのお子さんへの個別対応が難しいからです。もっと具体的に言いますと、ある問題で✕になったお子さんが10人いても、✕になったつまずきポイントは、10人それぞれで異なるからなのです。

お子さんからすれば、答えの✕は、その問題における自分の解法の全否定とイコールです。でも、もしかしたら、あと一歩のところまでの考え方の道筋は合っていたかもしれない。別のお子さんは、半分までは考えの道筋は合っていたけれど、途中のあるポイントで勘違いや論理の混同が起こって間違ったのかもしれない。

正しい道をどこの分岐点で踏み外したかは、生徒との対話のなかでしか測れないのです。
つまずきの箇所を明確にして、ここまではOK、この部分でAではなくBを考えることができたら正解だったね、と教えることができて、初めて子どもは正しい解法が身につくのです。

そこが、集団授業と個別指導との最大の違いであり、個別指導が小学生の指導に向いている所以です。
もちろん、カリキュラムの充実、テキストのまとまり、テストの回数による慣れ、競い合う喜びなど、集団塾の良さは多くあります。

でも、こと志望校対策や課題克服となると、個別指導でないと大きな効果は期待できないと個人的には思います。

ということで、家庭教師はおすすめです。
しかし、もろ手を挙げて全肯定しているわけではありません。家庭教師は、その選び方が大変重要で、選び方を間違えると時間の浪費となってしまいます。

家庭教師「センター」の選び方

家庭教師「センター」の選び方

家庭教師の選び方、というよりも、正確には家庭教師センターの選び方、といったほうが良いかもしれません。

そもそも、家庭教師の先生は、複数の派遣センターをまたがっていることが少なくありません。己の指導技術で、自由に活動するのが、プロ家庭教師の特徴といえるでしょう。

ですから、ご家庭と家庭教師の先生とをマッチングさせるマッチング技能やシステムのあり方が重要になってくる、すなわち派遣センターそのものの選び方を知るほうが大切なのです。

いくら派遣センターのスタッフが、わが子のことをていねいに聞き取ってくれているように見えても、派遣センターによっては、単に住所と生徒のレベル感を講師の住まいとグレードに合わせて機械的に派遣するところも多く、これは、効率化を測ればそうならざるをえない、という業界事情にもよっています。

機械的に派遣しているか否かを見抜くために、家庭教師の先生の紹介の際に派遣スタッフが、その先生の良い点のみを羅列する場合は、要注意と覚えておきましょう。
この先生は、どういう指導に強く、逆にこういうお子さんには向かない、など多角的な情報をくれるかどうかをチェックしてみてください。

仮にご家庭の希望が「打たれ弱い子なので、明るく励ましてくれる優しい先生」だったとします。そのときに、「明るい、励ましてやる気にさせてくれる、優しい先生です」と紹介してくる派遣センターは疑わしいと思ってください。なぜなら、そんなに条件ぴったりの先生が派遣区域内に都合よく空いている、という可能性は低いからです。

プロの判断として、「ご家庭は優しい先生希望だけれど、A先生は、あまり表情のないクールな先生だ。でも、〇〇校志望なら、A先生が一番頼りになる。」と思ったら、A先生を勧めるのが本物の優れたプロの派遣スタッフです。例えば、

「A先生は、〇〇校への合格実績はずば抜けていますし、きちんと段階を追った指導はわかりやすいと好評の先生です。怒鳴ったり、声を荒らげるような先生ではありません。でも、言われたことをしなかったときは、きちんと静かに注意するので、お子さんにとっては怖い存在かもしれません。」

というように、率直に良い点、希望に沿わない点をお伝えした上で、「一度体験を受けるだけでも受けてみませんか? もしも難しければ、また他の先生をお探しします。」と提案してくれる。 そして、実際体験してみて断ることになったときに、それ以上の強引な勧誘はしない。そんな派遣センターであれば、何かあったときにもきちんと対応してくれるはずです。

必ず体験授業を受けましょう

必ず体験授業を受けましょう

そして、お気づきかと思いますが、体験授業は非常に重要です。 家庭教師は文字通り家庭に入って指導する先生ですので、お子さんが「家庭」という自分のテリトリーに受け入れられる人物か否か、いわゆる相性が非常に重要になってくるのです。

体験授業後、お子さんと二人になったら、「今日の授業、どうだった?」とお子さんに聞きますね。そのとき、お子さんの様子をしっかり観察してみてください。 首をかしげて、う~ん、という素振りが見えたら、いくら「いいと思う」とか「習う」と言っても辞めたほうがいいかもしれません。

お子さんによっては、ご両親の期待に応えたい気持ちが強くて、家庭教師の先生に違和感を覚えていてもはっきり口に出せない場合もあるからです。 そこは、普段を知っている母親、観察する気持ちさえあれば、容易に見抜けると思いますので、親の家庭教師をつけたい、という気持ちだけでお子さんの表情を見逃さないよう、ご注意ください。

派遣センターの活用法

センターで体験授業を試すのは、2回まで、と決めておいてください。 それ以上は時間の無駄です。そもそも1回で納得できる先生を派遣できないセンターであれば、見切りをつけて、他所を探すほうがずっと賢明な判断です。

受験期間は有限です。貴重な時間を無駄にしないためにも、Webサイトをじっくり読んで、電話対応のよいセンターを選びましょう。
希望は絶対譲れないポイントのみに絞って伝えると良いでしょう。条件が多すぎると、せっかくの良い家庭教師の先生でも、条件にあてはまらないという理由で派遣してもらえなくなってしまいます。

時期に関してですが、一般には6年生になってから申し込む方が多いのですが、良い家庭教師の先生は、新年度にはもう予約でいっぱいというケースが多いです。5年生のうちに新年度の家庭教師の先生を予約しておく、というのも一案です。

そして、家庭教師をつけて何か要望があったり、不安に思うことがあれば、まめにセンターに相談することをおすすめします。できれば、担当の方を1人、固定でお願いしてもよいでしょう。
親身に対応してくれるセンターであれば、習っていない教科のアドバイスも聞けますし、先生に直接言いづらい要望も上手に伝えてもらえます。

私自身は、長男の家庭教師選びのときに失敗していますので、今回その反省も踏まえてのアドバイスでした。上手に家庭教師を活用できますよう、参考にしていただければ幸いです。

中学受験ギモン解決所

春野 陽子さんプロフィール
長男はSAPIXへ通塾し巣鴨中学校から東京大学理科Ⅱ類に進学、次男は転塾(日能研→SAPIX→市進)を経て海城中学校に進学。
大学院国文学専攻博士課程後期単位取得後満期退学。近代文学専攻。元私立高校教諭。日能研にて、約10年間、中学受験国語指導を担当したのち、2012年度から「中学受験個別指導塾ドクター」に非常勤講師として勤務し、2013年度から「株式会社受験ドクター」に入社。
国語のスーパードクターとして個別指導にあたっている。


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